Fumitoshi Goto

善意のPRは難しい?米スタバが売れ残り食品を100%寄付へ

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

フォローする:

■世界最大のカフェチェーンのスターバックスは22日、お店で売れ残った食品全てを寄付するプログラムを始動すると発表した。「フードシェア(FoodShare)」プログラムは来年の全米でフードバンクを展開する「フィーディング・アメリカ(Feeding America)」と「フード・ドネーション・コネクション(Food Donation Connection)」と提携し始める。フィーディング・アメリカの各支部が冷蔵車を使い、約7,600店のスターバックスで売れ残った食品のピックアップを行う。その後、24時間以内にフードバンクに届けられ、朝食サンドウィッチやサラダなどがいたむ前に消費する。同プログラムでは今年末までに500万食の提供を計画しており、2021年までに5,000万食の寄付を見込んでいる。売れ残ったり余った食品の寄付はチポトレやKFC、タコベルなどのファストフードチェーン大手から、オリーブ・ガーデンやチーズケーキファクトリーなどレストランチェーン大手も一部で実施している。スターバックスは2010年から売れ残ったペイストリー(菓子)をフード・ドネーション・コネクションに寄付している経緯がある。一方で冷蔵が必要な新鮮な食品についても、傷まないうちに安全に供給できる方法を調査していたという。
アメリカ農務省(USDA)の2014年データでは、約4,810万人(世帯割合15%)がどこかの時点で次の食事を食べられるかどうか分からない状況に陥ったとしており、約1,500万人の子供が十分な食事や栄養を取ることができないでいる。一方でアメリカ国内で流通する食品の30%~40%は廃棄されている。なお、このプログラムのアイデアは経営陣ではなく、現場で働くバリスタの着想だったという。
アメリカには期限きれ間近の食品を一部に扱う230店展開のグローサリー・アウトレットや、過剰在庫品などの食品を寄付もしくは安く買い入れて販売するデイリーテーブル(Daily Table)がある。

16年3月10日 - 【訳あり青果】、ホールフーズがファンキー青果を販売!署名運動も値段の安さで広がる?

15年6月22日 - 【デイリーテーブル】、全米注目!飢餓と食料廃棄を一石二鳥で解決する非営利スーパー?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。「冷蔵を必要とする売れ残り食品の寄付で、万が一、食中毒などの問題が起こった時、訴訟社会のアメリカではどうなるのか?」という質問をいただくことがあります。「ビル・エマーソン・グッドサマリタン法(Bill Emerson Good Samaritan Act)」という連邦法により、善意で寄付した食品に関しては、故意や過失が無い場合、法的責任が問われないのですね。また、現物寄付の場合には原価の二倍までの控除が受けられる優遇策が設けられています。食品の寄付では法的にはハードルはそんなに高くないのです。ただ、食品を冷蔵などで一定の保存状態に保ったまま物流するロジスティクスの課題があるのです。各地域にあるスターバックスを回れる冷蔵車がフィーディング・アメリカの各支部に十分にないと実現できません。また冷蔵車を運転できるボランティアも必要になります。スターバックスとフィーディング・アメリカがこの課題をどうクリアしたのでしょうか?

⇒こういったアメリカの善意の寄付の話しがでると日本ではなぜやらないのかという声がでてきます。日本にはビル・エマーソン・グッドサマリタン法のような、寄付する側を守る法律がないので簡単にはできないのではないでしょうか。それにフードバンクにしても、アメリカ人でもフードバンクで食料を調達するのは心理的にかなり抵抗があるといいます。今までフードバンクに寄付する人が失業か何かでフードバンクにお世話になる側に陥っても、簡単には行けないようです。もしかしたら日本では「売れ残りなどの残り物を食えというのか!」と云う人も出てくるかもしれません。日本の貧困層はアメリカの貧困層に比べればまだ良い環境にあるのかもしれません。寄付大国のアメリカになるまでにはまだ遠い道のりです。ただ、日本の企業(特に中小)は、スターバックスの善意プログラムではPRを真似るべきでしょう。災害支援をしても規模が小さいからと公表しないところが多いのではないかと思っています。
後藤は「応援してくれているコア顧客のためにも、善意はPRして下さい」と進言しています。善意をPRすることに後ろめたさを感じるトップは結構いますから。

後藤文俊

記事のタグ

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング