Fumitoshi Goto

アメリカにピックアップオンリーの食品スーパーがオープン、新型コロナの影響で定着化なるか

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■スーパーマーケット最大手チェーンのクローガーは25日、同社で初となるピックアップオンリーの食品スーパーをオープンした。

新型コロナウイルスの感染拡大でネットスーパーの需要が高まるなか、売り場を持たないダークストアをテストする。

ネット販売専用の物流センターであるクローガー・ピックアップ・オンリーストアはオハイオ州シンシナティ郊外のマウント・カーメルにある既存のクローガー(4630 Aicholtz Road Cincinnati, OH 45244)の食品スーパーをネットスーパー専用の倉庫に改装したもの。

クローガー・ピックアップ・オンリーストアはカーブサイド・ピックアップと宅配サービスのネットスーパーに特化しており、お客が買い物をする売り場は倉庫になっているため店内の買い物はできない。

ただファーマシーは建物内に残っており処方箋のピックアップで施設内に入ることは可能となっている。

ネットスーパーでピックアップできる時間は午前8時~午後8時まで。カーブサイド・ピックアップの手数料は無料となっている。

ネットスーパー展開では既存の店舗内にロボット物流のマイクロ・フルフィルメントセンター(Micro-Fulfillment Center:MFC)を導入する事例が相次いでいる。

MFCでは南フロリダで34店舗を展開するセダノス・スーパーマーケット(Sedano's Supermarket)が昨年2月にベンチャーのテイクオフ(Takeoff Technologies)のMFCを導入し稼働させている事例がある。

テイクオフはセダノスの他、アルバートソンズやアホールド・デレーズ、ショップライトを展開するウェイクファーンとも提携している。

ウォルマートもロボット物流企業のアラート・イノベーション(Alert Innovation)と提携し、ニューハンプシャー州セイラム地区のスーパーセンター内でMFCをテスト稼働中だ。

クローガー・ピックアップ・オンリーストアはいまのところMFCを導入しているかどうかの詳細を明らかにされていない。

食品スーパーを急遽改装し新規に250名の採用を行っていることから、クローガー・ピックアップ・オンリーストアは通常のスーパーと同じように商品が陳列され、そこでスタッフが注文品をピッキングしていると思われている。

 店内に導入される300坪前後のMFCと異なり、クローガーが本格展開しているのはセントライズド・フルフィルメントセンター(Centralized Fulfillment Center:CFC)だ。

CFCもAIを利用したオートメーション化されたロボット物流だが広さは30万~40万平方フィート(8,400~1.12万坪)にも及ぶ。CFCは着工から稼働までに2~3年は必要となり、コストも5,500万ドル(60億円)以上もかかってしまう。

クローガーはイギリスのネット専業スーパー最大手のオカドグループと提携したCFCを2021年までに最大20ヵ所まで増やす計画だ。

 CFCを稼働するには数年がかかるため、新型コロナウイルス感染拡大によるネットスーパー需要に応えられない。クローガーはいわば苦肉の策として既存店を改装しダークストアを急遽立ち上げたということだ。

トップ画像:ローカルのニュースで報じられたクローガー・ピックアップ・オンリーストア。新型コロナウイルス感染拡大の影響でクローガーは既存のスーパーを改装し同社で初となるダークストアだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ダークストアの展開は基本的に難しい、というのが後藤の見解です。全米初となるドライブスルー専用スーパーのズーミン・マーケットは5年前、カンザスにオープンしましたが2年ももたずに閉店しました。シアトル市内にあるアマゾンフレッシュ・ピックアップもダークストアですが、ピックアップに来るお客はほとんど見かけません。ダークストアの課題はお客が生鮮品を確認できないこと。売り場がない倉庫ですからお客は中に入っていけません。ダークストアはブラックボックス。生鮮品は一つ一つの見た目が異なります。ブラックボックスなので、どんな生鮮品がある中から、その品が選ばれたのかが分かりません。ただし現在は新型コロナウイルス感染拡大で売り場での買い物を敬遠し、ネットスーパーの利用が進んでいます。クローガー・ピックアップ・オンリーストアから車で5分(3キロメートル)にクローガーがありますから、店内で生鮮品等を選びたいならそちらでということなのでしょう。
 新型肺炎の収束後もネットスーパー利用が定着していればピックアップ・オンリーストアはサステナブルです。CFCを拡大するクローガーが、ピックアップ・オンリーにMFCを導入するのかは注目したいところです。

後藤文俊

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