Fumitoshi Goto

日本ではありえない?米スーパーがすべての商品を返品可に

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■少しの間、想像してみてほしい。家の近所にあるスーパーマーケットやコンビニエンスストアが、気に入らないという理由だけで、いかなる商品も返品OKだったとしたら、あなたはどのように考えるだろうか?例えば菓子パンや飲み物、アルコール類、冷凍食品からレトルト食品、果物や野菜、お肉などの生鮮品にミルクなどの乳製品等々。「不味い」「味が(自分の好みと)合わない」「期待していたほど美味しくない」「食感があまり気に入らない」「(よくわからないが)何かおかしいと思う」など、勝手で理不尽な理由でも食品を返品でき100%お金が戻ってくるのだ。返品で用意するものは、空となった容器。そんなスーパーやコンビニがあれば、その制度を乱用する人があふれ、たちまち経営が上手くいかなくなると思うだろう。お店にいくたびに返品をし、戻ってきたお金で新たな食品を購入する。購入と返品を永遠に繰り返す。アルコール中毒患者ならビールやワインで無限ループを楽しめる。想像してもあり得ないスーパーがアメリカにはある。トレーダージョーズだ。
トレーダージョーズに行くと「私たちが試して気に入ったものです。もしお気に召さなければ返品してください。返金に煩わすような手間はありません(We Tried it. We Liked it. If you don't like it bring it back for a full no hassle refund)」と返品ポリシーが掲げられている。スタッフから嫌がられることなくいかなる返品も可能なのだ。しかも返品期間の条件もないので、例えば5年前の賞味期限切れとなった商品も返品可能だ。トレーダージョーズで働いていたスタッフによると、「不味い」というだけで開封したシリアルや残ったピザを持ってくるお客は少なくない。トレーダージョーズには食品サンプルポリシーもある。スタッフに言えば、アルコール以外の商品はすべて、開封して味見をすることができるのだ。無論、開封すれば売り物にならないから廃棄となる。それでも好きなだけ試食をさせている。店によってはワインの試飲も可能なところもある。
トレーダージョーズの返品や試食ポリシーはあまりに非常識な制度だが、これにはちゃんとした理由がある。トレーダージョーズの商品の8割以上がプライベートブランドだ。自社の商品開発に、フィードバックとなるお客からの生の声が必要なのだ。人気がなく返品の多い商品はすぐに姿を消すことになる。一方でお客はトレーダージョーズのポリシーで、安心して買い物ができる。プライベートブランドの新商品をお客は躊躇なくどんどん試せる。こうして、お店を信頼できるからこそ、お客が絶え間なく集まってくるのだ。

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トレーダージョーズに行くと「私たちが試して気に入ったものです。もしお気に召さなければ返品してください。返金に煩わすような手間はありません(We Tried it. We Liked it. If you don't like it bring it back for a full no hassle refund)」と返品ポリシーが掲げられている。スタッフから嫌がられることなくいかなる返品も可能なのだ。トレーダージョーズで働いていたスタッフによると、「不味い」というだけで開封したシリアルや残ったピザを持ってくるお客は少なくない。トレーダージョーズの返品ポリシーで、安心して買い物ができる。プライベートブランドの新商品をお客は躊躇なく試せる。お店を信頼できるからこそ、お客が絶え間なく集まってくるのだ。

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トレーダージョーズではスタッフに言えば、アルコール以外の商品はすべて、開封して味見をすることができるのだ。無論、店にとって、開封すれば売り物にならないから廃棄となる。それでも好きなだけ試食をさせている。コスタメサ店のように、お店によってはワインの試飲も可能なところもあるのだ。トレーダージョーズの商品の8割以上がプライベートブランドだ。自社の商品開発にフィードバックとなるお客からの生の声が必要なのだ。人気がなく返品の多い商品はすぐに姿を消すことになる。残念ながら、枝豆チョコレートはなくなっていた。

16年2月1日 - 【返品】、寛大な条件ほど売上増!ユニクロのヒートテックはアメリカでなぜ売れないか?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤は日本からアメリカ市場に進出しようとする小売企業に対してもコンサルティングを行っています。手前味噌でではなく、アメリカ進出前に私からコンサルティングを受ける機会を得ることは本当にラッキーだと思います。なぜだかわかりますか?多くの場合、アメリカ小売業に精通するコンサルタントに相談するようなことはしません。自分たちでアメリカに来て、売り場を見て、それでちょっと考えるぐらいのことしか行わないのです。日本国内の業績が良くアメリカに挑戦したいという軽い気持ちで来るのです。それで、進出前にアメリカに視察に来て、コーディネーターで頼るのが取引先だったりするのですね。国内メーカーなどの取引業者を通じて現地法人の日本人にコーディネーターやガイド役を依頼するのです。実はこれはタダで、コストゼロです。いつも取引してやっているのだから、アメリカぐらい案内しろというものですね。ただし、これには大きな落とし穴があります。

⇒日本の小売企業がアメリカに進出するとなれば、現地の日系メーカーにとってはお得意様になります。日本の本社と同様、アメリカでも大口顧客になる可能性があります。コーディネーターもガイドでも何でも引き受けるでしょう。豪華な食事もすべて接待で、必要とあれば大手チェーンストアの役員や店長等の懇談も手配するでしょう。アメリカ市場についてのセミナーも行うでしょう。ただし、現地の商慣習で、不都合な部分は絶対に話しません。不都合な事とはアメリカ小売業の返品制度です。返品の事実を知るとアメリカで戦うことはできないと思ってしまうからです。また進出しても契約条件に返品のしわ寄せをメーカーに押し付けてくる場合もあるからです。一方、後藤がコンサルティングするとクライアントにウォルマートやターゲットで返品状況を観察してもらいます。山のような商品を返品するアメリカ人を見て、驚きます。しかもスタッフは淡々と返品を受け付けているので、さらにビックリします。

⇒後藤のコンサルティングでは返品についての説明を様々な事例を用いて行います。カタログ販売だったシアーズが100年以上前から返品を行っていること、ウォルマートやターゲットは3ヶ月間は返品OKであること、ホームデポやロウズでは購入から1年以内に観葉植物を枯らしても無償で新しいものに取り換えてもらえること、トレーダージョーズでは食品すべて購入時に関係なく返品できること等々の説明を繰り返すのです。一方で、アメリカの商慣習を無視した失敗事例(日系企業)も説明します。こうやって正しい情報を得ると正しい判断をすることができるのです。自分たちにとって不都合な情報を隠せば、真実の商慣習を知らないまま進出してしまい、現地で残念な結果となるのです。日系企業の多くは「返品制度は以前から知っていましたよ」と言います。が、心から納得した「腹に落ちる」感覚ではなく浅~く知っていたということです。結果、アメリカに進出しても(日本の本社から理解を得ずに)厳格な返品制度にしてしまい集客が難しくなるのですね。
トレーダージョーズで買い物して、開封して大半を食べてしまった商品を返品してみなければ、理解できないかもしれませんね。

後藤文俊

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