年収700万円 新卒不採用からNo. 1販売員に駆け上がった25歳の正体は?

 ファッション業界に特化した転職サイト「FASHION HR」の調査によると、2016年の販売員の平均年収は308.27万円から438.11万円。他の職種に比べて販売職の給与が低いのは知られているが、一方で販売員の働き方や待遇を見直す企業も増えている。トウキョウベース(TOKYO BASE)もその中の一社。渋谷手当など独自制度が注目を集める同社だが、「スーパースターセールス制度」という販売員の売上の10%が給与に還元される新制度を昨年導入したところ、弱冠25歳で想定年収700万円を得る販売員が生まれたという。本社勤務の役職者でもなかなか達成できない収入を得たのはSTUDIOUS名古屋店の販売員、喜多龍斗(きたりゅうと)さん。入社からわずか3年でNo. 1販売員に駆け上がったスーパースター販売の正体は?

スーパースターセールス制度...年間売上7,000万円・8,500万・1億円の3段階で月給を設定し、売上の10%を給与として還元する給与制度。SS(2~7月)・AW(8~1月)毎に基準を設定し、半期の基準をクリアすれば次の半期からスーパースターセールスとして認定され月給が変更される。

 喜多さんは、愛知県安城市出身。県内の愛知学院大学商学部商学科に進学し、在学中にアルバイトとしてトウキョウベースに入社した。「ステュディオス名古屋店に客として通っていて、当時仲良くしていた販売員の方から聞いた実力主義という社風に魅力を感じていました。大学4年生になるかならないかのタイミングで新卒採用を受けましたが、その時は一次試験で落ちてしまいまして(笑)。その後、他の企業で内定を頂いていたのですが、名古屋店に買い物に行った際にちょうど一次面接で面接官をやってくださった方がいて、正直ステュディオスで働きたい気持ちがまだあると伝えるたところ『アルバイトからでも社員を目指せ』と勧められたんです」。とはいえ正社員とアルバイト、普通だったらそのまま正社員を選ぶのが王道。喜多さんも例外ではなく「母子家庭のなか、私立大学に通わせてくれた親に申し訳ない」と言い返したところ、「『親のせいにするな』と逆に叱咤されてしまって、そこから30分ほど進路相談にのってくれたんです(笑)。それがきっかけとなり、翌日親を説得してアルバイトの面接を受ける事にしました」と大学4年生になった6月から念願のステュディオス販売員としてキャリアをスタートさせたという。

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 そこからは売上目標を3カ月という短期間で達成。「新卒面接で落とされている時点で、僕が持っている能力や知識で使えるものは何もないと思っていました。だからまずは、結果を出している先輩達が正しいと言うことを実践することから始めました。わからないことは全て聞きましたし、本当に恵まれた環境にいたと思います」と謙虚な姿勢で仕事に取り組み続けたという。それが実り翌年3月には大学を卒業し4月には契約社員に、その4カ月後には正社員と瞬く間に昇格していった。

 「販売=営業」と位置付けるトウキョウベースにおいて、販売員の個々の働き方はまさに"セールスマン"そのもの。新作の入荷やデザイナーの来店イベントといった店舗単位のお知らせはLINEやメール、電話など社用携帯を通じて客に連絡を入れる。「最近ではお客様から誘われて飲みに行くことも増えました。社用携帯には現在800人以上の方が連絡先に入っています。とはいえ、ご連絡を一方的に入れ続けるのは迷惑ではないかと躊躇することもありました。でも1年、2年のロングサイクルで来店してくださる方もいることがわかって、今ではこちらの勝手な判断で連絡を止めてしまうのも違うんじゃないかと思っています」と粘り強い営業を心がけているという。

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 「スーパースターセールス制度」の導入に伴い、2016年度は遂に全国トップの売上成績を記録。「目指していたというわけではなく、自分の数字を常に更新したいという気持ちで続けていたら一番になっていたという感じなんです」と7,000万円という売り上げに対しては落ち着いた様子。休日は様々なショップに足を運び接客を体験するというが、「時間に対してお金がもらえるというアルバイト感覚で販売職に取り組んでいる人が多くて、会社が求めていることに応えられている人は少ないのではと感じています。お客様が触れた服の話しかしないような接客では感動を与えられないですし、もちろん数字にも繋がりません」と結果を求めてきた喜多さんだからこその厳しい意見だ。

 「販売員とは、価値観を変え、与えることができる仕事」と考える喜多さんが大事にしていることは、本質的なサービスは何かということ。「なぜこの服は高いのか、なぜ流行っているのか、なぜ勧めたいのか。お客様自身が判断に迷った時にこそ僕たちが必要なのですが、ある意味お客様の意思を無視し裏切るということも大切だと思っています」と新しい服との出会いを提供する独自の接客方法も先輩販売員から学んだことだという。「上昇志向の人が多い環境で、将来的に独立を目指す方も多いです。代表のも『うちで力をつけて独立したいならすればいい。逆にうちの会社はそれでも働き続けたいと思える会社にするよ』と語っています。谷にはいつも刺激を受けます」と自社の魅力を語る。

>>【社長インタビュー】谷正人が挑む業界の壁「企業改革、セレクト業態、販売員の地位」

 今は「単純に店頭に立つのがすごく楽しくて、それが1番だと思っています」とやりがいを語り、今後も販売員としてのスキルを磨いていきたいという。「将来、家族を築いた時に子どもの願いを叶えられるくらいの収入と時間を持つのが夢で、それが好きな服の仕事で実現できるのは嬉しいです。また、会社の人間としてはある意味、僕は新しいモデルケース。これをきっかけに販売職に興味を持つ人が増えてくれたら」と話している。

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