Fumitoshi Goto

IT投資が遅れると「EC伸びるも店売り低迷」状態に?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ターゲットが28日に発表した第4四半期(11月~1月期)決算はファーマーシー部門の売却に、店舗売上が予想外に低迷したことで減収となった。売上高は前年同期比4.3%減となる206.9億ドル。純利益は8.17億ドルと前年同期の14.26億ドルから42.7%と大幅な減少となった。一般販売管理費率は経費削減により前年同期の18.1%から17.5%と0.6ポイント圧縮したものの、粗利益率は年末商戦に向けた販促活動や在庫処分で前年同期の27.9から26.9%と1.0ポイント低下した。店舗とネット経由を合わせた既存店・売上高前年同期比は1.5%減だった。内訳は客数が0.2%の増加となったが、セールなどの販促等で客単価が1.6%も落ち込んだ。ターゲットの既存店ベースは3四半期連続して前年を下回っている。オンライン売上は同34%の大幅増加となった。ターゲットのオンライン売上高は全体の6.8%に達している。またボピスなどオンライン経由の売上は既存店ベースを1.8%押し上げている一方で、オンライン経由の売上を除いた実店舗の既存店売上は3.3%の減少となった。通年ベースでは売上高が695.0億ドルと前年比5.8%の減少、純利益は27.4億ドルと前年比18.6%の減少だった。既存店ベースは0.5%の減少だった。
ターゲットは国内に1,802店を展開しており、その内訳はスーパーセンター業態など4,760坪以上の大型店が276店(前期より2店舗減)、1,400坪~4,760坪未満の通常のディスカウントストア・フォーマットは1,504店(前期より1店舗増)となっており、「フレキシブル・フォーマット(flexible format)」と呼ばれている1,400坪以下の小型店は前期から3店舗増やし22店舗となっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤のコンサルティングは、日本より5年~10年先をいくアメリカ小売業・流通業から、お手本となる成功事例をもとにクライアントにあるべき姿やとるべき戦略をアドバイスします。また、オムニチャネル・リテーリングなどの失敗事例からは避けるべき姿や回避すべき戦術を明らかにする一方で、改善している事例からはトラブルシューティングを学び、実務としての確実なアクションを提言しています。後藤メソッド(教授方法)が極めてユニークなことに加えて、コンサルティングで成果を重視しているため「売上・儲けの役にたたない」などの不満が少しでもあればコンサルティング・フィーを100%返金するという、コンサルタント業界では非常識な保証制度も設けています。見方を換えれば、後藤はコンサルタントとして明確なポジショニングを行っているのです。逆に曖昧な立ち位置にしていると、依頼者とのバランスが悪く、実務アクションに結びつかないのですね。
⇒アクションに結びつかない典型例は、事例を見るだけみて学ぶだけ学んで何もしない「見逃し三振」。スピーディなアクションで幾何級数的に売上が伸びるのに「同業他社がしていない」という理由から静観していては本当にもったいないことです。アメリカ小売業は莫大な経費を使って壮大な実験を行い、我々に成功・失敗事例を無料で見せてくれているのです。いわば成功のチャンスのありかを分かりやすく教えてくれる存在です。チャンスの神様は前髪しかありません。チャンスはここぞという時に掴まなければ手にできません。後から掴もうとしても手遅れです。みんなと同じ行動していても掴めないのです。当社のクライアントの多くが当社と機密保持契約を結んでいます。したがって後藤はクライアント名を挙げることができません。なぜならクライアントはチャンスの神様の前髪を掴んでいることをライバル企業など同業他社に知られたくないからです。それだけチャンスの神様の前髪を掴んで得た、先行者利益が大きいということです。

⇒チャンスを掴みたくても掴めない原因は、アメリカ小売業の失敗事例にも見ることができます。ウォルマートが以前の失敗から得た反省でIT投資を加速している間、ターゲットは2013年にカナダへ進出しました。なぜならターゲット前CEOグレッグ・スティンハフェル氏がネット社会になると分かっていても「まずは出店、そして拡大」という過去の成功体験から逃れられなかったからです。ターゲットは進出からわずか2年足らずでカナダ市場から撤退します。カナダ133店舗のスクラップ後に、ウォルマートより数年遅れてITへ投資するようになります。クライアントを連れてターゲットを視察するとき、他社に先行して前髪を掴めなかった部分を見せています。それがボピス(BOPIS:Buy Online Pickup In Store)。オンラインストアで注文して店で受け取るボピスで、ウォルマートとの差が店内で浮き彫りになっています。流通業がチャンスに乗り遅れるということは、消費者の動きについていっていないことです。
ターゲットの決算では、遅れたIT投資による典型的な症状を示しているといえます。「EC伸びるも店売り低迷」です。

後藤文俊

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