【連載】デザビレ紹介!極細糸のアクセサリーブランド「小山兼吉商店」202号室
2012年01月14日 09:05 JSTファッション関連で活躍する企業や若手クリエイターたちが入居する施設"台東デザイナーズビレッジ(=デザビレ)"。台東区の産業活性化、ひいては日本のファッション産業の成長など崇高な目的のために設けられたデザビレには、厳しい審査(なんと3回も審査がある!)をクリアし高い倍率をくぐり抜けた19組が入居しています。ここでは、施設内の新進クリエイターたちが一体どんな活動を行っているのかを連載でちらっとご紹介。第15回目はデザビレ202号室に入居する「小山兼吉商店(こやまかねきちしょうてん)」さんです。

「小山兼吉商店」は、編み物と彫金を組み合わせて「大人の女性が身につけられるニットジュエリー」をコンセプトに制作しているジュエリーブランド。手がけているのは静岡県出身のアクセサリーデザイナーの小山京子さんです。一見ジュエリーとは少し離れた印象を得られるブランド名は、小山さんの実家の屋号から名付けられているそう。実は小山さんのご実家は静岡県で、代々続く老舗のお茶屋さん(茶問屋)の生まれ。兼吉という名前は、小山さんのおじいちゃんのおじいちゃんから頂いたそうです。「私の父は現在4代目。前に聞いたんですけど、100年前くらいから続いているんですって。」と教えてくれました。「ブランド名を付けるとき、母には反対されましたね」と言うので、「やはり実家の屋号を頂くのは何かしら厳しいしきたりがあるのでは!?」と思い聞き返すと、「いえいえ、可愛くないからですって」と笑顔。可愛いか、可愛くないかは別として、一度聞くとどういった老舗ブランドなんだろう?何のブランドなんだろう?と興味が沸きますよね。というのは私だけではないようで、意外と好評なブランド名。「漢字なので、覚えられやすいみたいです。」と嬉しそうに話してくれました。


小山さんは工芸工業の専門学校卒業後、革小物メーカーに勤務。主にバッグの企画を行っていたそうで、自身が手がけたバッグは、有名百貨店にも並んでいたそうです。退職後、飲食店で働いた際に自分が企画した財布を使用している人に遭遇。商品ができるまでは分業なので、どういう風に人の手に渡って行くのかがわからなかったようで、「使っている人をみて『私作ったんです!』とついつい声をかけてしまったんです。」。「とても気に入っているんです。」と言うその人の声を聞いて、「とても嬉しかった」のと同時に"つくる"って役に立つんだなってことを実感。物作りをしたいという思いが強くなり、手編みのパーツを使ったアクセサリーを作り始めたそうです。

「小山兼吉商店」のアクセサリーは繊細な糸で作られているのが特徴。極細の糸で編まれており、1点1点手作りで出来ています。2005年にほぼ素人に近い状態からアクセサリーづくりをスタートした小山さんは、「市販のパーツを繋げるのは誰でもできる。お客さんがお金を払って買ってくれるので面白いものをつくりたいな」との思いから編み物でパーツをつくることに。最初は太めの毛糸からスタートして、ネットなどで編み方を勉強しつつ、毛糸のアクセサリー作りに没頭。かなりの細さの糸で編むことが出来るようになった2007年に、合同展示会roomsへ初参加し、ブランドを本格的にスタートさせました。当初は編み物だけのアクセサリーなので「すごくラブリーで私は付けられなかったんです。(笑)」と小山さんは言います。それから4年ほどですが、学生の時に経験のあるという彫金で編み物以外のパーツの製作を開始。そして編み物は精度を追い求めた結果、だんだん糸が細くなって今の"超"が付くような繊細なアクセサリーの仕様になったそうです。


現在は片方のピアスを約20分ほどで編めるという小山さん。織物や手縫い用の極細糸を使っていて、その細かな作業は、専門の業者さんでもなかなか難しいとか。新作はいつも12アイテムほど揃えるそうですが、サンプルはもちろん、実際に販売する商品も自分で製作します。その技はもう職人と言えるレベルです。インタビューを行った際はちょうど、新作「Circus」を作っていましたが、旗のモチーフや動物のシルエットなど細かなシルエット含め小山さんが1点1点丁寧に製作していました。2009年にデザイビレに友人の勧めで入居して以来、小山さん以外にスタッフの方はおらず、一人で製作しているのでやはり数量的な限界はあるのが悩みの種。全て手作りにも関わらず価格は、1万円代から2万円をキープしているそうです。


今では百貨店や美術館、オンラインストアなど、徐々に取り扱い店舗を拡大している「小山兼吉商店」。「デザビレに入居していることで、専門の業者などを知る機会も増えて、少しづつ体制も整いつつあるのですが、今後はやはり量産をできる体制を整えたい」と小山さん。購入してくれる女性達のほとんどは、他のアクセサリーにはない温かな魅力に惹かれていると言います。この魅力を損なわず、より多くの女性に愛されるアクセサリーブランドへと成長するための一歩として、「まずは自分一人だけではなく製作していくことが出来るブランドにしたい。」と小山さんは笑顔で抱負を語りました。
■「台東デザイナーズビレッジ・マーケット」に参加
期間:1月23日(月)~2月19日(日)※小山兼吉商店は2月5日まで
URL:http://www.ecute.jp/tokyo/
■小山兼吉商店
URL:http://kanekichi.under-b.com/
