【インタビュー】デザイナー本間正章 〜mastermind JAPANの最終章〜

本間正章 Photo by: Fashionsnap.com

 活動休止を発表した「mastermind JAPAN(マスターマインド・ジャパン)」が、2013年でラストイヤーを迎えた。最後のコレクションとなった2013年春夏のテーマは「dreaming」。3月17日に東京で開幕するファッションウィークでは、メンズとウィメンズそれぞれのラストショーを開催する。これまでの15年間を「夢のよう」と話すデザイナー本間正章に、最後のショーで果たそうとしているブランドの役割や今の心境、そして8月末を予定しているブランド休止までの活動を聞いた。

ー東京のショーは特別な意味があるか。

 ホームグラウンドだからこその独特な緊張感があります。何があっても失敗は許されない。東京のブランドでもこういうショーは出来るんだっていうことを、エンターテインメント性が高い内容で発信するのが僕らの役割だと思っています。


ー17日に開催されるメンズファッションショーについて。

 おそらく単独のファッションショーは最後。スタイリング、映像、音楽、演出に関して誰も悔いが残らないように、ただそれだけを考えています。自分だけでは何も出来ないし、みんなの力の相乗効果で化学反応を起こすようなショーになればいいですね。


ー先シーズンは「東京ランウェイ」に初参加

 はじめガールズイベントは全く僕たちには関係のないものかと思っていたんですが、エンターテインメントとして楽しんで帰ってもらう世界だと考えたら、ファッションイベントとして1つの正解だ思う。でも、実際に初めて参加してみて、15,000人の女の子たちの中で「mastermind JAPAN」について知ってる人が1割にも満たないんじゃないかという舞台で、どういう反応が起こるのか不安はありました。でも、ショーの後の拍手を聞いて、受け入れてもらえた事に安心しました。

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mastermind JAPAN「東京ランウェイ」初参加


ー今回のファッションウィークは、初日のメンズと「東京ランウェイ」のウィメンズ、2つのショーが予定されている。

 舞台は違っても基本は同じで、お客さんに楽しんでもらうことが第一。他のブランドのショーも含めて、何か心に響いたり「ファッションて楽しい」と思ってもらえたらと思います。


ー最終シーズンの2013年春夏コレクションについて。

 海外も含めてこれまでお世話になっていたバイヤーさんが、東京で開催した展示会にたくさん来てくれて嬉しかったですね。これまでで一番多い2,500ピースを作って、この中からひとつでも多く、それぞれのお店やお客さんに合ったものを選んでほしいと思いました。2月末に店頭で販売がスタートして、ある店では販売記録を更新したそう。いずれも好調です。

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ー顧客の反応は。

 発売当日に都内の全店舗を回ってみて、今シーズンは地方から来てくれる方がとても多かったようでした。お客様のほうが目頭が熱くなっていたりとか、本当にありがたいなと思う瞬間でした。


ー服づくりのパートナーの反応は。

 全く売れなかった立ち上げ当初から取り組んでいる工場さんもあります。最初のオーダーが靴2足のみとか、そんな少量でも見捨てずに応援してくれたことは忘れられません。僕らが活動を休止するということも理解してくれて、すごく温かく「何かあったらいつでも言ってよ」と声を掛けてくれました。


ー休止までの活動内容は。

 最終年に突入した今も、オファーをたくさん頂いています。コラボについては色々な意味で期待されていると思うので、期待以上のものを作るために取り組んでいます。僕らの活動休止後のことを取引先のほうが気遣ってくれていて、どういうプロジェクトを組んだら復帰するか、という先のことまで考えてくれている人もいるんです。実際には僕自身、復活するかどうかもわからないのに、嬉しいことですね。


ー進行しているプロジェクトについて。

 1年分くらいの量をこの半年でやろうとしています。例えば3月は、12日から「オペーク銀座」でメディコム・トイの期間限定イベントに参加していて、16日に2013年春夏コレクションの最後のデリバリーが終わったところ。メンズのショーと同日の17日からは「DOVER STREET MARKET GINZA COMME des GARÇONS(ドーバーストリートマーケット ギンザ・コム デ ギャルソン)」の1周年で「MASTERMIND BLACK COMME des GARCONS(マスターマインド ブラック コム・デ・ギャルソン)」が発売します。これは、川久保玲さんと作った架空のブランド。お互いが納得出来るまで何度も話し合って実現しました。

 20日の東京ランウェイと同日には二子玉川の「Ron Herman(ロンハーマン)」、27日には伊勢丹新宿店で雑誌Numero TOKYO(ヌメロ・トウキョウ)企画の「アート・コンビニエンス・ストア」に参加します。今回、全部「mastermind JAPAN」がコラボ相手で、スカル入りのトイレットペーパーから「LOEWE(ロエベ)」のバッグまで色々と作っています。毎月のようにみんながびっくり出来るものを作り続けて、最後の8月にも何かあるかもしれませんよ。


ー15年を振り返って。

 未だに浸れるような気分になっていなくて、振り返るのはまだ早い。コレクションとしてはラストシーズンを迎えたけど、終わっていない仕事がまだまだあります。ただ一つ思うのは、僕は「世界で1番幸せなデザイナー」だということ。たくさんの人やお客さんに支えられてここまできたことに、心から感謝しています。それをどうやったら恩返しできるかということを思いながら、最後まで走り続けます。


ーブランドアイコンのスカルは活動を休止しても残るか。

 スカルは僕の分身。「死ぬまで夢をあきらめない」という意味を込めた限り、自分が死ぬまで守り続けようと思います。


ー「夢」について。

 ファッションは夢を与えるものだけど、まだ僕が与えているという実感はありません。僕は逆に、夢を与えてもらっています。全く売れなかった15年前に、今のような姿は想像もできなかったでしょう。全てが夢の中の出来事なんじゃないかというくらいの幸せです。8月までは、自分がやれる120%の力を出し切るつもり。そして僕らが出来ることは、東京や日本のファッションに対してエールを送ることだと思っています。


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■mastermind JAPAN 本間正章
 1997年「マスターマインド・ジャパン」設立。1998年にメンズブランド「mastermind JAPAN」AW コレクション発表。後にレディースコレクションを開始し、東京とパリで発表。様々なブランドとのコラボレーションを実現。15周年を迎える2013年春夏コレクションをもってブランド休止を予定している。日本の素材と伝統技術、ハイテクノロジーをリアルクローズとして世界に発信しているデザイナー。


■前回のインタビュー
 連載「ふくびと」mastermind JAPAN デザイナー本間正章〜15年で完結するブランドの使命〜