Fumitoshi Goto

「ハイテク」は見るだけでなく使うべき?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

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■ウォルマートはネット注文した商品を店舗で受け取るピックアップ専用の自販機「ピックアップタワー(Pickup Tower)」の導入を加速している。

ピックアップタワーは高さ16フィート(約5メートル)幅8フィート(2.4メートル)で、最大300箱(箱の大きさは60cmx40㎝x40㎝まで)の注文品の保有が可能。ネット注文時にピックアップタワーでの受け取りを選択すると、ピックアップ専用のバーコードが届く。

操作はピックアップタワーに近づくと、操作パネルがオープンし、送られてきたバーコードをかざすと5~10秒で注文品が出てくる仕組みだ。

ウォルマートは昨年からピックアップタワーの導入を開始、ウォルマート・スーパーセンターなど200ヵ所にすでに導入している。ニューヨーク・マンハッタンから近距離にあるニュージャージー州セコーカスにあるウォルマート・スーパーセンターなど、一部の店舗では需要の多さからピックアップタワーを2台導入している事例もある。

ウォルマートによると、ピックアップタワーの利用件数が50万件以上に上ったことで、今年末までに500店舗に追加導入することを決めたという。700店でピックアップタワーが展開されると、アメリカ人の約40%が利用可能となる。

これまでピックアップタワーは中西部や東部のスーパーセンターに導入されていたが、西海岸にもお目見えしている。5月にはロサンゼルス郊外のチノ地区に改装オープンしたスーパーセンターにピックアップタワーが設置された。スーパーセンター・チノ店では、カーブサイド・ピックアップ・サービスの「ウォルマート・グローサリー(Walmart Online Grocery Pickup)」専用のレーンも導入されている。なおウォルマートはカリフォルニア州内では1.45億ドルの投資で改装を行い、ピックアップタワーやカーブサイド・ピックアップ専用レーンの展開を急いでいる。

一方、ネバダ州のラスベガス近郊ヘンダーソン地区にあるスーパーセンターも改装、そこにもピックアップタワーを導入している。ヘンダーソン店にはピックアップタワーと一緒に「ピックアップ・ロッカー(Pickup Locker)」も導入している。ピックアップ・ロッカーはサイズ的にピックアップタワーが収納できない、比較的大きな注文品を扱う。

アメリカの宅配では受け手が不在の場合、玄関などドアの前に置きっぱなしとなる置き配が一般的だ。保険の見積もりを行うインシュランスクォーツ(InsuranceQuotes)のレポートでは、アメリカで2,300万人が宅配盗難の被害にあった報告しており、包装メーカーのショア・パッケージング(Shorr Packaging)の調査でもオンライン買い物客の31%が置き配などで盗難被害に遭った経験があると報じている。

玄関に置き配された宅配物を盗む「ポーチ・パイレーツ(Porch Pirates:ポーチとは玄関の意味で『玄関盗賊』)」のワードまで生まれているほど深刻な問題となっているのだ。これを受け、ネット注文した商品をリアル店舗で直接受け取るストアピックアップの需要が増している。

ウォルマート・スーパーセンターは通常、24時間営業となっていることもストアピックアップの利用者が多くなる要因となっている。ウォルマート側にとっても、宅配よりコストがかからず、ピックアップと同時に利用者がお店で買い物をすることもあり集客メリットにもつながっている。

注文品を自動で取り出すピックアップタワーでは、人件費がかからず、待ち時間もないため、さらにウィン・ウィンなのだ。5メートル以上の高さなど、スペースさえ確保できるならピックアップタワーを全店に導入したいのだ。

ウォルマートに限らずボピスを進めるチェーンストアは、ロッカーなどの導入が加速する。

トップ画像:ニュージャージー州セコーカスにあるウォルマート・スーパーセンターではピックアップタワーを2台導入している。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当社の研修ではピックアップタワーを導入しているスーパーセンターを日程に含めており、高さ5メートルある自販機のようなピックアップタワーから、できるだけ商品をピックアップするようにしています。目撃するだけでは不十分。実際に使ってみてウォルマートが本格的にピックアップタワーを展開している理由を探るのです。そして似たようなシステムが日本で導入されるかどうかを考えてもらうのです。ストアピックアップの黎明期から使っている後藤からすればピックアップタワーやロッカーの展開は少なくともアメリカでは不可避です。店側にとって人件費の削減がありますが、利用者にとってスピードがなにより有難いからです。クライアントにスマートフォンを渡して、アプリにあるバーコードをピックアップタワーの操作で読み込ませるのです。で、5秒前後で商品が目の前に現れるのは衝撃且つ感動的です。5秒前後でピックアップできる利便性は人による手渡しでは不可能です。
何度も強調しますが、流通IT&ハイテクは見るだけではダメ。実際に使ってみてください。

後藤文俊

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