Masahiro Murase

【孤独のコレクション日記 16SS】ピッティって何?数字でみるスゴさ

村瀬昌広

ファッションエディター・スタイリスト

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 フィレンツェに到着である。肌寒いロンドンから灼熱の地に舞い降りるとなると、心の準備よりも、まずは体調管理を優先すべきだ。というわけで、ホテルにチェックインするや否や、さっそく肉の名店「MARIO」へ。なんだ、腹が減っていただけじゃん! と言われればそれまでだが、これから始まる熱き戦いに向けて"充電"することはとても大切なことなのだ。さて、今回で88回目を迎えた「ピッティ・イマージネ・ウオモ」。お気軽に"ピッティ"と呼んでいるこの祭典を、YOUたちはどこまで知っているのかな? まずはお勉強と洒落こもうじゃないか。

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【孤独のコレクション日記 16SS】
ロンドン初日、笑いとファッションは紙一重?
ロンドン2日目、最もイケてるのは誰だ?
ロンドン3日目のブランドを料理に例えてみよう
ロンドン最終日のハイライトは太陽と芝生とバーバリー

〜概要〜

 「ピッティ・イマージネ・ウオモ」とは、イタリアのフィレンツェで年2回行われる、男性服の展示会のこと。会場となるフォルテッツァ・ダ・バッソには、1000以上ものブランドが集結し、服、靴、ネクタイなどの展示はもちろん、さまざまなイベントなどを行う。「ピッティ・ウオモ」としてスタートした1972年当初は、クラシコ(職人によるハンドメイド仕立て)スーツの技術と伝統を守るためのものであったが、近年ではモードブランドや若手有望デザイナーを招待し、ランウェイなども開催する。

 テイラードやファクトリー系を核としながらも、スポーツやカジュアル、そしてモードの要素を取り入れることによって、その規模は年々拡大。前回2015年1月に開催された第87回においては、総来場者数が3万5000人を突破し、世界最大級のファッションイベントとなった。

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〜歴史〜

 始まりは1951年にフィレンツェで開催されたウィメンズのショー。「ピッティ・ウオモ」という名称になった1972年からは、男性服における世界市場の行方を左右する貴重なイベントとして発展を続けている。

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1951年 ジョバンニ・バティスタ・ジョルジーニがアメリカ人バイヤーを10人招待し、自宅でレディスコレクションを披露

1952年 ピッティ宮殿で初のショーを行う 82年まで、市内にあるピッティ宮殿にある「サラビアンカ(白の間)」など、さまざまな会場を使用していたことからその名が冠せられた

1972年 メンズのトレードショーを行う。44ブランド、多数のバイヤーが集結。「ピッティ・ウオモ」としてスタート。78年には、モード界に革命をおこした「ジョルジオ・アルマーニ」がショーを開催

1990年 新マネージメントチームが発足

1999年には、協会内に「ピッティ・イマージネ財団」を設立。グローバルに、そしてより楽しめるイベントを企画する組織として発展していく

2015年 第87回に過去最高の入場者数を記録

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〜数字〜

"世界最大級"は、その数字を見れば明らかとなる。なかでもビジネスを動かす来場バイヤー数は、ロンドン、ミラノ、パリ、NYで行われる世界4大ファッションウィークよりも多く、ピッティがメンズマーケットの中心であることが分かる。フィレンツェという小さな街に、4日間でこれだけの人が訪れるのは、まさに驚きというほかない。

総入場者数:35000人(前回比+17%) 内訳:バイヤー24000人 プレス&ビジター11000人 (2015年1月開催、第87回のデータより)

 国別:地元イタリアが1位は当然のことながらを、海外からの来場バイヤー数世界一を記録したのは日本。ピッティ協会の関係者も、"よき理解者"として丁重にサポートしてくれる。

 ①イタリア ②日本 ③ドイツ ④スペイン ⑤イギリス ⑥トルコ ⑦中国 ⑧フランス ⑨オランダ ⑩スイス

 出展ブランド数:1020 国別:出展は、やはり近隣諸国の健闘が目立つ。なかでもイギリスは、国内ブランドのほとんどをイタリアに向けて発信している。

 ①イタリア ②イギリス ③ドイツ ④フランス ⑤スペイン

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〜会場〜

 メイン会場のフォルテッツァ・ダ・バッソは、広さ約59,000㎡。協会は、ほかにもレオポルダ駅など多くの施設を保有している。 いやいや、どないでしたか? 勉強になったでしょう(ニンマリ)。これ以上、さらに詳しく知りたいという方は『FINEBOYS』(日之出出版) 2015年5月号をご参照あれ、ドクトル村瀬が写真付きで解説してくれているゾ!(また宣伝!)

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■Burunello Cucinelli

 初日の夜は、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進を続ける「ブルネロ クチネリ(Burunello Cucinelli)」のスペシャルディナー会。

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 フィレンツェの街を一望するメディチ家ゆかりの豪邸には、世界各国から約300人のプレスが来場。贅沢なアペルティーボと絶品の料理に舌鼓を打ちながら、ときに邸内を探索してみる。どことなく神戸の夜景に似ているのかな? と思いつつ、〆のドルチェをおかわり。大変おいしゅうございました。

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 夏らしいライトな色を配したラインナップは、「ブルネロ クチネリ」らしいスポーツシックラグジュアリーを意識したもの。ポイントは、レパートのカットソーをコーディネートのアイテムとして加えたところ。重ねることを想定したシャツの着丈や、細めにフィットするパンツが、今っぽいフォルムをつくりあげている。ダヴェンツァの職人たちがつくりあげるスーツは、タイドアップするというよりは、カジュアルなエッセンスを加えたコーディネートの提案。そほかにも、初登場となるダメージドデニムなどが盛りだくさん。

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 アメリカで大ブレークした同ブランドは、日本でも急激な伸び率を記録中! ジャケットだけでなく、ダウンベストにまでチーフをあしらう美意識は、ときには見習ってもいいのかもしれない。本社があるソロメオ村ではファッションだけでなく、音楽やアート、ダンスまで学べる学校も運営する。今の時代にもっとも大切と言える"ヒューマニズム"を提唱する同ブランドの活動に今後も要注目! である。

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■Emilio Pucci

 マッシモ・ジョルジェッティが、クリエイティブ・ディレクターに就任した新生「エミリオ・プッチ(Emilio Pucci)」。今回はパイロット版ということだが、アーカイブから掘り出したという"ツーリスト"のグラフィックは、ウィメンズだけでなく、メンズにも落とし込まれている。

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 いかにも彼らしいジェンダー、エイジレスなラインナップは、どれが本格的に始動するかは今のところ不明。その全容は9月のプレタを待つほかないのだ。

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 バッグやシューズにのせた象徴的なロゴは、フィレンツェのシンボルである百合の紋章をモチーフにしたもの。足もとは、メタルカラーのトゥが目を引くチャンキーヒールのローファーや、ファーをトリミングしたサンダルなど。う〜ん、9月まで到底待ちきれませんがな。

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>>新生Emilio Pucci「THE PILOT EPISODE」コレクション詳細

■THOMAS TAIT

 「リトゥンアフターワーズ」の山縣良和さんが最終選考に残ったことで、国内でも話題になったLVMHプライズ。その戴冠を得た「トマス タイト(THOMAS TAIT)」がボーボリ公園でプレゼンテーションを披露した。同じアイテムを「対比」として見せていくディスプレイは、金のない時代に作っていたクリーエーションが、予算が出来るとこうも変化、進化するよ! と謳ったもの。

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イギリス国内でも、なかなかその全容が明らかにされない同ブランドだけに、今後の動向が注目される。とはいえ、せっかく素敵な場所を使えたのだから、もう少しきれいに見せてくれてもよかった。だって鏡に、触ったひとたちの指紋がベタベタに付いているんだもの。チャンチャン。

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 いきなりのお勉強会となったピティ初日。今日はこのくらいでカンベンしといてやるので、さっそく肉でも食いにいこう。ん、昼に食ったじゃん!? と言われても、ここはフィレンツェでっせ。かつてセリエAのフィオレンティーナに所属したバティストゥータ(元アルゼンチン代表。地元では銅像が造られるほどの人気選手)なんかは、試合前にドウェキロ(2kg)をペロリと平らげていたそう。強い男は、よく食べる! そしてよく寝る! というわけで、おやすみなさい。また明日でござる。むにゃむにゃ。

つづく

■本日の飛び道具

 ジル・サンダーのサングラス

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