Fumitoshi Goto

メイシーズが売り場をショールーム化 アマゾンに試着で対抗か?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■投資・調査会社のコーエン&カンパニーは7月、アマゾンが2017年にメイシーズを抜いて全米トップのファッション小売企業になるとの予測を発表した。一方でメイシーズの業績は不振に陥っている。同社が対アマゾン戦略としてオムニチャネルを戦略に据えたのは2012年。メイシーズが2012年3月、証券取引委員会に提出した2011年度年次報告書にオムニチャネルの戦略が掲載されている。この時の既存店・売上高前年比は5.3%の増加だった。しかし、2012年度は同3.7%増、2013年度は同1.9%増、2014年度は同0.7%増と徐々に成長が鈍化していった。そして2015年度の第1四半期(今年2月~4月期)は0.7%の減少と前年を下回り、先月発表された第2四半期(5月~7月期)は2.1%の減少と市場予想さえ下回った。第2四半期の売上高は61.0億ドルと前年同期から2.6%の減収となったのだ。メイシーズでは低迷の要因としてドル高などを挙げているが、アマゾンにお客を奪われているのは明らかだ。メイシーズがアマゾンにできないリアル店舗ならではの施策を元アマゾンの役員の力を借りてテストしている。
カリフォルニア州マンハッタンビーチのメイシーズでは、同社のアプリ「メイシーズ・ゴー(Macy's Go)」を使ったショールーム実験を行っている。ユーザーはショールームにある商品を試着したい場合、メイシーズ・ゴーを起動し商品についているバーコードをスキャンすると、スクリーン上にサイズやカラーが表示される。自分に合うサイズや気に入ったカラーを選択し「試着に加える(ADD to BAG)」をタップすると、試着室に該当の商品がシュート(荷すべらしの昇降口)から送られ用意完了を知らせる。試着室にも専用タブレットが用意されている。試着で気にいらなければ、試着室にあるもう一つのシュートで商品を戻す。スマホやタブレットを通じて他のサイズやカラーをリクエストでき、気に入ればその場で決済も可能となる。売り場は見本を並べたショールームにすることで、商品補充をする必要がない。試着から戻したり、折りたたんだりする人件費を大幅に削減できることになる。見本に値札を付けなくとも、お客はアプリを使って確認するので、価格変更が容易になる。スタッフも売り場と試着室を往復する必要もなく、気兼ねなく何着でも試着できるので満足度は高くなり返品も減少する。このシステムを開発したのは元アマゾン物流担当副社長でホインター(Hointer)CEOのナディア・シュラボロ氏。メイシーズとのテスト展開でこのシステムの拡大を探っている。
メイシーズがボノボスよりショールーム化した店舗を導入しようとしているのは興味深いことだ。

トップ画像:メイシーズ・ゴーがテスト導入されているメイシーズの水着売り場。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。メイシーズの実験は面白いですね。お客が特定の見本からサイズやカラーを選択することから、決済・購入までアプリ上でも行えるのです。これで誰が何を買ったかだけでなく、どのスタイル・サイズ・カラーに興味を持ったのか、人気が集まったのか、という情報まで得られるのです。「試着のコンバージョン率」がわかるのですね。試着では人気があるけれど購入までに至らないスタイル・サイズ・カラーとか、逆に試着のリクエストは少ないけれど一度試着されたら購入に至る確率が高くなる商品までわかるのです。見本品に値札をつけず、セール時にアプリ(ネット)上で価格を変えることができるのもいいですね。ショールームなので商品陳列から商品を折りたたんだりする整理もありません。スタッフの多く配置せずにすみます。お客にとってみれば、販売スタッフに気兼ねなく試着室で何着でも試せるのです。満足がいくまで試着できるので返品は減少し、さらに価格を下げることもできます。以前紹介したスマート試着室ほど導入コストもかかりませんし。
女性は試着が増えれば増えるほど購入する確率が高くなると考えられますが、逆に接客が減少することで相殺されるかもしれません。やっぱり実際にテストしない限りわかりませんね。

14年12月30日 - 【ノードストローム】、スマート試着室!女性は試着で長時間過ごせるから男性は孤独死?

後藤文俊

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