OMOHARAREAL

「日本にもこんなカルチャー的無法地帯があるんだって驚いてもらえる場所に」石川涼が「#FR2」を原宿に出店した理由とは?

OMOHARAREAL

表参道・原宿のインフォメーションメディア

フォローする:

渋谷のストリートを制した「VANQUISH」創設者・石川涼が「#FR2」関連店を原宿に続々出店する理由とは(2018/11/23)

— ADの後に記事が続きます —

2000年代、109メンズ館内のブランド「VANQUISH」で渋谷のストリートファッションを制し、"お兄系ブーム"を牽引した男・石川涼。時を経て2016年、彼が新たに立ち上げたのは、Instagramを中心に展開するアパレルブランド「#FR2」。瞬く間に世界的人気ブランドとなったが、そのリアル店舗の出店地として、彼は原宿を選んだ。一体なぜ? 現在「#FR2 HARAJUKU」「#FR2 GALLERY1」「#FR2 GALLERY2」「#FR2 梅」とこのエリアに4店舗を構える株式会社せーの代表取締役社長・石川涼さんの"オモハラ観"を覗かせてもらった。

《PROFILE》
1975年生まれ。神奈川出身静岡育ち。株式会社せーの代表取締役社長。20歳のときに上京。アパレル業界に入り、24歳でアパレルブランドを立ち上げ起業。渋谷109メンズ館を中心に人気のファッションブランド「VANQUISH」の創設者。Instagramを中心に世界から注目を浴びるファッションブランド「#FR2」の仕掛け人。

1990年代。石川涼が原宿よりも、渋谷を選んだワケ

石川さんが静岡から上京したのは1996年、二十歳のとき。浅草のアパレル企業に入社し、市場調査で毎週渋谷から原宿にかけて歩くようになったという彼は、当時の原宿の印象をこう話す。

「その頃は『BOON』『SMART』『mini』とかストリート雑誌の全盛期で、今の東急プラザのところが駐車場だったんだよね。そこに雑誌のSNAPコーナーに出たいやつらがたむろしてて...『キモ』って思いました。エネルギーは感じたけど、『お前ら何者なの?』『雑誌に出たから何なの?』っていう。今もレアなスニーカー履いて表参道に座ってドヤッてるやつらいるけど、そんな上っ面だけのことやってて『何になりたいの?』って思っちゃうよね」

取材当日、石川氏が着用していたキャップには「No Photos」の文字が

賛否両論を生むがゆえに常にその発言が注目を集めている石川さん。キレのある視点は当時からお持ちだったよう。一方で、原宿に対するポジティブな印象も。

裏原ブランドをやっている人たちはすごいと思っていました。いい意味で"学生の遊び"の延長みたいなことがブランドになって。買ったりしたことはなかったけど、自分たちでものを作り出してビジネスにして、スターになっていっていて。自分と同じような年代の人もいたし、俺もやるならステージ側に立ちたい、そうじゃなきゃ嫌だと感じていました」

そんな石川さんは、裏原ブームの全盛期、1999年に独立。しかし、「自己満で商品を作る気はなかったので、盛り上がっている市場を狙いたかった」と語る彼は、原宿でなく、渋谷に目をつけた。

渋谷と原宿の両方を見て、渋谷を選びました。原宿はひとつの時代の終焉を迎えるという気配を感じていて...今入っても四番煎じになって終わるだけだなと。ちょうど時代の変わり目だったんだよね。それこそ雑誌や裏原ブランドの影響もあって、高くて数も少ない『手に入りづらいもの』が良しとされていたけど、インターネットが出てきて、安かろうが大量生産だろうが消費者が本当に欲しいと思うものが売れる時代になってきた。レディースの109の勢いなんて本当にすごかったから。それでもアパレル業界の人たちは『あんなペラペラなのファッションじゃない』みたいに軽視していた。これはチャンスだなと、俺が参入しようと思ったわけ」

こうして生まれたのが、メンズファッションブランド『VANQUISH』。ちなみに、「ギャル男」「お兄系」と言われる男性たちをターゲットにした理由は?

『VANQUISH』は2011年の東京コレクションにも参加。渋谷系ブランドとしては異例のことであった

「渋谷のストリートをいつも見ていて、原宿で流行っていたようなビッグサイズの服より、タイトな服を着ているギャル男の方が圧倒的に多いことに気付いていたんです。彼らが求めている"ブランド力があるけど安い"という服がないことにも。だからそのニーズに合わせてVANQUISHを立ち上げました。最初は109のメンズ館に入る前に、ガラケーのECでスタートしたんですよ。彼らがガラケーで服をバンバン買っていることも知ってたから。ZOZOTOWNも同じ年にオープンしたけど、ファッション業界の人たちは俺たちを見ながら『ガラケーの小さい画面で服が売れるわけない』って言ってた。めちゃめちゃ売れたよね」

藤原ヒロシ氏と石川涼氏。コラボ商品を展開するなど、『VANQUISH』は裏原カルチャーのドンからも認められる存在に

その後は109メンズ館を代表するブランドとなり、渋谷のストリートを席巻。さらには藤原ヒロシ氏からも声が掛かり「fragment design」とのコラボアイテムも誕生するなど、渋谷の枠を超えた広がりも見せた。そして時を経て、石川さんは現在、新たに立ち上げたアパレルブランド「#FR2」の関連店舗を、原宿に絞って出店している。一体なぜ?

2010年代。「#FR2」を渋谷でなく原宿に出したワケ

「Smoking kills」シリーズは世界中の若者に愛されている『#FR2』の代名詞的存在

時を経て2016年、彼が新たに立ち上げたのは、Instagramを中心に展開するアパレルブランド「#FR2」。ブランドロゴは「俺がうさぎ年だし、うさぎみたいにセックスばっかりしているから」ということで交尾中のうさぎ。海外のタバコに掲載されている警告表示「Smoking Kills」やストレートなメッセージ「ただヤりたいだけ」などがプリントされたTシャツがSNSで話題となり、瞬く間に世界的人気ブランドに。そんな中、満を持してリアル店舗を出店するとなったとき、彼が選んだ地は、原宿であった。

#FR2の旗艦店「#FR2 HARAJUKU」

以前と同じように渋谷と原宿の両方を見ましたが、今回は原宿を選びました。#FR2は日本人だけでなく、世界の人たちをターゲットにしたブランドなので、まずは街にいる外国人の様子の違いが決め手でしたね。訪日外国人たちを見ていて、渋谷は写真を撮る場所、原宿は物を買う場所=お金を使ってくれる場所になっていると感じたんです。それから、日本人にとっても今の原宿は面白いと思いました。若い人たちが普段SNSの中だけで表現している独創性を発揮して許される街だと感じますね。解放された個性をちゃんと受け入れるムードがあるというか。チンピラみたいなお兄ちゃんがミッキーのカチューシャつけてても認められるのは、原宿かディズニーランドだけですよ」

SNSの世界で人気を博す商品たちは、原宿の地でもヒット。だが、予想を超えた部分もあったよう。そのひとつが、リアル店舗で若い女性たちが性的なメッセージの入ったアイテムを平然と買っていくこと。

「えっち」Tシャツ。着用してInstagramに投稿する若い女性が続出

「特に『えっち』Tシャツが若い女の子にヒットしたのは予想外でしたね。あれはマジでギャグで作ったから(笑)。表参道でもよく見かけるけど、インスタの世の中になってから猫も杓子も同じブランドの同じアイテムを着るようになってて、そういうの本当に気持ち悪いと思ってるんだよね。ブランド名は出さないけど、それをコケにするつもりで商品を作ったの。だから売れると思ってなかったけど...みんな共感してくれたってことかな(笑)」

人々の反応を知るために、店舗には頻繁に通うという石川さん。リアル店舗を出店したことで発見できていることは多いと話す。

#FR2のInstagramアカウントはその世界観がグローバルで人気を博し、現在フォロワーは約13万人

「こないだも店に来た18歳の女の子と話してたら、『セール品なんて買わない』って言う。『メルカリで二束三文にしかならないから』だって。最初からメルカリに出す前提で、いくらで売れるかを想定して服を買うの。『50%で売れるなら50%オフで買うのと一緒。セールになるような売れ残りは、後からメルカリに出しても売れないから買わない』と。古着屋とかヤフオクとか世代のおじさんには分からないけど、メルカリは若い子にとって生活の一部になってて、消費の仕方も変わってる。そういう最先端の感覚がいち早く分かるのは、この街でリアル店舗を出したことの大きなメリットだと思ってます」

#FR2はこれまでに一度もセールを行ったことがないが、商品は完売続出。人気シリーズはネット上で定価の3倍で取引されていることもあるという。原宿での様々な発見により、#FR2は益々加速している。

無法地帯「#FR2ストリート」が原宿を変える?

今、石川さんは、アパレルの枠に捉われず、この街に新たな風を吹かせようとしているように見える。彼は「#FR2 HARAJUKU」を出店後、同じく原宿にアートギャラリー「#FR2 GALLERY」「#FR2 GALLERY 2」をオープン。この2つのギャラリーでは、SNSで見つけてきた若者にチャンスを与える形で展示を行わせており、収益は一切見込んでいないという。

SNSで活躍する若手アーティストを中心に展示の機会を提供している「#FR2 GALERY」

「今、メディアとかアパレル業界が注目しなくても、SNSの中で盛り上がっている若い人やアーティストがたくさんいるんだよね。Instagramなんかユーザーが10億人を超えるSNSだから。そういう才能のある若い子たちに、この街のギャラリーを優先的に使わせてあげることで、お客さんが感動する何かが生まれれば満足です。こないだはオーバードーズで心臓が止まりかけたときの様子を自撮りしてプリントTを作ってSNSで人気が出ているアーティストに貸しました。どんなヤバい客が来るのかと思ったらすっごい大人しそうな女子中学生たちがお母さんと一緒に来たりして...もう訳わからないよね(笑)。僕自身も、どんな未知の世界を見せてもらえるのかと期待しています。ビジネス的にも、僕らが知らないマーケットにしか次のチャンスはないと思っていますから」

TENGAとのコラボ商品など、アダルトグッズを販売するブティック「#FR2 梅」

さらに、ギャラリーの他にもアダルトグッズを販売するブティック「#FR2 梅」も出店。現在、徒歩1分圏内のエリアに、#FR2関連店が4店舗も密集する状態に。常に世界を意識しながらも、原宿で過ごす時間が増えている石川さんは、このエリアをどんな場所にしたいと考えているのだろうか。

「僕はただ世界相手に1人でも多くの人を感動させたいというだけなんですけど、まぁそのひとつとして、外国人が#FR2関連店のある一帯に来たとき、『日本にもこんなカルチャー的無法地帯があるんだ』って驚いてもらえる場所にできたらとは思っています。原宿はすでに訪日外国人のほとんどが寄る場所になってますけど、一方で、根底にある自由なムードがちゃんと伝わっていないように感じるから。今エロいこととか反抗的なこととかをある程度の規模感でできるのは俺くらいしかいないと思ってるから、頑張ってみたいね(笑)」

業界の常識を無視し、渋谷にひとつのカルチャーを作り、Instagramで世界中の若者に刺激を与えている男。その彼が、原宿という街を、ストリートからアップデートしようとしている。どこよりも自由を感じられる無法地帯「#FR2ストリート」が誕生し、世界から、SNSから、才能のある若者がこの街に集まってくる未来が、すぐそこに近づいているかもしれない。

Text:Takeshi Koh
Photo:Yusuke Iida

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング