Fumitoshi Goto

地方スーパーがデジタル・イノベーション・ラボ開設

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■アイオワ州など中西部に約240店のスーパーマーケットを展開するハイヴィーは昨年秋、本社があるアイオワ州ウェストデモインズの近くにIT部門のオフィスを開設した。これに続いてテキサス州などに400店近くの食品スーパーを展開するHEBもデジタル・イノベーション・ラボのオフィスをオープンする。

HEBは5日、テキサス州オースティン地区に2,300坪のオフィスビルを長期リース契約したことを発表した。2階建てとなるIT専用のビルは、サンアントニオ地区にあるHEB本社から車で北東に約1時間30分の距離(約100キロ)にある。

デジタル・イノベーション・ラボはHEBのデジタルチームのワークスペースになる他、今年春に買収したオンデマンド買物代行・宅配サービス企業の「フェイバー・デリバリー(Favor Delibery)」の新本社にもなるという。2013年創業のフェイバー・デリバリーはテキサス州オースティンを本拠地に同州内にある約50地域でレストランから宅配するスタートアップ。買収から3か月後となる5月には、HEBが新設した最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)の役職にフェイバー・デリバリーの社長兼CEOのジャグ・バス氏が就任している。

オフィス内の詳細は明らかにされていないが、イメージ図にはシリコンバレーにあるハイテク・オフィスのような雰囲気が描かれている。

ハイヴィーが昨年秋にオープンした2,900坪のITオフィス「ヘルプフル・スマイルズ・テクノロジー(Helpful Smiles Technology)」は、社員のクリエイティビティとコラボレーションをコンセプトにデザインされ、シリコンバレー企業のような福利厚生になっている。

オフィス内にはオフィスを一周する屋内ランニング&ウォーキング用のレーストラックに筋トレマシーンで充実したフィットネスジムやヨガルーム、バスケットコートまである。エンターテイメントスペースには卓球台やビリヤード台、ダーツ盤にプレステやXボックスを置いたゲームデスクも設置されている。

オフィス内にはスターバックス・コーヒーショップがそのまま入っており、ハイヴィーの量り売りコーナーーと同じくスナック類も様々な種類が置かれている。NYタイムズスクエアをデザインにしたカフェテリアには、地ビールバーに常駐のフードトラックまであるのだ。

広くとられたミーティング・スペースにはテレビドラム「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則(The Big Bang Theory)」をモデルにしたソファでセッティングされている。

スーパーマーケット最大手のクローガーも今年6月、本社のあるオハイオ州シンシナティにITを専門にした部所「デジタルヘッドクォーター(Digital Headquarter)」を設立することを発表した。来月オープン予定のデジタル本社にはIT専門家600人を異動、さらに採用を増やし向こう3年で1,000人態勢を築くとしている。

トップ画像:HEBのデジタル・イノベーション・ラボのイメージ図。地方の食品スーパーでさえデジタル部門(オフィス)を新たに導入する状況に七手先まで読めるだろうか?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本の食品関係者との食事会で後藤は「日本の流通業はアメリカの5年~10年遅れている」といって、そこにいた役員をひどく怒らせたことがありました。彼からすればその日視察したアメリカのスーパーで、お客のことをお構いなしにおしゃべりに夢中になるスタッフやガムをかみながら接客するスタッフ、挨拶もろくにできないスタッフ等を見かけていたから、逆にアメリカが日本より遅れていると思っていたのです。きっちりした日本の売り場にくらべてアメリカの売り場は大雑把(笑)ですから、彼の気持ちも分からないではありません。彼のご立腹に後藤は慌てたフリをしながらも心では余裕でした。なぜなら当社のIT&オムニチャネルワークショップで、アメリカ小売業に対する彼の見方は必ず180度変わると思っていたからです。翌日からのコンサルティングセミナーで数多くのIT事例を紹介し、また売り場でもアプリなどを使った買い物実習でクライアントを圧倒しました。

⇒コンサルティングが終わる頃には、その年配の役員がどうなったかは想像に難しくないと思います。彼の様子を見ると、認めたくはないが、現実を受け入れなければならない、と言ったところでしょうか。つまり理屈では分かるが感情がついていかないということ。長く現場で汗を流し、お客様のために一生懸命努力していたからこその反応です。店アプリの最新機能を見せると(実際には参加者にやってもらうのですが)、どこか自分の仕事を否定されたような感覚になるのです。残念ながら変化とはそういうものです。コンサルティングの感想で彼は「果たして、ウチのお客様(シニア世代)はそういったもの(ハイテク)を使いこなすことができるのか?」との抗いものぞかせていました。高齢者のお客様にいつまでも頼ることはできないとは思ってもいないでしょうが、どうしても複雑な心境になるのです。これからの敵はアマゾンであり、これからのお客様はミレニアル世代です。これまでの延長線上の戦い(努力)はできないということは明らかです。
アメリカの地方の食品スーパーでさえデジタル部門(オフィス)を新たに導入しています。この状況にあなたは七手先まで読めますか?

後藤文俊

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