Fumitoshi Goto

メイシーズ、不採算店閉鎖後も客離れ続く

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■メイシーズが11日に発表した第1四半期(2月~4月期)は、不採算店のスクラップなどリストラ効果が薄く減収減益に既存店も前年を下回った。売上高は店舗閉鎖で53.4億ドルと前年同期の57.7億ドルから7.5%の減少となった。純利益は7,000万ドルと前年同期の1.15億ドルから約40%の減少だった。粗利益率は競争による販促などで38.1%と前年の39.1%から1.0ポイント減少した。一方、一般販売管理費率は不採算店の閉鎖による経費圧縮で前年同期の34.1%から34.0%と0.1ポイント改善した。粗利益率が大幅に落ち込んでいることで本業の儲けを示す営業利益率は前年同期の4.6%から4.1%と落ち込んだ。メイシーズ店内で展開する提携業者からのコミッションを除く既存店・売上高前年同期比は5.2%の減少だった。商品カテゴリー別では婦人服に婦人靴に高級ジュエリー、フラグランス、家具&マットレスは好調だったが、ハンドバックやファッション・ジュエリー、ウォッチなどが低迷し既存店を押し下げた。既存店ベースの減少は9四半期連続となっており、リーマンショック時に記録した11四半期連続前年割れに迫っている。Eコマース売上高は二桁成長とのみ発表で具体的な数字は明かしていない。なお、メイシーズは2年前に買収した高級美容・スキンケア用品スパチェーンのブルーマーキュリーをスタンドローンを2月~4月に10ヵ所オープン、処分品や返品などを扱うオフプライス業態「メイシーズ・バックステージ(Macy's Backstage)」も11か所のメイシーズ店内にオープンしている。メイシーズ・バックステージは婦人服や紳士服、子供服、下着、靴、アクセサリー、ジュエリー、ホームファーニッシング(小型家具や室内装飾品)などを扱い通常価格の20%~80%オフで提供する業態。
メイシーズは今年1月、昨年8月に発表した本体デパートメントストア100店舗閉鎖で、68ヵ所の店舗閉鎖と従業員の約7%に当たる1万人以上を解雇を発表。同社は2017年度の既存店・売上高前年比を2.2%減~3.3%減と予想している。

トップ画像:メイシーズのエントランス。入り口のドアにネットで注文した商品をお店で受け取れるボピスの案内が貼ってあるものの(急ごしらえだ)、店に入るとピックアップではどこに行けばいいのかわからない。いまだボピス仕様になっていないのだ。
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メイシーズの既存店・売上高前年同期比推移グラフ(メイシーズ店内で展開する提携業者からのコミッション売上除く)。大量閉店後となる第1四半期(2月~4月期)の既存店ベースは5.2%の減少だった。これにより既存店ベースは9四半期連続の減少となる。リーマンショック時に記録した11四半期連続前年割れに迫っているのだ。一方でオンライン売上は二桁成長としている。メイシーズはネットの成長が既存店歩に寄与していない典型的なオムニチャネル失敗事例となっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。成功事例と同じく参考になるのがオムニチャネル化の失敗事例。オムニチャネルの失敗事例といえばメイシーズ。老舗企業の失敗の本質は、間違いを犯した当事者の心理にあります。なぜそのような心理になったのか?を経営者の視点で解き明かせば教訓にできるのです。経営者は今年3月までメイシーズのCEOだったのはテリー・ラングレン氏です。彼は1975年からデパートメントストアで働いていた、いわばたたき上げです。この方の成功実績が、オムニチャネル化で誤った行動をとらせたのは店を見ればわかります。メイシーズはオムニチャネル化を早くから宣言したチェーンストアでしたが、売り場は今もネット注文&お店で渡す「ボピス」仕様にはなっていません。ボピス仕様とは、ネットで注文したお客がお店にピックアップに来た時、絶対に迷わないよう案内がされていることです。入り口すぐ近くにピックアップ場所を設けるのが鉄則です。が、メイシーズはできていません。
なぜボピス仕様に盲点があるのか?ラングレン氏がボピスで買い物していなかったからです。なぜボピスをしないか?は、衣料品はリアル店舗で買うという思い込みから抜け出せないからです。

後藤文俊

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