Fumitoshi Goto

ホールフーズ・マーケット、物言う投資家が大株主に

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ヘッジファンドのジェナパートナーズは10日、ホールフーズ・マーケットの株式9%近くを取得し、同社では第2位となる株主となったことを明らかにした。物言う投資家が大手株主になったことで、集客に苦戦するホールフーズは経営再建の圧力を受けるだけでなく、売却など身売りの可能性もでてきた。証券取引委員会(SEC)に10日提出されたドキュメントによると、株式取得の目的として収益が下回っているホールフーズに対して改善を求め、課題に取り組むために取締役の刷新、新フォーマット「365・バイ・ホールフーズ」の再検討、競争力を強化するためのITと運営効率の改善化をあげている。また、ホールフーズの買い手となる候補者がどれだけ支払う用意があるかなど売却を含めた戦略的選択肢も探ろうとしている。ジェナパートナーズの株式取得により、ホールフーズの株価はこの日、10%急騰した。なおジェナパートナーズには、ノースカロライナを中心に約200店を展開するリージョナル・スーパーマーケットのハリスティーターCEO(1997年~2014年)だったトーマス・ディクソン氏も含まれており、ジェナパートナーズはディクソン氏を含め3人を取締役に指名するとしている。ハリスティーターは2013年7月、全米最大のスーパーマーケットチェーンのクローガーに24.4億ドルで売却されている。
ホールフーズが2月に発表した第1四半期(10月~12月期)決算は売上高が49.2億ドルと前年同期比1.8%の増加となったものの、純利益は前年同期比39.5%減となる9,500万ドルだった。経費がかさんだことにより本業の儲けを示す営業利益率は3.5%となり、前年同期の5.2%から大幅に減少した。既存店・売上高前年同期比は客数が減少したことで2.4%の減少。ホールフーズの既存店ベースは2015年度の第4四半期から6四半期連続して前年を下回っている。ホールフーズは業績低迷を受け、4年前に掲げた1,200店舗展開を棚上げし、9店舗に及ぶ店舗閉鎖を発表した。同社の株価は2013年10月をピークに現在は半値近くにまで下落している。

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170412ホールフーズの既存店ベースと粗利益率の推移グラフ

ホールフーズ・マーケットの既存店・売上高前年同期比と粗利益率の推移グラフ(過去10年間)。既存店ベースは100年に一度と言われた景気後退時の4四半期連続を越え6四半期連続して前年を下回っている。粗利益率も競争激化により販促が増え、景気後退期以降では最低となる33.6%だった。同社CEOジョン・マッキー氏が「眠れない日々が続いた」と語っていたリーマンショック時のレベルに、粗利益率が近づいている。リーマン・ブラザーズ破綻(2008年9月15日)に端を発した世界的金融危機、ホールフーズの粗利益率は2008年7月~9月期が33.3%、2008年10月~12月期の33.4%となっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。先日、テキサス州に調査視察に行ってきました。ロサンゼルスからヒューストンに飛んでレンタカーを借り、サンアントニオやオースティン、フォートワースを回ったのです。テキサスの地元密着型スーパーのHEBの新店やHEBプラス、セントラルマーケットなど、拡大するオーガニック食品の訴求などを見て回ったのです。で、現在は急増するミールキットを研究中です。カリスマ主婦のマーサ・スチュワート氏と提携する「マーリー・スプーン(Marley Spoon)」のミールキットをオーダーして、調理して実食しています。ミールキットのスーパーマーケット市場への影響力の分析を行っています。オーガニック市場の拡大でウォルマートやクローガーなど大手チェーンストア間の競争が激しくなり、ホールフーズの独占市場ではなくなっています。ミールキット市場には、セレブからこだわり素材(オーガニック)を使う企業も増えていることで、ホールフーズからお客が減少しています。

⇒調査会社バークレイズは、約1,400万人のホールフーズ顧客がクローガーに奪われているとの分析です。ミールキット市場に危機感を感じたホールフーズはビーガン用ミールキットを扱うパープル・キャロット(Purple Carrot)と提携し、一部で店頭販売を行っています。今のところホールフーズは競合店や競合市場に対して、グローサラント業態や新フォーマット「365・バイ・ホールフーズ・マーケット」以外に決め手となる戦略がない状態です。他社より早く宅配業者のインスタカートと組んで生鮮品デリバリーも始めましたが、オーガニック食品と同じようにウォルマートやクローガー等の競合店にキャッチアップされつつあります。一方でカーブサイド・ピックアップは競合に先を越されています。ネットで購入して店で受け取るカーブサイド・ピックアップ・サービスにはウォルマートやクローガーほど積極的ではありません。様々な面でポジションが曖昧になってきているため、モノ言う投資家が「しゃんとせぇ!」と入ってきたのです。
実践する流通コンサルタントはミールキット・メニュー「セージ&ニンニクで炒めたポークチョップとポレンタ」を美味しくいただきながら「ホールフーズも身売りかぁ?」と呑気に考えています。

後藤文俊

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