Fumitoshi Goto

ECによる実店舗破壊はまだまだ続く?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

フォローする:

■今年に入ってメイシーズやシアーズ、リミテッドなど多くのチェーンストアが実店舗の大量閉鎖を発表している。いうまでもなくアマゾンなどオンラインストアの影響によるものだ。ただ、Eコマースによる実店舗破壊は、まだ始まったばかりとする向きもある。調査会社コーヘン&カンパニーによると、Eコマースの成長は今年、昨年以上のペースとなる。Eコマースは2022年までに小売全体の14%に達すると予想しているのだ。同調査会社は今年の9%から5年間で14%に急伸するとしている。1月31日に発表されたレポートで同社アナリストのジョン・ブラックリッジ氏は「Eコマースによる破壊はまだ初期段階であり、我々の分析ではアパレルや自動車、食品の業種が破壊進行の初期~中期段階にあるのだ」と指摘している。ブラックリッジ氏によると、ここ数年の実店舗の大量閉鎖もアメリカの1人当たりの小売面積は48平方フィートとなっている。カナダの13平方フィートやイギリスの22平方フィートに比べてアメリカは店舗過多となっているのだ。ネット通販最大手のアマゾンは物流倉庫をいまだに拡大中であり、フルフィルメントセンターの稼働は昨年だけでも30%も増えたという。ブラックリッジ氏はここ数年で最も早いペースと見ている。その影響から実店舗はさらに大量閉鎖に追い込まれるとしているのだ。
Eコマースによる破壊が初期段階とされた食品業界でも同じような指摘がなされている。食品マーケティング協会(FMI:Food Marketing Institute)と調査会社ニールセンが1月30日に発表した調査レポート「デジタル化する食品ショッパー(The Digitally Engaged Food Shopper)」によると、2025年には食品支出の20%がオンライン経由となり1,000億ドルのマーケットになるのだ。スーパーマーケットで特に影響を受けるのは「センターストア・カテゴリー(Center Store Categories)」と呼ばれている店の中央に置かれている商品群だ。CPG(パッケージ商品)や美容・健康関連、日用品などの40%がオンラインで購入されることになると予想している。これらの商品はオンラインストアで定期購入となる可能性が高い。またワンプッシュで商品を簡単に注文できるボタン「アマゾン・ダッシュ・ボタン(Amazon Dash Button)」の対象商品はセンター・ストア・カテゴリーの商品だ。店内の周囲に配置されている生鮮品やデリ、冷蔵品、牛乳・チーズなど日販品など「ペリメーター・カテゴリー(Perimeter Categories)」もオンラインの影響から逃れられない。センターストア・カテゴリーのオンライン購入に慣れた消費者が、ペリメーター・カテゴリーでもオンライン購入する機会が増えるとみられている。
新たな効率的なショッピングが普及するに伴い、古い非効率的な買い方が駆逐されていく「買物の創造的破壊」の現場をさらに多く見かけることになるのだ。

トップ画像:食品マーケティング協会(FMI:Food Marketing Institute)と調査会社ニールセンが発表したレポートによると、2025年には食品支出の20%がオンライン経由となり1,000億ドルの市場となる。実にスーパー3,900店分の売上がオンライン経由となるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ミズーリ州セントルイスを中心に5州に100店を展開するスーパーマーケットのシュナックス・マーケット(Schnucks Market)がインスタカートと組んでオンライン食品宅配サービスに乗り出します。といってもシュナックスにとってオンライン食品宅配サービスはこれで2度目の挑戦です。同社は以前まで「シュナックス・エクスプレス・コネクション(Schnucks Express Connection)」という名前で宅配サービスを行っていたのです。現存するサイトにアクセスすると分かりますが、とっても懐かしいインターネット黎明期のホームページ・デザインです。営業はしていないので死んだ状態ですが「オンライン食品宅配サービスのシーラカンス」です(笑)。シュナックスはなんと1997年6月!にインターネット宅配サービスを始めていたのですね。シュナックスは20年前から宅配だけでなくピックアップサービスも行っていました。崩壊したウェブバンの創業より早い、超フライングスタートでした。

ec_netsuper_0203_2.jpgec_netsuper_0203_3.jpg

ミズーリ州セントルイスを中心に5州に100店を展開するスーパーマーケットのシュナックス・マーケット(Schnucks Market)と「シュナックス・エクスプレス・コネクション(Schnucks Express Connection)」の宅配バン。

ec_netsuper_0203_4.jpg

シュナックス・エクスプレス・コネクションはまさにインターネット黎明期のホームページ・デザインだ。ただシュナックス・エクスプレス・コネクションは最近まで営業していた。「オンライン食品宅配サービスのシーラカンス」といえるだろう。

⇒ちなみに新オンライン食品宅配サービスは「シュナックス・デリバーズ(Schnucks Delivers)」になります。シュナックス・エクスプレス・コネクションがオンライン食品宅配サービスの初事例かどうかはわかりません。が、シュナックスは間違いなく進み過ぎていたスーパーマーケットだったのですね。シュナックスは上場していないプライベート企業(売上高は推定30億ドル)です。トップの鶴の一声でオンライン食品宅配サービスに挑戦したのでしょう。需要もなく利益もでなかったのは想像に難しくありません。静観視するだけの多くのスーパーマーケットに比べれば、積極的にレスペクトしたいチャレンジ精神です。現在はスーパーは静観していられない情勢になってきています。スーパー最大手のクローガーやウォルマートはカーブサイドピックアップを増やし、一部の地方のスーパー等も同様なサービスを始め、インスタカートやシプツなどオンライン宅配業者と組んだ宅配サービスも始めていますから。

⇒調理前の食材がセットになっているオンライン宅配の「ミールキット(Meal Kit)」需要も急増しています。生まれたときからネットがあり、スマートフォンに使い慣れた若い母親はお店の入り口は、実店舗のエントランスではなくスマホの店アプリやホームページなんですね。スーパーマーケットもぼんやりしていたら競合に売上を持っていかれるどころか、若い母親から「ダサい」とレッテルを貼られることにもなりかねません。食品マーケティング協会(FMI:Food Marketing Institute)と調査会社ニールセンが発表したレポートによると、2025年には食品支出の20%がオンライン経由となり1,000億ドルの市場となるのです。実にスーパー3,900店分の売上がオンラインからとなるのです。アメリカの5年~10年遅れている日本でも同じことが起こります。「うちのお客はばあさんばかりだから」と言い訳を言っていられないのですね。早すぎたシュナックスを見習う必要はありませんが、日本の地方のスーパーも今から準備しておく必要はあります。
そういえば20年前といえば、映画「スーパーの女」がありました。スーパー大好き主婦が幼馴染の経営するダメスーパーマーケットを立て直していくというサクセスストーリーでした。2025年の「新スーパーの女」のストーリーはどうなりますかね?

後藤文俊

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング