Fumitoshi Goto

ニーマンマーカスがビジュアル検索を大幅にアップデート

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ニーマンマーカスは先月26日、同社アプリのビジュアル検索を大幅にアップデートしたことを発表した。ビジュアル検索とはスマートフォンやタブレット端末のカメラでお気に入りのファッションを撮影して、同一もしくは類似した服を表示し、購入できる機能だ。ニーマンマーカスのアプリにある「撮って、見つけて、ショッピング(Snap. Find. Shop)」機能は人物だけでなく、ファッション雑誌などの画像も撮影して検索ができ、ニーマンマーカスが扱う類似した商品を表示できる。同機能は昨年の秋からニーマンマーカスのアプリに追加されたが、今回のアップデートではこれまでの靴とハンドバックだけにとどまらず婦人服や紳士服、子供服、ペットファッション、家具、ジュエリー、一部化粧品まで、画像を認識して、デザインやテイストの類する商品を探し出せる。スマートフォンやタブレット内に保存している画像からもイメージ検索ができるようにもなっている。
ニーマンマーカス・アプリのイメージ検索を開発・提供しているのはカナダ、オンタリオ州トロントにあるIT企業のスライス(Slyce)社。同社の3D検索機能は、ホームデポのアプリにも「ビジュアル検索(Image Search)」としてベータ展開されており、DIYパーツやツールを撮影してリアル店舗在庫の約3.5万品目とホームデポ・コムが扱う約70万品目の中から商品を検索できるようになっている。スライスの3D検索機能はJCペニーのアプリにも追加されている。
モバイルを使った検索では文字入力や音声入力があり、ファッションでは商品カテゴリーを絞っていく検索がある。手間や時間がかかるためこれから、画像による一発検索が増えてくるだろう。

トップ動画:ニーマンマーカスのイメージ検索機能「撮って、見つけて、ショッピング(Snap. Find. Shop)」のPR動画。スマートフォンやタブレットのカメラでお気に入りのファッションを撮影して、ニーマンマーカス・コムが扱う同一もしくは類似した商品を表示し、購入できるのだ。モバイル内に保存している画像からも検索できるようにもなっている。同機能は昨年秋から追加されているが靴とハンドバックにとどまらず婦人服や紳士服、子供服、ペットファッション、家具、ジュエリー、一部化粧品まで、画像を認識して、デザインやテイストの類する商品を探し出せる。

15年7月19日 - 【ホームデポ】、パーツ名やツール名が不明でもビジュアル検索!これは英語で何という?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。小売業のオムニチャネル化で最もハードルが高く、実行のボトルネックとなるのは実のところ、ITへの莫大投資ではありません。トップや役員を含め、決裁者側のマインドです。なぜか?リアル店舗で長年培った成功体験が、Eコマースという道なき道に進むことに大きな抵抗を生じさせるからです。アメリカ小売業最大手のウォルマートも当初、アーカンソー州ベントンビルの本社内で働くスタッフにもオンライン展開に対しての大きな抵抗がありました。ほぼ完成された小売販売システムに、フルフィルメントセンターなどこれまでと考え方が異なる物流や、「ネットで注文、お店で受け渡し」の販売システムを導入することはどの企業であろうとも拒絶反応を起こすということです。目に見える拒絶反応なら物理的に分かりやすいので対処可能です。失敗が目に見えるわけです。ウォルマートでは前CEOが視察までしながら重要な物流機能を持つIT企業を買収し損ねたことがありました。

⇒結局、アマゾンがさらうように買収しました。で、この買収を手がかりに、アマゾンがフルフィルメントセンターの要となるロボット物流のキバシステムズを買収したことは有名な話です。ウォルマートは買収金額にこだわったため、アマゾンに物流のリードを許したのです。で、ウォルマートはこの失敗に懲りて、ITに莫大投資するようになったのですね。ただし、これは分かりやすい拒絶反応の事例です。問題はオムニチャネル化も表面には現れない、これまでのシステムと軋轢を起こしている場合です。現場では分かっていても、上層部にはこれが見えません。後藤はメイシーズのオムニチャネル化の失敗を調査しました。メイシーズで働くベテランスタッフの証言から、オムニチャネル化が浸透しない原因が分かりました。その原因をさらに追究していくと、結局のところトップや役員のマインドにあるのです。生ぬるいオムニチャネル化が売上不振を招いている根本的な原因なんですね。

⇒新しいシステム(習慣)を人でも組織でも根づかせるのは難しいことです。個人よりも様々な人が働いている組織のほうが難しいかもしれません。長年、これまでの習慣で上手くいっているわけですから、危機的な状況を目の当たりにしない限り、なぜ変えなければならないのか?という疑問が出てくるものです。また習慣を変えなければならないと意識していても、上手くいかない事例が出てきたり、失敗のほうが多くなると、自然に元々繰り返されていた習慣に戻ってしまうものです。メイシーズは早くから画像検索機能を同社のアプリに導入しています。が、まだ使える物ではありません。画像を検索した後、男性か女性か、アウターかインナーかと選ばなければならないのです。アマゾンCEOジェフ・ベゾス氏の「私たちはモノを売って儲けているのではなく、お客様の購買決定を助けることで儲けているのです」から見れば失格な機能です。上層部がこういったことを見逃しているのはコミットしていないからでしょう。
ファッション業界に限らず画像検索はモバイルショッピングで必ず主流になります。これを理解できているかどうかが、その企業のムニチャネル化の成否にかかっていると断言できます。

後藤文俊

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