新風館の再開発、"隈研吾×エースホテル"で人の流れはどう変わるのか?

(左から)エースホテル ブラッド・ウィルソン社長、NTT都市開発の中川裕社長、隈研吾
(左から)エースホテル ブラッド・ウィルソン社長、NTT都市開発の中川裕社長、隈研吾
画像: FASHIONSNAP

 アメリカ発のデザインホテル「エースホテル」が日本に上陸する。アジア初進出となり、1号店は京都の商業施設「新風館」の跡地に2019年末の開業を予定している。建築を手掛けるのは隈研吾。新風館は隈にとって「近代建築家で最も敬愛している」という吉田鉄郎が設計し、京都市指定・登録文化財第一号に登録されている。再開発計画を推進するNTT都市開発と隈は、この歴史ある建物をどのような形で「エースホテル京都」として生まれ変わらせるのか。

 新風館は"大正時代の名建築"と呼ばれる旧京都中央電話局が前身で、商業エリアとして賑わいを創出するために商業施設として2001年1月に開業した。15年間営業したが、2016年3月に閉館。歴史的建造物の去就が注目されていた。隈は「吉田鉄郎さんは素材やディテールにこだわった方。この建物もタイルのディテールに配慮されている」と捉え、「街とつなぐ」をテーマにその歴史的財産を活かしながら新築棟とつないだ、ホテルと商業の複合施設としてリニューアルする。

 エースホテルは既存棟2階と3階、新築棟2階〜7階に展開し、地下1階と地上1階には飲食・物販を中心とした約20テナントを配置。隈が手掛ける外装デザインには、自身が得意とする「杉」をはじめ「硫化イブシ銅板」「墨色コンコンクリート」「クリンプ金網」といった既存の街並みに溶け込む質感のあるマテリアルを採用し、新築棟の象徴となるブロンズ色のルーパーをグラデーショナルに異なる角度で配置することで豊かな表情を創出するという。施設内には、京都の「坪庭」という伝統の業から着想した「中庭」「通り庭」「光庭」「屋上庭園」の4つの庭を配置。開発エリアは平安時代から庭が存在していたといい、同所から発掘された「滝石組(たきいわぐみ)」を屋上庭園に取り入れるなど新旧の融合を体現する。客室数は213室を予定。

 街のランドマークを目指し、新たに地下2階で地下鉄烏丸御池駅と直結するほか、商業エリアとなる1階は烏丸通、東洞院通、姉小路通に抜けられるパサージュを設置。中庭を結節点にどこにでも抜けられるよう街の回遊性を高める。そのパサージュでは長屋が並ぶ三条通のように京都の街を施設内に具現化。ラグジュアリーブランドのみが並ぶのではなく、手作り工房など京都独自の店舗をメインに誘致する予定で、「泊まる」だけではなく「交流」や「体験」を重視するエースホテルならではのアプローチをプラスすることで街区全体の賑わいを高める考えだ。

 日本国内にはエースホテルのような、さまざまなライフスタイルホテルが続々と誕生している。同社のブラッド・ウィルソン社長は「エースホテルが他のホテルにも影響を与えているのは嬉しいこと。私たちも日本の影響を受けているので、京都を感じられるハブとなるようなホテルにしたい」とコメント。隈が手掛ける建築について、エースホテルのブランドVPを務めるライアン・バックスティーンは「想像を超えたデザイン。タイムレスで永遠に美しいと感じる。一緒にエースホテルを造れるのはラッキーなことだ」と話している。

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■新風館再開発計画 概要
所在地:京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町 586-2 外
敷地面積:約6,400平方メートル
延床面積:約2万5,700平方メートル(予定)
規模:地下2階/地上7階
ホテル客室:213室(予定)