Fumitoshi Goto

ウォルマート、アウトドア用品のムースジョー買収

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ウォルマートは15日、アウトドア用品を実店舗やオンラインストアで販売するムースジョー(Moosejaw)を現金5,100万ドルで買収したことを発表した。1992年創業のムースジョーはミシガン州マディソンハイツに本社があり、アウトドア系の通販ショップとしては大手。パタゴニアやノースフェイスなど主要アウトドア・ブランドを取り扱い、ミシガン州など中西部に10店舗を展開している。取り扱いカテゴリーはアパレル用品からクライミングやキャンピング、ハイキングなどのアウトドアギアやアクセサリーなど。ムースジョーの従業員数は350名。ウォルマートによると過去の買収と同じようにムースジョーは今後も独立した経営を維持される。一方でムースジョーが取り扱う400のアウトドア・ブランドと12万品目に及ぶアウトドア用品はウォルマートのEコマースに加わることになる。調査会社コムスコアによるとアパレルとアクセサリーがEコマースで最大カテゴリーとなっており、今回の買収によりアウトドア・アパレルの市場拡大を目指すことになる。
ウォルマートは先月も靴のオンラインショップ「シューバイ(ShoeBuy)」を7,000万ドルで買収したばかり。シューバイを買収したのはウォルマートが昨年8月に買収しウォルマート傘下となったジェット・コム(Jet.com)。マーク・ローリィ氏が2014年1月に立ち上げたジェット・コムはウォルマートに33億ドルで買収されている。ローリィ氏は現在、ウォルマートのグローバルeコマース部門のCEOとなっている。ウォルマートは2011年以降、Eコマースに積極的に投資しており、同社としては最大規模の買収となったジェット・コム以前では、検索エンジンの「コズミックス(Kosmix)」やソーシャル広告の「ワンライオット(OneRiot)」などIT企業15社を買収している。
ムースジョーの買収で人気アウトドア・ブランド以外にムースジョーのソーシャルメディア戦略のノウハウを得るとみられている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社のクライアントの中にはコンサルティング企業も含まれています。実は、コンサルタントやコンサルティング企業からの問い合わせが結構多いのです。で、必ずと言っていいほど同じような問い合わせの内容です。一言で言えば「『情報交換』『意見交換』しましょう」というもの。しかし、後藤はきっぱりと「私が欲しいと思うような情報や意見はありません」と、情報の等価交換をお断りしています。人が何かを得ようとすれば同等の代価が必要です。私がもつ専門情報と同じ価値のある情報を日本のコンサルタントやコンサルティング企業は持っていません。したがって情報交換はしないのです。アメリカ小売業は日本の5年~10年先をいっています。日本の未来となるアメリカの市場で、コンサルタントとしてまた消費者として専門的な一次情報を得ているのは後藤だけです。一次情報とはニュース記事や書籍などの「人手を介した情報」ではない、ナマの現場情報のことです。
⇒後藤は大手企業のCEOやエグゼクティブなどにインタビューしたり、アプリ経由で買物して大手チェーンストアのオムニチャネルを調べたり、レストランによるモバイルオーダーの違いを注文して調査したり、アマゾンの物流センターを見学しスタッフに質問攻めしたり、ニューヨークから5時間運転してウェグマンズのオーガニック農園を視察したり、グローサラント研究で中西部のスーパーに向かったり...と時間とお金、労力を投資しています。調査から得た知見を体系化して大手企業でオムニチャネルのコンサルティングも行っています。語学力もなく、年に数回程度の渡米で、クライアントにお金を出して連れてきてもらうようでは、インパクトのある良質な情報は絶対に得られません。「情報交換」等と、もっともらしいことを言わず、後藤にコンサルティング依頼をすればいいだけのこと。「結果に満足しないのなら100%返金する」と保証しているのですから、素直にコンサルティングを受ければいいのです。今は超がつくほどのスピードの時代。後藤が貴重な時間をついやして得た専門性に投資する、と考えて後藤を巧く使えばいいのです。

⇒「お金で時間を買うべき」というのは後藤の考えであり、今のウォルマートの投資姿勢でもあります。Eコマース企業など、ITやSNSなどにノウハウをもつ企業をウォルマートは積極的に買収しています。スピーディに専門家に投資しています。これはウォルマート前CEO(2009年~2013年)であるマイク・デューク氏が反省して学んだことです。デューク氏はブルームバーグのインタビューで「振り返ると、もっと早く動けば良かったと後悔しています。ウォルマートは多くの成功を収めましたが、Eコマースに関して我々はなぜスピーディに行動できなかったのかと不思議に思っています。ウォルマートのEコマースは現在、とてつもなく前進し大きくなっていますが、それでも、もっと早く動くべきだったと後悔しています」と語っています。デューク氏がITで反省した出来事があります。当時、急成長していたダイパーズ・コム(diapers.com)などを運営するクイッジー(Quidsi)を巡ったアマゾンとの買収合戦です。

⇒ウォルマートは2009年、クイッジー買収で大筋に合意しながらも買収額が高すぎるとすぐに動きませんでした。マイク・デューク氏はダイパーズ・コムのフルフィルメントセンターまで視察していたといいます。ウォルマートが買収額に難色を示した直後、アマゾンがクイッジーを買収したのです。ウォルマートは投資を渋ったばかりに、当時アマゾンの脅威となっていた急成長Eコマースベンチャーを手にすることができなかったのですね。そればかりか、ウォルマートは目先の金額をケチったことで、クイッジー創業者マーク・ローリィ氏の頭脳や彼のノウハウを手に入れることができなかったのです。クイッジーはフルフィルメントセンターでロボット物流システムのキバ・システムズを使っていました。アマゾンはクイッジーを買収後、キバ・システムズも買収しました。これによりウォルマートはEコマース事業でアマゾンに大きな遅れをとることになったのです。この反省からデューク氏は「IT投資にお金を惜しむな!」となったのです。
コンサルタントに限らず、お金を惜しむ大手チェーンや企業は少なくありません。しかし、これは100社中90社以上のマジョリティな考え方。誰もが考える「コモディティ思考」や、みんなと同じの「コモディティ行動」から抜け出せないと生き残ることはできません。

後藤文俊

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