折り紙、LED、早着替え......リオ五輪閉会式「旗引継ぎセレモニー」の衣装を解説

落合宏理がデザインした「応援団」の衣装 提供:Tokyo2020

 リオから東京へーーー。リオオリンピック競技大会閉会式の最後のパートとして「フラッグハンドオーバーセレモニー」が開催され、4年後の東京大会に向けて旗をつないだ。メディアを賑わせた"安倍マリオ"だけではなく、日本ならではの芸術性が多方面から注目を集めたが、その衣装にも日本らしさが詰まっていたという。クリエーティブチームの椎名林檎や佐々木宏、MIKIKO、菅野薫らによる演出を際立たせた衣装は、スタイリスト三田真一、「ファセッタズム(FACETASM)」デザイナーの落合宏理、スタイリスト&衣装デザイナーの飯嶋久美子、そしてドレスメーカー櫻井利彦の4人が制作。その裏側を解説する。

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 世界中の注目を浴びたセレモニーの衣装は、三田真一が総合監修、飯嶋久美子がディレクション、落合宏理がデザイン、櫻井利彦が製作を担当し、3つのパートごとに異なるテーマで制作。①君が代のアレンジが印象的だった冒頭の「THE NATIONAL ANTHEM」から人文字で"ありがとう"を表現した「ARIGATO FROM JAPAN」までのパート(以下、「君が代〜ありがとうパート」)、②マリオの土管から安倍晋三首相が登場するシーンから始まった「スポーツ」、③応援団がフィールドに登場した「TOKYO」、それぞれのパートの演出とパフォーマンスに沿った衣装が用意された。メインカラーは、赤・白・グレーの3色。プロのダンサーや青森大学新体操部など、出演者のエネルギーが溢れる動きや躍動感などを保持しながら「人が美しく見えること」を重視したという。

■君が代〜ありがとうパート:「折り紙」モチーフに日本を表現

 「君が代〜ありがとうパート」では、白い衣装をまとった20人のパフォーマーが「パーソナルモビリティ」に乗って登場した。純白の衣装には、和紙をベースに雨天にも耐える素材を使用。日本の「折り紙」が着想源となり、フォルムに合わせて角度を付けた谷折り山折りのプリーツを取り入れて形作られた。

 花嫁の綿帽子をイメージしたというヘッドパーツとコルセットは飯嶋久美子が中心となって手がけ、学生やボランティアの協力を得て1枚あたり6時間前後の時間を費やし、一つひとつ手作業で作られた。ボトムはライゾマティクスと「光るスカート」を共同制作。LEDを搭載し、シルバー泊加工のインナースカートの表面に反射して発光する仕組みを取り入れた。

■スポーツパート:東京のアスファルトをイメージしたグレーの衣装で統一

 土管から姿を現した安倍首相が着用した「マリオ」の衣装は、キャラクターを忠実に再現。フィールドが暗転し「スポーツ」パートが始まると、ライゾマティクスによるAR拡張現実の演出の中から50人のダンサーが登場した。全員統一された衣装は、東京のアスファルトをイメージしたというグレーを基調に、胸にはデザイナー野老朝雄(ところ・あさお)による東京大会のエンブレムのパターンをアレンジしたモチーフがあしらわれた。

 フィールド上のフレームの光に反射して美しく見えるように、素材は再帰性反射材と通常の布地のパッチワークを使用し、スポーツをテーマにアクロバットな技とデジタル技術をデザインと融合。次の「TOKYO」パートに移る約8秒間の早替えは、日本の古典芸能である歌舞伎の「引抜き」からヒントを得て、脱ぎ捨てずに衣装替えできるよう何度も検証を重ねたという。

■TOKYOパート:東京のカジュアル感やストリート感をミックス

 クライマックスとなる「TOKYO」パートの衣装は、「応援団」「おもてなし」「手旗」「青森大学」のグループに分かれ、落合宏理のアイデアを元にデザイン。落合が得意とする東京のカジュアル感やストリート感をミックスしつつ、トップスにグラフィティやハーネスの要素を組み込んだ。ベースカラーは赤・白・黒の3色。5種類のデザインを展開し、組み合わせのバリエーションによって男女25人ずつ計50人の衣装がすべて異なる多様性が特徴になっている。ウィメンズの肩はシャープさや近未来感のあるシルエットに仕上げ、伝統的なおもてなしの所作とのコントラストをつけたという。光るフレームで東京大会のエンブレムデザインを完成させた後、グランドフィナーレで横並びになった際のバランスも考慮された。

 盛大なセレモニーによってオリンピックが幕を下ろした後のリオデジャネイロでは、パラリンピック大会が熱を帯びている。その閉会式は、現地時間9月18日に開催。フラッグハンドオーバーセレモニーは五輪閉会式と同様に椎名林檎らが制作に参加する。開催を前に、コンセプトの「TOKYO 2020 POSITIVE SWITCH」や出演者が早くも発表になった。衣装を手がけるファッションデザイナーはまだ明らかにされていないが、演出と共に期待が高まりそうだ。