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【インタビュー】泳いで東京、サンフランシスコ間の横断を目指すベン・ルコントとは?

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All photos by Gino Kalkanoglu

昨日から自転車通勤にしました。片道40分。これまでほとんど運動してなかったのでやっぱキツいですね。もちろんカラダがそうなって、心に及んでゆくと。坂道は降りますし、公園では一服しますし、そのうち途中でビール飲んじゃうのではないかしら。途中で電車乗っちゃうんじゃないかしら。その前にお尻の痛みに耐えていけるかな。あの口の中の変な味の唾に気付かれないかな。モンダミンを随時クチュクチュしながら乗る!とか。そう言えばこの前、車運転しながら歯を磨いている運送屋さん見ましたよ。どこに吐いているんでしょうかねぇ。やっぱ運送屋さんも接客業ですからね、口臭はまずいですよね。あ、これからの季節、体臭問題もあるのか。やっぱ自転車辞めようかなー。

そんな腐った野郎には到底理解の出来ないチャレンジャーをご紹介。

人々が海で日焼けを楽しんでいたり、バーベキューとビールでブクブク太ったりするこの7月、ベン・ルコントは腕と足のキックだけで、2回目の海洋横断に挑戦する。
フランス出身のベンは20年前にカリフォルニアを拠点にし、1998年には成功裏に大西洋を泳いで渡った。そして今回の7月の旅は、東京からサンフランシスコを計画している。5ヶ月かかる予定だ。5500マイル(約8851キロ)というその距離。泳いで太平洋を横断する人類初の試みとなる。平均時速2ノットから2ノット半で、1日8時間泳ぐことになるだろう。1日の消費カロリーは約1万カロリーに及ぶ。

なぜこのような横断に興味を持つようになったのですか?

僕は長い間、オープン・ウォーター・スイミングに没頭していた。父と一緒に始めたんだ。プールだといつも制約がある感じがして、もっと自由な環境で泳ぎたかったからね。競争するよりもいつも「冒険」をする方に魅せられていたんだ。そして僕が10代の時に、フランスのジェラール・ダボビルが大西洋を手こぎボートで横断した。「僕の泳ぎとどれくらい違うんだろう?」なんて考えている内にやりたくなってきてね。父が癌で亡くなってしまったことも、夢を追うための最後の一押しになったね。

仕事はされているんですか?

うん、建築家だよ。でもこの2年間は、今回の挑戦だけに焦点をあててきた。後悔はしたくはないからね。自分自身を100パーセント捧げることにしたんだ。

あなたは毎日、この横断のためにどのような準備をしているのですか?

サポート・チームの準備が大部分を占めているね。そしてもちろんトレーニング。毎日3時間から5時間泳いでいるよ。健康の維持管理も欠かせないね。

サポート・チームとはどんなものですか?

僕の後ろに6人を乗せたサポート・ボートが入る予定だ。僕は絶えずボートの近くで泳ぐ。そしてボートが進路を読んで方向を指示してくれる。そのおかげで、頭を上げて泳ぐ必要が無くなるんだ。進路から外れていないかどうか、正しい位置にいるかどうかを教えてくれるからね。

ボートにはサメを探知する水中探知機も備えている。だからこそボートは近くにいなくてはならない。チームが不審なものを見つけたら警告してくれる。でも強い波がボートにぶつかって、僕も一緒に潰れてしまう可能性もあるから、たくさんの準備とかルールが必要なんだよ。

もしサメを見つけたらどうすのですか?

チームが警告音を鳴らす。いくつか違うタイプの警告音があって、短いビープ音2つで「気をつけろ、何かがいる!」そして短い音の連続は「早くボートに上がれ!」なんだ。

泳いでいる間の栄養補給はどうするのですか?

20分から30分ごとに、ボトルに入った水分とかスープとか、摂取しやすいものが渡されるんだ。背泳をしながらだと15秒から20秒ほどで飲める。止まってしまう必要はないんだ。

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なぜ東京からサンフランシスコというルートを選んだのですか?

天候と潮のパターンを利用する必要があるんだ。東京からアメリカまでは強い海流が流れている。黒潮と北太平洋海流、この2つが大きく後押しをしてくれるんだ。12月に到着出来ればと思っているよ。

大西洋横断の際に、サメが5日間もついて来たと聞きました。どう思いました?

ボートのまわりをぐるぐると泳ぎ回っていたんだ。朝も夜もだよ。サメを撃退する磁場を作る装置があるんだけど、それはあまり広範囲だと効かないんだ。効いてないときは、サメのヒレがボートの周りをウロウロしているのが見える。磁場が効いた途端、ヒレは消えるんだ。でもどんどんサメは近づいて来てね、僕の下を通り過ぎるようになった。それで最終的には、泳ぐ時間を短くした。次の日、サメは消えてくれていたよ。

怖くなかったですか?

もちろん、怖かったよ。サメがどう行動するかを確認し、野生動物だということを頭に刻み込み、更に慎重でなくてはならない。サメがいるということは同時に、ヤツはエサを探していることであり、友だちを探していることでもある。サメは僕を友だちとして見てはくれなかったけれど。

横断で一番難しいことは何ですか?

それは毎日変わっていくよ。船酔いにかかることもあるし、まともに食べることも出来ない。肌に傷を負い、塩水で痛んでくる。ホームシックにもなるしね。心はどんどん不安定になっていくものさ。それは特別な何かがあったというよりも、物事の積み重ねから起こってくるんだ。

辞めようと思ったことはありませんか?弱気になった瞬間とか。

もちろん、そういう瞬間はあったよ。そういう時は、なぜこれが自分にとって大事なのか、ゴールはどこにあるのか...を思い出さなくてはならない。僕は癌研究のための基金を募っていたんだ。僕が泳ぐことで、癌患者が化学療法を受けられるように援助される。人々は僕にたくさんのメールをくれた。がっかりさせることはできなかった。人は気がつくものだよ、自分自身を超えた大きな何かがあるんだと。

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泳いでいる時は何を考えているのですか?

それは大事な質問だね。この挑戦の一番難しいところは身体よりもメンタルだ。自分自身に意欲を起こさせなくてはならない。自分のメンタルを満たしておくことも必要だ。だから体系的なアプローチが必要なんだ。1日を通して何を考えるかを正確に分かっておく必要もある。だからスケジュールを立てる。最初に父について考え、それから違った言語で数を数えたり、次は数学の問題に挑戦したりなどなど......。自分のマインドで何をしていくのか知っておく必要がある。もしそれをやらないと、あまりに多過ぎる問題を自分自身に問う時間が始まってしまう。意識を身体から分離させて、身体に自動操縦させなくてはいけないんだ。

どうやってやる気を維持するのですか?

苦痛と喜びの間の一線はとても薄い。どちらにせよ、人は絶えずその線上を動き回ることになる。しかし、この瞬間に生きていると強く感じるんだ。とてもやりがいがあって、最後には乗り越える。これ無しには自分の人生を想像出来ないからね。他に道はないのだから。この先に何があるかを考えるのじゃなくて、毎日の取り組みを続けていくことが大事だね。

この挑戦のもっと大きな目的は何ですか?

二酸化炭素排出量削減キャンペーンに関わるクライメイト・グループと、まだ選んでいないけれど、海を守るもう一つのグループのための基金集めをする予定でいるんだ。泳ぐことは人の注目を集める方法だし、人々に環境問題を考えさせることにもなる。

僕たちは、ライブストリーム放送を用意し、太平洋横断をソーシャル・メディアに書き込めるようにも準備しているよ。最終的にはドキュメンタリー映画が公開される予定だ。この狙いは人々を結びつけ、海洋の真ん中で何が起こるのかを見せ、ライフスタイルの少しの変化が、環境に大きなインパクトを持つことだと気付かせるためだ。専門家もコメント出来るようにして、ディスカッションの一部に参加する。可能な限りたくさんの人々を集めたいんだ。

これが終わってから何をする予定ですか?次の挑戦はインド洋ですか?

答えられるとすれば、これでいったん終わりにするとしか言えない。今はただ、太平洋に集中するだけだよ。でもこれが終わったら、その経験を生かして、環境問題についてのサステナビリティ(持続可能性)を子供たちに教えることになると思うよ。幼い時期からサステナビリティを知ることは大事だと思う。学校のカリキュラムの一部になるべきだからね。

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