2017年春夏のトレンドは?東京コレクションから読み解く6大キーワード

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 ファッションに「遊び心」が戻ってきた。2017年のおしゃれはシルエットとディテールの両方で主張に勢いが加わる。トレンドのムードは以前のシンプル志向から装飾主義へと大きくシフト。SNS越しの視線を意識して、パッと見でわかりやすいビジュアル重視の傾向が強まりそうだ。こういった世界的なトレンドは東京コレクションでも見られた。ランウェイからピックアップしたルックを参考に新ムーブメントのポイントを押さえていこう。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

 

1.エクストリームシルエット

miyatasan_20161127_01.jpg写真)LAMARCK / mintdesigns


ビッグシルエットの延長線上に登場したのが、「やりすぎ感」を面白がるような感覚の「エクストリーム(極端)シルエット」。指先を隠してまだ余るほど長い袖(ぶら袖)が象徴的なシルエット。肩を過剰に張り出させたパワーショルダー、特大サイズの「メガ襟」など、ボリュームで遊ぶ提案が目立つ。アンバランスさを強調する感じの着こなしが売り物で、両肩からジャケットを背中側にずり落とす着崩しも選択肢に加わる。見た目にユーモラスで、茶目っ気を感じさせるような、しゃれの利いたデザインが着姿にファニーな華やぎを添える。

2.ラッフル、リボン、ノット(結び目)

miyatasan_20161127_02.jpg写真)Hanae Mori manuscrit / MURRAL / tiit tokyo


目に飛び込んでくるような、イメージの強いディテールがもてはやされる。たとえばラッフル、リボン、ノット(結び目)は大人ガーリーな雰囲気を呼び込んでくれる。あしらうポジションも肩やウエストにとどまらず、身頃正面や背中などに広がる。サイズも特大になる。全体に若返った印象が濃くなる来春夏は「大人ガーリー」の支持が広がりそう。エレガントな風情のディテールはヴィンテージやレトロとも相性がいい。マキシマリズムへと向かうドラマティックな装いは、立体感の豊かなディテールで一段と盛り上がる。

3.ドレープ、ギャザー

 miyatasan_2016112703.jpg写真)THEATRE PRODUCTS


性別をはっきりさせない「ジェンダーレス」は浸透していく。でも、その一方で女っぽいテイストも勢いづく。布をたおやかに波打たせるドレープやギャザーはロマンティック感を打ち出すトレンドとなじむ。たっぷりした布で起伏をつけ、流れ落ちるシルエットを描く。パフスリーブで袖をふくらませたり、ハイウエストを絞ってしわを寄せたりする演出も着姿にリズムをもたらす。

4.アシンメトリー

miyatasan_20161127_03.jpg写真)beautiful peopl / YASUTOSHI EZUMI / tiit tokyo

ドラマティックな装いに光が当たる。見どころは前後や左右でバランスが異なるアシンメトリー(非対称)の演出。これまでも多用されてきた手法だが、来季は左右を全く別の生地で仕立てたり、背中側にサプライズな大胆肌見せを仕掛けたりと、従来より格段に「ずれ感」が大きくなる。部分肌見せや深めスリットがいやらしくない「ヘルシーセクシー」を印象づける。全体に言えるのは、ファッションの楽しさを示すような着こなしの台頭。現代アート風のモチーフや、建築的なシルエットも盛り込まれる。

5.サマーレイヤード

miyatasan_20161127_04.jpg写真)Ujoh / Hanae Mori manuscrit

季節感はいっそうあいまいになっていく。「シーズンレス」の味付けは一時的なトレンドではなく、もはや新たな「常識」「公式」のレベルに至りつつある。もともと秋冬が定位置のはずだったレイヤードも春夏に新たな居場所を見付けた。薄物を重ねる従来のスタイリングに加え、ロング丈のアウターを持ち込んだり、レザーやファーを取り入れたりと、シーズンを逆手に取るような、トリッキーで挑発的なサマーレイヤードが出現。時空を超える「タイムレス」の流れもあって、トップスの上からコルセットで締めるアレンジまで提案されている。

6.DIYカスタマイズ風

miyatasan_20161127_06.jpg写真)mintdesigns

人と服でかぶりたくないと考える人が増えてきた。自分らしさを出したいという意識が裏側にある。そのニーズが自己流にカスタマイズする「DIY」を活気づかせている。ワッペンやアップリケを添えるだけでも印象が変わる。パッチワークは手仕事感も帯びる。切りっぱなし加工や袖カットオフなどを試みる人が多くなり、ランウェイでもそういったハンドクラフト的なアレンジを施したウエアが相次いで披露された。手書き文字や半加工処理、まとめすぎないスタイリングもヒューマンな表情をまとわせる。トレンドに流されないという意味で、ヴィンテージや古着にも通じる。

 長くトレンドは「ムード」だった。近年も「エフォートレス」「スポーツシック(アスレジャー)」などのキーワードが打ち出されてきた。しかし、直近は新顔がありつつも、新提案の主役は見た目重視の「形(シルエットとディテール)」に移りつつあるようだ。場面を選ばない「シーンフリー」からパジャマルックやランジェリーミックスが生まれているが、これらも見た目の意外感が売り物。エキセントリックでウィットフルな味付けが好まれるのは、やはりスマートフォンの狭い画面と、互いの装いを「ネタ」として消費したがるSNS感覚の影響が大きい。普通の見栄えの服は持っているし、買い足す気にもならないが、新奇な見え具合のアイテムには手を出すという、買う側のマインドも関係しているだろう。着る本人だけでなく、見る人の気持ちまで弾ませるような、スリリングでいたずらっぽい気分の春夏シーズンがもうじき始まる。(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

宮田理江 - ファッションジャーナリスト -

rieface_01_01.jpg複数のファッションブランドの販売員としてキャリアを積み、バイヤー、プレスを経験後、ファッションジャーナリストへ。新聞や雑誌、テレビなど数々のメディアでコレクションのリポート、トレンドの解説などを手掛ける。コメント提供や記事執筆のほかに、企業・商品ブランディング、広告、イベント出演、セミナーなどを幅広くこなす。著書にファッション指南書『おしゃれの近道』『もっとおしゃれの近道』がある(共に学研)。  http://riemiyata.com/

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