Fumitoshi Goto

ウォルマートペイが7州に拡大 銀行口座を持てない消費者も対象に

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ウォルマートは独自のモバイル決済システム「ウォルマートペイ(Walmart Pay)」を4州に拡大したことを発表した。ウォルマートペイは同社のスマートフォン・アプリにクレジットカードなどの情報を事前に登録しておき、レジのQRコードを読み取ることで決済を行う。ウォルマートは先月、自社開発の決済システムをテキサス州とアーカンソー州、オクラホマの店舗で正式に開始した。今回、ウォルマートペイを拡大した州はアラバマ州、ジョージア州、ルイジアナ州、ミシシッピー州で、500店近くのウォルマートスーパーセンターで利用可能となる。ウォルマート・ペイはウォルマートのアプリ機能の一つ。アップルiOSやグーグル・アンドロイドでの利用が可能となっている。登録できるのは、主要なクレジットカードやデビットカードの他、プリペイドカードとなるギフトカードにも対応している。ウォルマートペイの使い方は、レジでウォルマートのアプリを開き、ウォルマートペイを選択、カメラを起動してQRコードを読み込ませることで決済完了となる。eレシートが自動的にアプリに送られることで、レシートをスキャニングする手間が無くなるため、セービングキャッチャー機能をワンタップで利用可能となる。セービングキャッチャーとは競合店のセール価格に合わせて差額分を返金するアプリ機能。ウォルマートは6月末までにウォルマートペイの全米展開を計画している。ウォルマートではアップルのアップルペイやグーグルのアンドロイドペイ、サムスンのサムスンペイなど他のモバイル決済システムには対応していない。
なお、ウォルマートは小売企業で構成するコンソーシアムのマーチャント・カスタマー・エクスチェンジ(Merchant Customer Exchange:MCX)に加盟し、モバイル決済システム「カレンシー(CurrentC)」をサポートしていたが、カレンシーは6月28日をもってサービスを終了する。


16年5月18日 - 【ウォルマート】、ウォルマートペイ始動!セービングキャッチャーでさらにシームレス?

16年6月11日 - 【モバイル決済】、MCXのカレンシーが終了!「ハッキングでアウト」と予想していた?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ウォルマートCEOのダグ・マクミラン氏は先日、向こう3年で売上高を最大12%増やす「強気の目標」を明かしました。ウォルマートの昨年度の売上高は4,820億ドルでしたが、これに450億ドル~600億ドルを追加するとしているのです。昨年度の売上は前年より0.7%減少し、ウォルマートとしては初の減収となりました。この減収後に、3年間で最大12%の成長目標に対しては懐疑的な見方が多いです。が、マクミラン氏は厳しい競争環境を挙げながらも、中国ではまだ成長できるとみているのですね。一方でアメリカ国内に目を向けると、シームレスショッピングではまだ成長機会があるとみています。ウォルマートはオムニチャネル・リテーリングと言う言葉を使っていません。オムニチャネルとは「いつでも、どこでも、顧客が好きな時に注文ができ、好きな時に都合のよい場所で注文したモノを受け取ることができること」です。この考えでは、ウォルマートの顧客には不十分なんです。

⇒オムニチャネルはモノの流れとなる販路しか考えていません。オムニチャネルでは支払い方法がシームレスとはいえないのです。オムニチャネルの支払い方法は主にクレジットカードやデビットカードで支払うことが前提として含まれています。しかし、アメリカの貧困層ではクレジットカードやデビッドカードを持っていない人が少なくないのです。連邦預金保険公社(FDIC)の調査によると、驚くなかれ18歳以上の消費者の40%!が、銀行に当座・普通預金口座を持っていない「アンバンクド(Unbanked)」層です。この層が2008年からなんと4倍以上に膨れ上がっているのです。見方を換えれば、銀行口座を持ってない人が急増していることで、クレジットカードやデビッドカードを利用できない人も急増していることを意味します。つまりアマゾンなどオンラインストアでモノを買いたくてもカードを持っていないので買えない人が増えていることになるのです。で、ウォルマートの顧客層はまさにウアンバンクドと被るのです。

⇒ウォルマートには金融サービスの「ウォルマート・マネーセンター(Wal-Mart MoneyCenter)」があります。クレジットカードをもたず、一般の銀行に口座も開設できない低所得層から、スマートフォンを頻繁に使う若い層をターゲットに、手数料を低く抑えて小切手の換金等、金融サービスを提供しています。ウォルマートのシームレスショッピングとは、口座も持てない人に対しても決済を含めた手間を最小限にするシームレス化を行おうとしているのです。給与の小切手をウォルマート・マネーセンターで換金する際、一部をプリペイド方式のデビッドカードにしてもらい、もしくはウォルマートペイにすることで、スーパーセンター等でシームレスに買い物をしてもらおうとしているのです。で、ワンタップでセービングキャッチャーまでできるようにしています。またウォルマートのオンラインストアで購入時の支払いをお店で現金で行う「ペイ・ウィズ・キャッシュ(Pay with Cash)」もシームレス化の一環です。
銀行口座を持てない低所得者層がウォルマートペイなどを利用するようになればさらに売上が伸びるというわけです。

後藤文俊

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