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古着屋の"あのニオイ"の正体は?

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あの強力な、ムワッとした、カビくさいニオイは、いったいどこから発生しているのだろう?

By Patrick Heardman

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古着屋には古着屋のニオイがある。あの強力な、ムワッとした、カビくさいニオイ。ここにある服のかつての持ち主は、きっと今よぼよぼなんだろう(もしくは鬼籍に入っているのだろう)と思わせる雄弁なニオイだ。

しかし、あの独特のニオイって、いったいどこから発生しているのだろう? そして、世界中どの古着屋に行ってもあのニオイがするのはなぜなのだろう? 私はそれを探るため、イタリアのクルーズ客船会社、日本の自動車メーカー、コロンビアの銀行のために香りを生み出してきた〈Aromaco〉の創業者で、香りの専門家、サイモン・ハロップ氏に質問をしてみた。

──サイモンさん、こんにちは。あなたがアロマ業界に参入して、何年になるんでしょうか。
サイモン・ハロップ:この会社を始めたのが1993年なので、もう25年以上になります。でも古着屋の匂いを再現してほしいという依頼は受けたことがありませんね、正直なところ。

──可能ではあるんですか?
ガスクロマトグラフィー(GLC)という手法を使います。空間に漂う空気を採取して分析装置で分離すると、その空気に含まれる化学物質を分析できる。同じ化学物質を試験管に入れると、香りを再現できます。ただ、空気中に含まれている化学物質が、健康や安全上の理由で法的に取り扱いが禁止されている場合もあります。

──死体とか?
すべてを再現することはできませんが、大体はいい線まで行くことができます。

──その機械を通すことで、空気中に存在する物質を知ることができると。
ええ。でも実際、経験豊富な調香師なら、GLCで分析しなくても成分を言い当てられるのではないでしょうか。GLCは時間もお金もかかりますし。

──では経験豊富な調香師と古着屋に行けば、ニオイの成分を教えてくれる?
大体は当てられるはずです、はい。論理的には、新品の衣類と古着の唯一の違いは、人間が着たか否かということになります。すべての古着が完璧に洗浄されているわけではないので、人間の身体の匂いが染み込んでいるでしょう。

──ということは、古着屋のあのニオイの発生源になっているのは、古着を洗浄するときに使われている化学物質ではないと?
衣類のドライクリーニングには溶剤を使うので、古着屋の匂いに含まれている可能性はありますね。でも、古着屋の匂いはドライクリーニングの洗剤や柔軟剤が由来ではないというのが個人的な印象です。それよりも人間の身体の匂いが強いと思います。カビくさい、汗くさいようなあの匂いは。

──人間の身体から分泌された体液が主だと?
ええ、その服を着たひとの体臭とか、不感蒸泄(皮膚や呼吸から自然に失われる水分のこと)とか。人間は、成人で安静時の場合、1日あたり約1リットルの水分を蒸散しています。それは発汗や尿としての排泄よりも多いんです。そうやって排出された水分の多くが、衣服に吸着されるんですよ。

PHOTO: RUCHIRA SHARMA

──では、すべての古着屋で同じニオイがする理由は?
おそらく、店舗によって微細な違いはあるんだと思います。でも普通の人間の嗅覚では認識できない。あるいは、熟練の専門家でも難しいかもしれません。かなりたくさんの香りが混ざり合っているので。

──なるほど。ちなみに何度古着を洗ってもあのニオイはなかなか落ちませんが、それはなぜでしょう。
衣類やコート、ジャケットには、ドライクリーニングでしか洗えないものが多く、しかもドライクリーニングって毎日するわけじゃないですよね。だからあの匂いは長いこと消えないんです。私の推測ですが、頻繁に洗えないアイテムが古着屋のあの匂いの主な原因じゃないでしょうか。

──あのニオイを毎日のように吸い込んでいたら具合が悪くなったりしませんか?
ないと思います。人間の自然な匂いなので。もしドライクリーニングの洗剤の匂いが強いなら、あまり身体にいいとはいえません。例えば、かつてドライクリーニングの洗剤としてよく使用されていたパークロロエチレンとか。EU圏内においては徐々に使用が減ってきていますがね。

──安心しました。ありがとうございました!

This article originally appeared on VICE UK.

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