50年代ファッションにも注目、オスカー女優ケイト・ブランシェットが語る「キャロル」の世界

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映画「キャロル」より
映画「キャロル」より
画像: (C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

 映画「キャロル(Carol)」で主演を務めるケイト・ブランシェット(Cate Blanchett)が6年ぶりとなる来日を果たした。本作は今月末に開催される第88回アカデミー賞でブランシェットと相手役を務めたルーニー・マーラ(Rooney Mara)の主演・助演ダブル女優賞をはじめ、脚色賞、衣装デザイン賞など主要6部門でノミネートされている。主人公キャロルを演じたケイト・ブランシェットに女性同士の恋愛を描いた本作への思い、作品の見どころでもある50年代のファッションについて聞いた。

 同作は、ベストセラー作家パトリシア・ハイスミス(Patricia Highsmith)が1952年が出版した「The Price of Salt(邦題:喜びの代償)」が原作となる。同性愛が犯罪だった50年代に発表されたこの小説は、女性同士の恋愛を描いていたため作者のハイスミスが"クレア・モーガン"の別名義で発表せざるを得なかった作品だ。舞台となるのは1952年のニューヨーク。離婚訴訟中のキャロル(ブランシェット)が娘へのクリスマスプレゼントを買いに訪れた高級百貨店で、従業員として働くテレーズ(マーラ)に出会い物語は始まる。同性愛が社会から容認されていなかった時代に強く惹かれ合う2人の女性の愛を描いた作品だが、ブランシェット自身は本作を単なる同性愛の物語と括ってはいないという。「女性と恋に落ちる役を演じるのは普段と違うか、と聞かれるのですが全く違いを感じませんでした。2人の関係を『ロミオとジュエリット』と捉え、思いを馳せていました」と撮影時の心情を語り、「50年代の時代背景から『犯罪=愛』であることが作品の根底にあるテーマです。クライムノベル作家として有名なハイスミスらしい表現だと思います」と作品を解釈する。キャロルが愛情を注ぐ若きテレーズを演じたルーニー・マーラについて「彼女の演技には驚かされてばかりでした。英語で『静かな水面ほど水深が深い』という言い回しがあるのですが、ルーニーはまさに冷静さの中に強さを持ち合わせている、そんな女性。彼女のデリケートで洗練された演技でテレーズは成熟を遂げるのです」と独特の表現で共演者の演技を称えた。

 「役作り」について質問が及ぶと、「私にとって『リズム』。いかに感情をシフトするかなのです。キャラクター設定を最初に決めてしまうのではなく、その人物が存在する世界観や雰囲気が何なのかを知ることを大事にしています」と話す。そこでヒントとなるのが「衣装」だ。公開前にはファッション誌で特集が組まれ、「サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)」が劇中のキャロルの靴を全て提供するなど本作の見どころでもある衣装は、過去3度のオスカーに輝き本年度アカデミー賞に「シンデレラ」との2作品でダブルノミネートされているサンディ・パウエル(Sandy Powell)が手がけた。ブランシェットは、キャロルを演じる上で衣装は「大きな手がかりだった」と言い、「こういった言い方は浅く聞こえてしまうかもしれませんが、衣装やヘアメイクは役作りの大きなポイントです。映画は視覚的なメディアムなので、何をどのように着こなしているかで観客はその登場人物を理解しようとします。キャロルに至っても同様です」と登場人物と衣装の関係性について語っている。

 ブランシェットが「天才」と賞賛を送るパウエルとは、自身も継母役で出演した「シンデレラ」に続いての共作となり「シンデレラの撮影中にふたりでコソコソとキャロルのルックスについて、服を着た時のシェイプから動いた時のボディラインまで意見を交わしました」とアイデアを膨らませていく中で「テレーズから憧れられるような、華美になり過ぎないファッショナブルな着こなし」を組み立てていったという。50年代について「ファッションにとっても、ファッションフォトグラフィーにとっても、とても重要な時代」と当時のファッションに高い関心を寄せ、「(ヴォーグ誌の編集長)ダイアナ・ヴリーランドの作品を見ていたときにシルエットに関しては『もうやりつくされている』『もはや新しいものは無いんだな』と思うくらい、アバンギャルドで素晴らしいものが並んでいました」と自身でもリサーチを行ったと話す。ブランシェットは劇中に着用する衣装にこだわりを持っていると言い「私は押しが強く、常に衣装選びのプロセスには参加しています。ただ、サンディとの仕事に関しては、最初の段階ですでに文句の出しようがないくらい素晴らしいアイデアを持ってくるのでいつも感心させられています」とパウエルとの仕事を振り返った。

 監督は「ベルベット・ゴールドマイン」(98)、「エデンより彼方に」(02)、ブランシェットも出演した「アイム・ノット・ゼア」(07)のトッド・ヘインズ(Todd Haynes)が務め、ブランシェットは今回初めてエグゼクティブ・プロデューサーを兼務。美術や衣装、撮影など作品制作の全体に関わったことで「より大きな責任を感じた」といい、思い入れのある作品に仕上がったと語った。「キャロル」は2月11日から全国で公開される。

■ 『キャロル』
【2015/アメリカ/カラー/DCP/ビスタ/118分】
2月11日(木・祝)より全国ロードショー
配給:ファントム・フィルム
(C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

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