Fumitoshi Goto

モバイル決済システムの「カレンシー」終了

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■小売企業で構成するコンソーシアムのマーチャント・カスタマー・エクスチェンジ(Merchant Customer Exchange:MCX)は7日、モバイル決済システムの「カレンシー(CurrentC)」の終了を発表した。カレンシーはモバイル決済を目的としたアプリで、アップルペイなど非接触ICカード技術のNFC(Near Field Communications)と異なり、カレンシーが生成したQRコードで決済を行うシステムだ。NFC端末を導入せずとも現行のシステムで決済ができることで小売店にとってコスト面で大きなメリットとなっていた。これまで行っていたテストサービスは6月28日に終了し、すべてのアクティブアカウントが無効化となる。またカレンシーアプリはアプリストアから外され、テストに参加したすべての店舗でカレンシーの決済を受けられなくなる。MCXはカレンシーの再開に含みは持たせているものの事実上、サービスが完全に終了したとみられている。

MCXは2012年、大手小売チェーンなどを中心に設立された。参加企業にはウォルマートやターゲット、ベストバイ、ロウズ、CVS、ライトエイド、ベッドバス&ビヨンド、セブンイレブン、GAP、パブリクス、オリーブガーデン、ダンキンドーナツ、サウスウエスト、ガソリンスタンドチェーンのスノコなどが含まれており、加入企業の年間売上高の合計は当時、約1兆ドル(約105兆円)にも上っていた。一方で初期のテスト段階となる2014年、カレンシーのハッキングが明らかになり、安全性に大きな問題を残していた。また、2015年にはMCXに加盟していたベストバイとライトエイドがアップルペイの採用を発表、さらにMCXのCEOが辞任を表明していた。今年5月、ウォルマートが独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」を開始した。同じ頃、MCXがカレンシーの全米展開の凍結と、全社員の40%にあたるスタッフ30人のレイオフを発表していた。

トップ画像:コンソーシアムのMCXはカレンシーの終了で、テストに参加していたオハイオ州コロンバスの小売業者やユーザーに感謝の意をささげている。
16年5月18日 - 【ウォルマート】、ウォルマートペイ始動!セービングキャッチャーでさらにシームレス?

14年10月31日 - 【モバイル決済】、MCXのカレンシーがテスト段階でハッキング!その真犯人は...?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。2年前、カレンシーが何者かによってハッキングされたとき、当ブログでは「後藤はカレンシーについて『問題は安全性。普及・拡大している時に、一度でもハッキングされるようなことがあれば、カレンシーはアウト』と指摘しました」と書きました。予想通りにカレンシーは終了となりました。モバイル決済システムの安全性に少しでも欠損があれば消費者離れが起きます。この場合は加盟社離れとなったのですが...初期段階での情報漏えいはカレンシーやMCXのブランドイメージに大きな傷をつけたのと同じです。あくまで後藤の推測になりますが、コンソーシアムのMCXがお役所体質になっていたのではと疑っています。参加企業はウォルマートやターゲットなど大手チェーンストアであり、そういった企業がまとまったのは素晴らしいことですが、逆に時間とともにそれぞれの思惑が浮き彫りになり、身動きが取れなくなったMCXが硬直化したと思うのです。

アップルペイにサムスンペイ、ウォルマートペイとくれば、次にコストコペイなど「社名にペイ」のモバイル決済が無限ループ。で、最終決裁、林家ペー!

後藤文俊

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