Fumitoshi Goto

ホールフーズが売上低迷で店舗閉鎖、コア顧客離れが原因か

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ホールフーズは8日、目標としていた1,200店舗展開を棚上げし、景気後退以降初となる店舗閉鎖を発表した。同社は4年前、目標店舗数を1,200店としていたが、最近はクローガーやウォルマートなど競合店からの価格競争で売上が低迷している。9店舗に及ぶ店舗閉鎖は第2四半期(1月~3月期)中に行い、カリフォルニア州やアリゾナ州など7州の小型店や不採算店などがスクラップされる。ホールフーズが同日に発表した第1四半期(10月~12月期)決算は売上高が49.2億ドルと前年同期比1.8%の増加となった。競合からの競争に加え、生鮮品などの食品デフレも売上に若干影響を及ぼした。純利益は前年同期比39.5%減となる9,500万ドル。販促を増やしたことにより粗利益率が33.6%と景気後退以降では最低を記録した。一方で一般販売管理費率や店舗の移転や閉鎖などに伴う費用など経費がかさみ本業の儲けを示す営業利益率も3.5%と前年同期の5.2%から大幅に減少した。既存店・売上高前年同期比は客数が減少したことで2.4%の減少となった。ホールフーズの既存店ベースは2015年度の第4四半期から6四半期連続して前年を下回っている。ホールフーズは業績低迷を受け、2017年度通期の見通しを引き下げた。売上高は当初の2.5%増~4.5%増を1.5%増以上とし、前期比2%減~横ばいの範囲内に収まるとしていた既存店ベースは、最大で2.5%減になるとの予想に下方修正した。
ホールフーズは現在、アメリカを中心にイギリスとカナダを含め469店舗を展開している。その中にはロサンゼルス近郊シルバーレイク地区やオレゴン州レイクオスウィーゴ地区などにオープンした新フォーマット「365バイ・ホールフーズ・マーケット」3店も含まれている。

トップ画像:ロサンゼルス郊外でサウスコーストプラザ近くにあるディストリクト・アット・タスティン・レガシーSCのホールフーズ(1,700坪)店。この店に昨年末、オーガニックでグルテンフリーなサンドウィッチ&サラダチェーン「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」の店舗内店舗がオープンした。地元で人気のレストランを導入したグローサラント業態はいいのだが、売り場が悪くなっている。定点観測していると分かるのだが、数年前までの「ホールフーズらしさ」がなくなっているのだ。

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ホールフーズ・マーケットの既存店・売上高前年同期比と粗利益率の推移グラフ(過去10年間)。既存店ベースは100年に一度と言われた景気後退時の4四半期連続を越え6四半期連続して前年を下回っている。粗利益率も競争激化により販促が増え、景気後退期以降では最低となる33.6%だった。同社CEOジョン・マッキー氏が「眠れない日々が続いた」と語っていたリーマンショック時に、粗利益率が近づいている。リーマン・ブラザーズ破綻(2008年9月15日)に端を発した世界的金融危機、ホールフーズの粗利益率は2008年7月~9月期が33.3%、2008年10月~12月期の33.4%となっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ホールフーズは1,200店舗展開の目標をやっと撤回しました。後藤はかねてから「全米に1,200店もスーパーを展開すればウォルマートやクローガー等の競合からの価格攻勢により売上が低迷する」と指摘していました。富裕層を相手に300店前後で展開していた時と異なり、1,200店まで店を増やそうとすれば、成長途中で富裕層地区以外にも出店をしなければなりません。つまり価格に敏感な客を相手にしなければならないのです。そうなればコアバリューなど「ホールフーズらしさ」も失われてしまうのです。後藤はホールフーズで定点観測を行っています。観測場所はロサンゼルス郊外でサウスコーストプラザ近くにあるディストリクト・アット・タスティン・レガシーSCのホールフーズ(1,700坪)店です。この店に昨年末、オーガニックでグルテンフリーなサンドウィッチ&サラダチェーン「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」の店舗内店舗がオープンしました。

⇒地元で人気のレストランを導入したグローサラント業態はいいのですが、売り場が改悪しています。数年前までの「ホールフーズらしさ」がなくなっているのです。「らしさ」とは情報発信。例えば、売り場スタッフを専門家としてプロフィールなどをPOPで紹介していました。店舗の経費削減によるコストカットで文字情報が極端に少なくなっています。つまり店のこだわりを伝えようとしていないので普通のスーパーマーケットになってしまっているのです。コストカットは従業員待遇にも及んでいるようで、サービスの質が落ちているようにも感じます。「らしさ」がなくなれば富裕層を中心にしたコア顧客はホールフーズから離れていきます。ホールフーズCEOジョン・マッキー氏もコア顧客離れを察知したのだと思います。興味深いことに、同氏はこれまでの決算発表でほどんと使わなかった「コア顧客(core customer)」というワードを今回の決算発表で5回も使っています。販促で利益率が減少したことで目がさめたのでしょう。
マッキー氏は以前、リーマンショック時について「(売上が急激に下がり)眠れない日々が続いた」と明かしていました。粗利益率が下がり当時に近づいているので目標を大幅に修正しなければならなかったのです。

後藤文俊

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