この春オープンラッシュ 買い物ゴコロをくすぐる商業施設が続々

 首都圏にこの春、立て続けに新趣向の商業施設がオープンする。「Comme des Garçons(コム デ ギャルソン)」のデザイナーが目利き役を務める日本初上陸ショップや、本格的なアウトレットモール、台場の新ランドマーク、変わる渋谷のシンボルビルなど、それぞれに持ち味は異なる。ファッションハンターには見逃せない新ショップもデビューが相次ぐ。実はこの3月以降、首都圏ではほぼ毎週のように大型施設がオープンを控えている。単に代金と商品を交換するだけの場にとどまらない、新発想のショップはおしゃれマインドもお出掛けモチベーションもくすぐってくれる。
(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

 エッジィなファッションが好きな人にとって、この春のオープンラッシュのうち、最も気になるショップとなりそうなのが、3月16日に銀座で国内デビューを飾る「DOVER STREET MARKET GINZA Comme des Garçons(ドーバーストリートマーケット ギンザ・コム デ ギャルソン)」だろう。日本が誇る著名デザイナー、川久保玲氏がディレクションするコンセプトストアというだけでも、話題性は申し分なし。既に英国では高感度ショップとしておしゃれ好きのマストスポットになっていて、日本第1号店への期待は大きい。商業ビル「ギンザコマツ」内に入居する。

 「ギンザコマツ」のもう1つの注目テナントは、店舗面積約5,000平方メートルという、「ユニクロ」のグローバル旗艦店だ。世界最大規模となる「ユニクロ 銀座店」はニューヨーク5番街店を上回るボリューム。関東初のグローバル旗艦店は、高橋盾氏のブランド「UNDERCOVER(アンダーカバー)」とのコラボレーションを発表するなど、「ユニクロ」の新たな"顔"となる。ハイエンドなコンセプトストアと日本を代表する巨大アパレルブランドの同居は、変わりゆく銀座のシンボリックな存在となりそうだ。西館の1〜6階に「ドーバーストリートマーケット ギンザ・コム デ ギャルソン」が、東館の1〜12階に「ユニクロ」グローバル旗艦店が入る。


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「三井アウトレットパーク木更津」イメージ

 翌4月は、週替わりで新施設が開業を重ねる。先陣を切るアウトレット施設「三井アウトレットパーク木更津」は4月13日に千葉県木更津市でオープンする。全171店舗が入居する。「Burberry(バーバリー)」や「バーニーズ ニューヨーク アウトレット」「ESTNATION(エストネーション)」などは、関東地方では初のアウトレットショップを構える。全体では段階的に増床していく計画で、最終的に国内最大級のアウトレット施設に育てるという。東京湾アクアラインの千葉側の出入り口である木更津金田インターチェンジに近く、羽田空港からはバスで約20分で行けるとあって、日帰り房総観光を兼ねて、東京都や神奈川県方面からも足を伸ばせそうだ。


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建設中の「東急プラザ 表参道原宿」

 その5日後の4月18日に開業するのが、「原宿GAP(ギャップ)」跡地の原宿ど真ん中に出現する商業施設「東急プラザ 表参道原宿」。こちらの目玉ショップとなりそうなのが、米国発カジュアルブランド「American Eagle Outfitters(アメリカン・イーグル・アウトフィッターズ)」の日本第1号だ。象徴的なにぎわいスポットである神宮前交差点に、一段と人が集まるのは間違いない。全27店舗のテナントには、「TOMMY HILFIGER(トミー ヒルフィガー)」のグローバル旗艦店や、バロックジャパンリミテッドの新業態「The SHEL'TTER TOKYO(ザ・シェルタートーキョー)」も名を連ねている。"世界一の朝食"として名高いオーストラリアのレストラン「bills」は、都心に初めて店を出す。


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「ダイバーシティ東京」イメージ

 翌4月19日には複合施設「ダイバーシティ東京」が東京臨海副都心の台場地区にオープンする。米国のカジュアルブランド「GAP」グループの「Old Navy(オールド ネイビー)」は日本初上陸を飾る。ストアオープンは2012年後半の見込みだが、それまでは出店予定地でブランドと商品のイメージを伝えるプロモーションを展開するという。「American Eagle Outfitters」も入る。手頃なプライスが頼もしい「H&M」「ZARA(ザラ)」「forever21(フォーエバー21)」の「リーズナブル御三家」がそろい踏みするので、買い回りの手間が省けそうだ。アニメ「機動戦士ガンダム」をテーマにしたエンターテインメント施設「ガンダムフロント東京」はファンにとっての新「聖地」となるかも知れない。


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「渋谷ヒカリエ」イメージ

 それから1週間後の4月26日、渋谷が動く。渋谷駅東口に地下4階、地上34階の巨大複合ビル「渋谷ヒカリエ」が開業する。東京急行電鉄グループが旧東急文化会館の跡地に建設した。地下3階〜地上5階には東急百貨店の商業施設「ShinQs(シンクス)」が入る。複合文化施設「Bunkamura」の経験を持つ東急グループは11〜16階にミュージカル専門劇場「シアターオーブ」を設けた。こけら落とし公演はブロードウェイ版「ウエスト・サイド・ストーリー」。おめかしして出掛けたい気分に誘われる空間が、また1つ東京に生まれる。


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東京スカイツリータウン外観イメージ (c)TOKYO-SKYTREETOWN

 東京の商業施設の歴史を見渡しても、これほど近い時期に大型施設が集中してオープンするのは極めて珍しい。さらに、ゴールデンウイーク明けの5月22日には、国民的な話題を呼んでいる「東京スカイツリー」がいよいよ開業を迎える。近くの商業施設「東京ソラマチ」も同時期にオープンする。ツリーと関連施設を合わせた来場者の数は、東京ディズニーリゾートに匹敵する年間2000万人以上と見込まれている。


 複合商業施設というと、箱型のショッピングセンターが思い浮かぶが、近頃はオープンスペースやテラスをふんだんに設けて、穏やかな気分で過ごしてもらおうとする「もてなし型」「滞在型」の施設が相次いで登場している。2011年11月に開業した「テラスモール湘南」(神奈川県藤沢市)は、湘南という土地を生かした。贅沢にスペースを使った「テラスモール」という新スタイルを形にして見せ、西海岸発のスペシャリティストア「Ron Herman(ロン・ハーマン)」を迎えたこの複合施設には、心地よい潮風が吹き寄せ、ウエストコースト風のリラックス感を漂わせる。同じ11年には銀座・有楽町エリアに、「阪急MENSTOKYO」「ルミネ有楽町店」が相次いで開業し、旧来の百貨店・商業ビル型ビジネスが再び活気づいた。

 この春の商業施設を見ると、テナントショップそれぞれの特質を前面に押し出したり、エンターテインメント施設とミックスしたり、居心地のよさを強みに据えたりといったアプローチが目立つ。単純に「買っておしまい」ではなく、その「場」の面白さも楽しめる演出になっていている。あえて性格の異なるテナントを迎えて、"ズレ感"を醸し出したところもあれば、空間全体のムードを強みとする施設もある。そこで過ごす時間までも濃くなりそうな新顔施設は、"ショッピング"という楽しみが、ただの"買い物"ではないのだという事に、改めて気付かせてくれる。


(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

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