Fumitoshi Goto

米ホールフーズ、アマゾンに買収され利益率が最低に?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■アマゾンとホールフーズは15日、ターキー(七面鳥)など感謝祭のディナーに添えられる食材を中心に多くの商品を再び値下げすることを発表した。年会費99ドルのアマゾン・プライム会員にはさらに値引きして販売し、新規会員の獲得を目指す。抗生物質を使わず飼育した七面鳥は1ポンド当たり2.49ドル。プライム会員では20%引きとなる1.99ドルとなる。抗生物質にホルモン剤なども不使用で飼育したオーガニック七面鳥は1ポンド(約450グラム)当たり3.49ドルとなり、プライム会員では2.99ドルで提供する。その他、鳥の胸肉やエビ、パンプキン、ブロッコリなども値引きするとしている。ホールフーズではほぼ全店にアマゾン・ロッカーを設置しており、100店以上の店舗ではアマゾン・エコーなどアマゾン製品の販売を始めた。一部のホールフーズでは、アマゾンがモール等で展開しているポップアップストアも導入している。

ホールフーズが17日に証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書によると、直近の四半期で粗利益率が大幅に下落したことが明らかになった。アマゾンによる買収が完了した8月、ホールフーズは取り扱う幅広い商品で値下げを開始していた。ホールフーズの第4四半期(7月~9月期)の売上高は、前年同期比4.4%増となる36.5億ドルだった。一方、買収による合併コストがかさんだことで営業赤字に陥り、純損益は5,500万ドルの赤字となった。8月からの大幅な値引きにより粗利益率は33.0%となり、前年同期の34.1%から1.1ポイントも下落した。前期の34.0%から1.0ポイントも減少している。33.0%の粗利益率は、リーマン・ショック時となった2008年7月~9月期に記録した33.3%を下回る。ホールフーズは年次報告書に第4四半期の既存店・売上高前年同期比を明かしていない。通年ベースでは売上高は160.3億ドルとなり前年の157.2億ドルから2.0%増加した。純利益は合併に関連するコトト高で2.45億ドルとなり、前年の5.07億ドルから50%近く減少した。既存店・売上高前年比は1.5%の減少。前年は2.5%の減少、2015年度は2.5%の増加だった。既存店ベースの内訳は客単価が0.9%の増加したものの、客数が2.4%の減少だった。なお2017年度の四半期ベースの既存店・売上高前年同期比は第1四半期で2.4%減、第2四半期は2.8%減、第3四半期は1.9%減だった。年間で1.5%の減少から第4四半期の既存店は改善したと見られている。8月から行っている大幅な値下げが客数を戻しているといえるだろう。

ホールフーズは国内42州に448店舗とカナダに13店舗、イギリスに9店舗を展開している。ミレニアル層に向けたホールフーズ・マーケット365は現在、国内に6店舗を展開している。

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ホールフーズ・マーケットの既存店・売上高前年同期比と粗利益率の推移グラフ(2007年~)。アマゾンの子会社化したホールフーズは第4四半期(7月~9月期)の既存店ベースの発表を控えている。一方、直近の粗利益率は8月から行っている大幅な値下げで33.0%となった。リーマン・ショック時の2008年7月~9月期に記録した33.3%を下回ったのだ。今回のターキーの値引きのようにアマゾン・プライム会員に向けた販促で今後はさらに利益率を損ねる販促にでると予想される。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンは利益度外視で、プライム会員の獲得に躍起になっています。そのためプライム会員に「より良い体験」を提供しているのです。買収したホールフーズには、感謝祭日のテーブルに並べられるターキーの値引きを行っているのです。これもプライム会員に向けての「より良い体験」の提供でしょう。で、利益は度外視しているため、当然、ホールフーズの粗利益率は毀損します。子会社化しているので今後はホールフーズの四半期決算を拝むことはできないでしょう。しかし、クローガーやウォルマートとの競争もあるため、思い切った値下げで対抗し、さらに粗利益率が下がっていくのは明らかです。ホールフーズにしてみればアマゾンのバックアップがあるので気にはかけないでしょう。が、アマゾンからのコスト削減要求で本来の「ホールフーズらしさ」を失ってしまうのは本末転倒だと思います。バイイングを本社一括などという噂もありますから、そうなるとらしさが薄れます。

ホールフーズではプライム会員向けに、ターキーなどシーズナル商品の思い切った販促が増えますね。

後藤文俊

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