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コロナ禍でネットスーパーの需要拡大、注文品を店内で収集する"ピッカー"が米国で急増

コロナ禍でネットスーパーの需要拡大、注文品を店内で収集する"ピッカー"が米国で急増

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■大手スーパーマーケットチェーンに行くと必ずといっていいほどピッカーの存在を目にする。ピッカーとは店舗スタッフもしくは代行業者がネットスーパーの注文品を店内で収集する人たちだ。

ネットスーパーの需要増加で意識しなくとも店内で作業している彼らに出くわす機会が増えているのだ。それだけネットスーパーを頻繁に利用している人たちが増えているという調査が出された。

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デジタルマーケティング調査企業のeマーケッターが最近行った調査でネットスーパーは今年、892.2億ドル(約9.3兆円)市場になるとの試算だ。308.6億ドルの前年から実に53%の伸びとなっている。

ネットスーパーの利用者数は今年、前年から41.9%増え1.31億人となる。

ネットスーパーは今年、パンデミックの影響で急成長しており来年以降、成長率が鈍化しながらも市場規模を拡大するとの予想だ。

ネットスーパー市場は2023年、1,297.2億ドル(約13.5兆円)にもなり食品売上全体の10%に達すると予測されている。ネットスーパー利用者も3年後、1億4,740万人となるのだ。

別の調査でもネットスーパーはニューノーマルとして定着することが予想されている。小売企業にコンサルティング等を提供しているオラクル・リテール(Oracle Retail)の最近の調査から今年、ネットスーパーを53%の人が利用したと18日に発表した。

コロナ禍が終息しても93%がネットスーパーを利用すると答えており、そのうち74%がネットスーパーでの支出が同じかそれ以上と回答している。

宅配サービスやカーブサイド・ピックアップ、もしくは店内で受け取るボピス等、ネットスーパーでは店内で購入する行動がないため37%がネットスーパーでより買いだめをするとしている。

世代別ではジェネレーションZと呼ばれる18~24歳の61%がパンデミック時にネットスーパーを利用、ミレニアル世代(25~39歳)も変わらず60%となっている。その上の世代となる40~54歳のジェネレーションXは72%が利用したのだ。

高齢化しつつある55歳以上となるベビーブーマーは30%とネットスーパー利用が他の世代に比べて少ないと思われるが、前年比では173%の増加となっている。新しい買い物スタイルに抵抗があるものの店内で感染リスクを回避するベビーブーマーが急増しているのだ。

また興味深いことにネットスーパー利用で人気が高いのが宅配サービスで72%、次いでカーブサイド・ピックアップの15%、ボピスの13%の順になっている。他のサービスに比べて宅配サービスは手数料が高いものの、利便性や安全性を優先しているようだ。

 チェーンストア最大手のウォルマートは17日、年末商戦中のネットスーパー等の需要増を考慮し、ピッカー等のスタッフを前年の2倍にすることを発表した。

ウォルマートでは15.7万人がカーブサイド・ピックアップや宅配サービスなどでピッカーに従事するのだ。

ウォルマートではカーブサイド・ピックアップをスーパーセンター等3,700店で行っており、手数料10ドルの時短(2時間以内)宅配サービス「エクスプレス・デリバリー(Express Delivery)」も2,700店で行っている。

ウォルマートはネット対応しているスーパーセンター等、1店舗当たり少なくとも40人のピッカーを抱えることになる。

ウォルマートに限らずネットスーパー市場の拡大に伴いスーパーマーケットチェーンは多くのピッカーを雇用することになるのだ。

デジタルマーケティング調査企業のeマーケッターが最近行った調査でネットスーパーは今年、892.2億ドル(約9.3兆円)市場になるとの試算。308.6億ドルの前年から実に53%の伸びとなっている。ネットスーパー市場は2023年、1,297.2億ドル(約13.5兆円)にもなり食品売上全体の10%に達すると予測されている。

ネットスーパーの利用者数は今年、前年から41.9%増え1.31億人となる。ネットスーパー利用者も3年後、1億4,740万人となるのだ。どのスーパーでも店内で注文品をピッキングするピッカーが急増するのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。コロナ終息後、日本のスーパーマーケット関係者がアメリカに再び視察に訪れるようになれば、まずはピッカーの急増に驚きます。同時に勘のいい食品スーパー経営者は「流通先進国のアメリカでネットスーパーがこんなにも拡大しているのか!」と何かしらの脅威を感じるはずです。馬車から自動車の時代に移った変化と同じような消費者変化を目の当たりにするからです。これまで視察で参考にしてきた、商品カテゴリー等の括りを変えた業態開発は簡単にマネできました。世界最先端のネットスーパー事例を参考にしようにも、店内を見て回るだけでは何もわからないのです。そこで初めて、それまで店舗コンサルタントに任せていた米国流通研修の意味がなかったことに気づくことになります。なぜなら多くのお客が売り場以上にストアアプリを使って買い物をしていることを見るからです。ネットスーパーの買い物でもリアル店舗での買い物でも、お客の入り口がストアアプリになっているという事実に気づくのです。

 1年後、2年後かはわかりませんが、アメリカの食品スーパーで、ピッカーの作業を腕を組んで深刻な表情でじっと見つめる日本人を見かけることになります。彼らの頭の中にあるのは「どうする?」です。

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