Fumitoshi Goto

新型コロナウイルスの影響で宅配サービスが定着か?米国で買い物代行や宅配スタッフの新規採用進む

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■新型コロナウイルスの感染急拡大で宅配サービスの需要が急増するなか、オンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートは23日、北米市場で向こう3ヶ月間で新たに30万人を採用することを発表した。

需要増によりウォルマートやアマゾンなど一部企業で雇用を活発化させており、インスタカートはこれまでで最大となる採用数でショッパーと呼ばれる個人契約者が3倍に膨れる。

アメリカでは先週以降、18州以上で不要不急の外出を禁じる命令が出されている。食料品の買い出しによる外出は許可されているものの感染を恐れて外出を控える動きから宅配サービスの需要が急増し、一部の地域では宅配の遅延が発生していた。

インスタカートではスタッフを大幅に増やし宅配サービスの需要急増に対応する。特に注文件数が増大しているカリフォルニアやニューヨークなどで人員を増やす。

カリフォルニアは5.4万人を採用し、ニューヨークは2.7万人、テキサスは1.8万人、フロリダとイリノイは1.5万人などとなっている。

インスタカートは今月2日、過去72時間で注文件数が通常の10倍に膨らんだことを明らかにした。カリフォルニアやワシントン、オレゴン、ニューヨークでは通常の20倍に膨らんでいたという。

全体でも受注件数は前年比150%増加しており、平均注文額となる客単価も15%増加した。

インスタカートは今月初め、生鮮品などの注文品を手渡しせず置き配での宅配オプション「リーブ・アット・マイ・ドア・デリバリー(Leave at My Door Delivery)」を全米で開始。コントクトレス宅配は先週、注文全体の40%に達している。

 インスタカートでは宅配サービスの他、食品スーパーと提携したカーブサイド・ピックアップ・サービスも行っている。クリック&コレクトとも呼ばれているカーブサイド・ピックアップは、利用者がネットで注文した商品を指定されている店舗駐車場にてスタッフから受け取るサービス。

利用者は通常、車から降りる必要はなく、注文品はスタッフがトランクに積んでくれる。

ウォルマートやクローガーなど大手チェーンもカーブサイド・ピックアップを自社サービスとして拡大している。インスタカートでは2018年11月、「インスタカート・ピックアップ(Instacart Pickup)」の拡大を発表。

その後、ウェグマンズやパブリクス、アルディ、スプラウツ・ファーマーズ・マーケットなど30州以上にあるスーパー1,500店で利用可能となっていた。

また今年1月には全米50州にインスタカート・ピックアップを拡大すると発表。インスタカート・ピックアップは同社のアプリから注文された生鮮品などをショッパーが売り場でピッキングして購入し、店の外の専用駐車場で利用者に渡す。手数料は地域や食品スーパーによって異なる。

 サンフランシスコで2012年に創業したインスタカートはクローガーやアルバートソンズ、コストコ、サムズクラブ、アホールド、パブリクスなど北米で展開する大手食品スーパー10社以上と契約。

ウェグマンズやプライスチョッパーなど中堅食品スーパーとの提携も増え中小の食品スーパー350社以上と契約を結んでいる。インスタカートは現在、北米市場の5,500ヵ所以上の地域で営業し、アメリカ国内では2万店以上で展開し国内世帯85%をカバーしている。

インスタカートでは「フルサービス・ショッパー(full-service shoppers)」と呼ばれる買い物代行&宅配の個人契約スタッフが13万人おり、カーブサイド・ピックアップ・サービスなどのピッキング専用でパートタイマーの「インストア・ショッパー(in-store shoppers)」は1.2万人となっている。

 外出禁止令の長期化で宅配サービスが定着すれば、ますます店の売り場が必要なくなってくる可能性がある。小型ロボット物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)を店内に導入する食品スーパーも急増するのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤は数年前から「店の売り場はチャネルの一つでしかなくなる」「ストアアプリが店の売り場となる」と強調していました。新型コロナウイルス感染拡大による自宅待機命令で予想を上回るペースで、この主張が実現してきています。外出禁止令が解かれても一部に習慣として宅配利用が残るでしょう。外出禁止令がさらに拡大し長期化すれば宅配利用がニューノーマルとなります。宅配手数料を支払うのが家計的に厳しい世帯でも割安となるカーブサイド・ピックアップの利用は定着します(ウォルマートのカーブサイド・ピックアップは30ドル以上で手数料が無料)。で、店側が考えなければならないのはネットスーパー展開でいかにコストと欠品を抑えるかということ。一つの戦略として考えられるのは、エントリー記事にあるように小型ロボット物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(MFC)を店内導入することです。売り場を狭くしてでも、店内を売り場とMFCにわけていくことになります。
日本の食品スーパー経営者にはIT音痴が少なくないので、これを機に勉強することを期待したいところです。

後藤文俊

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