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2020年に消滅した18のスタートアップとその理由

2020年に消滅した18のスタートアップとその理由

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

毎年恒例のその年に消滅したスタートアップシリーズ。毎年多くのスタートアップがその姿を消している中で、2020年はとびきり厳しい一年となった。

パンデミックにより人々の生活は一変し、旅行やリテールに代表されるサービスへのニーズが極端に下がった。それに伴い、ニューノーマル下で必要頻度の下がったサービスは停止を余儀なくされている。

難易度Maxの2020年を生き残れなかったスタートアップ

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10社中9社が消滅すると言われるスタートアップゲームの中でも、おそらく2020年はこれまでと比較にならないレベルの難易度の高さ。パンデミックによるロックダウンにより業務を停止したり、サービスを縮小せざるをえない状況に追い込まれた。

また、VCからの投資の縮小も加わり、難易度はMaxレベル。実際に多くのスタートアップはスタッフのレイオフを進め、必死に生き残りにかけている。

それでは2020年に生き残れなかったスタートアップを紹介する。

Atrium

資金調達額: 7,550万ドル

概要:
Twitchのファウンダーであるジャスティン・カンが立ち上げたリーガルテック系スタートアップ。機械学習を活用して法的文書のデジタル化を自動化し、資金調達、商業契約、株式の分配と雇用問題、買収取引などのプロセス改善を実現する。アプリケーションを提供していた。

Andreessen Horowitzなどの著名VCからの資金調達に成功し、100人ほどのスタッフを雇っていたが、スタートアから約3年経った2020年3月にオペレーションの停止をジャスティンが自身のツイートで発表。

失敗理由:
法務というアナログな業界に対しての破壊的イノベーションを目指していたが、法律事務所における既存のプロセスのDXに対してのハードルの高さに直面した。

Brandless

資金調達額: 2.9億ドル

概要:
ノンブランドの家庭用品、パーソナルケア、ベビー用品、ペット用品を定価3ドルで販売していたeコマースのスタートアップ、Brandlessは、2月上旬にD2C分野での過密と激しい競争を理由に、事業の停止を発表した。

シリーズCにおけるメインの投資家はSoft Bank Vision Fundで、2.2億ドルを調達したと報じられたが、Axiosの報道よると、実際に受け取った金額は1億ドルのみで、残りの1.2億ドルはゴール達成の際に支払われる形となっていたとのこと。

失敗理由:
SoftBankからの猛烈なプレッシャーと、誤ったビジネスモデルが相まって、厳しい戦いを強いられていた。具体的には、高い配送料と品質の問題に悩まされ、SoftBankの設定した高い目標を達成するために一部の製品を9ドルに値上げしようとしたこともあったが、無駄だったと報道されている。

厳しい資金繰りに直面したBrandlessは、昨年3月にスタッフの13%をレイオフすることを余儀なくされ、共同創業者兼CEOのティナ・シャーキーは同月に辞任を余儀なくされた。その後、元ウォールマートのCOOをCEOに就任し、方向転換を目指したが、求める結果が出せずに終了した。

Essential

資金調達額: 3.3億ドル

概要:
元Googleの幹部でAndroidの生みの親であるアンディー・ルービン氏が設立したモバイルデバイス スタートアップのEssentialは、製品を発売前からユニコーンの地位に達していた。しかし、同社初のスマートフォンであるEssential Phoneは2017年8月に発売されたが、評価は散々なものとなってしまった。

一時期、シリコンバレーで最も有望なスタートアップの一つとされていたが、著名な投資家陣による多くの資金調達を行なったにもかかわらず、目立った成果を挙げることができず、失敗に終わってしまった。

失敗理由:
ルービンが在職中にGoogleの従業員から性的不正行為で告発されていたことがニューヨークタイムズの報道で明らかになった後、Essentialの評判は2018年に下降線を辿り始めた。

さらに、約束していた、Amazon Echoに似たインテリジェントアシスタントと、Ambient OSという名前のオペレーティングシステム(OS)は、決して届けられなかった。

HubHaus

資金調達額: 1,140万ドル

概要:
HubHausは、大人向けの寮が流行るだろうというニーズを狙った、長期賃貸住宅プラットフォーム。都市部で働く社会人をターゲットにした。WeWorkに代表されるコワーキングスペースのニーズの拡大に合わせ、居住に対するシェアリングニーズが高まると予測していた。

失敗理由:
WeWorkのIPOの失敗により、投資家からの資金調達に難航し、約1100万ドルしか調達できなかった。また、コロナ禍により働き方に大きな変化が起きたと同時に、サンフランシスコなどに代表される都心部の家賃が軒並み低下。長期レンタル型のサービスニーズの低下に苦しみ、サービス停止を余儀なくされた。

Hipmunk

資金調達額: 5,500万ドル

概要:
2010年より旅行系価格比較サービスを展開してたHipmunkは、フライト、ホテル、レンタカーなどの情報を一括表示し、消費者に最もお得な価格を提示。その後、SAPの関連会社であるConcurに買収されたが、今年サービスを終了した。

失敗理由:
驚くべきことに、サービス終了の理由はコロナによるものではない。というのも、Hipmunkはパンデミックが世界的に広がる前の、1月23日に運用をストップしたからだ。コロナが旅行業界にインパクトを与えるまでもなく、Hipmunkはすでにユーザーを失っていた。

その原因とされるのが、買収されたことによるサービスアップデートの鈍化と、ユーザーが必ずしも安い情報の表示だけでは便利と感じなくなってきたからというもの。サービス終了直前にファウンダーが買い戻しを試みるものの、その望みは叶わなかった。

IfOnly

資金調達額: 5,140万ドル

概要:
IfOnlyはプライベートヨガなどの少数参加イベントのマーケットプレイスを提供していた。しかし、パンデミックによりビジネスモデルが大きな課題にさらされた。最終的には、投資元の一社であるMasterCardによって買収されたが、IfOnlyが夏に閉鎖することを明らかにするまで、買収は発表されなかった。

失敗理由:
イベント系のプラットフォームが総じてそうであるように、パンデミックにより、複数の人が一つの場所に集まるタイプの活動は自粛され、そのニーズが極端に低下することになった。

今後は、MasterCardが提供するプライスレスサービス内に吸収され、サービスが提供される予定。

Meili Jinrong

資金調達額: 2億ドル

概要:
消費者向け自動車金融サービスプラットフォームのMeili Auto Holdings Limitedは、オンラインプラットフォームとオフラインの販売チャネルを通じて中古車ローンを提供していた。2018年に20万件以上の中古車ローン取引を円滑に進め、2019年上半期には1億4,340万ドルの収益を上げていた。

しかし、2020年3月、世界的なパンデミックの影響で深刻な資金繰りに苦戦したため、すべての従業員契約を終了し、業務を停止したと発表した。

失敗理由:
中国の自動車部門は、2020年の第1四半期に42%下落した過去最低の売上高を経験しており、当初はこれが同社の急落に貢献した可能性が高いとされた。

しかし、昨年10月にニューヨーク証券取引所に1億ドルのIPOを申請した後、Meili Autoのオフィスに警察が踏み込んで、創業者の劉雲南氏や他の数名の上級幹部を調査したとされる。

この調査は、Meili Autoの従業員が顧客を騙して必要以上に大きな金額のローンを申請させたり、細かい印刷を知らないことが多く、契約書のコピーさえも欠落していたとされる多数の消費者からの苦情に対処できなかったために開始された。

さらに、KrAsiaのレポートによると、同社の債権回収方法として、借り手の親しい友人や親戚を脅迫していたとされる。

The Outline

資金調達額: 3,450万ドル

概要:
世の中的には、ニュースメディア・プラットフォームの革新と変革が進んだ1年だったにもかかわらず、「次世代版ニューヨーカー」としてのブランディングを行っていたThe Outlineが閉鎖された。このメディアサイトはジョシュ・トポルスキー氏が立ち上げたもので、デジタルファーストのニュースメディアブランドでミレニアル世代にサービスを提供することに明確な重点を置いていた。

失敗理由:
今回のサービス停止は、2019年にThe Outlineを買収したBustle Digital Groupの広範なレイオフの一環だった。買収前、The Outlineはすでに編集スタッフの規模を縮小し、フリーランスの記事が中心となっていた。

Periscope

資金調達額: 5,140万ドル

概要:
Tiwtterが買収後、運営を続けていたPeriscopeも今年サービスを停止した。Periscopeは、スマートフォンやタブレットから直接ライブビデオストリームを共有して体験できるアプリ。スポーツの試合でのファンの間の雰囲気を体感したり、ニュースを放送したり、街の通りを歩いているような体験をしたりできるサービス。

失敗理由:
数年前までは、ライブストリーム系はPeriscopeや競合のMeerkat、ツイキャスなどの専用サービスが提供していた。しかし、最近ではFacebookやYouTubeに代表されるビッグプレイヤーが参入し始めたことにより、厳しい戦いが強いられていた。

また、Twitterとしても、ビデオストリーム機能を内包するために、Periscope自体をクローズし、そのテクノロジーをTwitterの一機能として取り込む狙いがあったと思われる。

PicoBrew

資金調達額: 1,510万ドル

概要:
PicoBrewは家庭で利用するためのビール醸造機を製造していた。ユーザーはPicoPaksと呼ばれるビールの素を利用し、DYIでコーヒーを作る感覚で気軽にビールを楽しむことができる。一時期はビール業界の未来だと話題にもなった。

その後商品ラインアップは、コーヒーや紅茶などの他のカテゴリーにも進出したが、事業を存続させるのに十分な顧客を集めることはできなかった。

失敗理由:
販売していたデバイスの利用方法が複雑すぎたこと、本体価格が$500、ビール一本につき$2の費用がかかったことにに加え、ビール以外の飲料にも手を広げたことにより、一つの優れたプロダクトを作り出すことに失敗した。

Quibi

資金調達額: 17.5億ドル

概要:
Quibiは2020年4月にサービスが開始された短尺動画配信サービス。TiktokやInstagramの対抗サービスとして大きな期待と投資を集めた。著名ハリウッドスタジオと提携することで、品質の高いコンテンツ内容を揃えていた。利用費用は、広告付きが月間5ドル、広告なしは月間8ドル。

新型コロナウイルスの影響でローンチの延期も検討されたが、予定通り2020年4月6日からサービスを開始。初週で170万のアプリダウンロードを獲得したと報じられた。

失敗理由:
リリースからわずか10ヶ月以内でサービスが停止されることが発表された。当初は通勤や通学なのど隙間時間で気軽に楽しめる内容を一番の価値としていたが、パンデミックで多くの人々が家でNetflixやYouTubeなどの長編動画を楽しむスタイルになったのが一つの原因とされる。

Rubica

資金調達額: 1,500万ドル

概要:
Rubicaはセキュリティ会社のコンセントリック・アドバイザーズ社からスピンアウトし、ウイルス対策ソフトよりも高度なツールを提供しつつ、個人や中小企業でも利用しやすいサービスを提供していた。

失敗理由:
同社CEOによると、パンデミックの最中に顧客が支出を削減したため、同社は大企業に焦点を移そうとしたが、投資家を納得させることはできなかったという。また、投資家からの追加出資の獲得も難航した。

ScaleFactor

資金調達額: 1億ドル

概要:
ScaleFactorは、中小企業向けに会計士に代わる人工知能ツールを提供するスタートアップ。これまで人力で行なっていた会計処理をAIによって自動化することで、効率向上を狙っていた。

失敗理由:
公式発表では、パンデミックの影響で売り上げが半減したというのが理由となっている。しかし元スタッフによると、実際には人間の会計士(フィリピンの外注チームを含む)に仕事を振っていたとのこと。そして、クライアントの会計処理に対してもエラーが多数あったと報道されている。

Sorabel

資金調達額: 2700万ドル

概要:
Sorabelは、インドネシアのeコマース競合の中で最も健全なビジネスモデルを持っており、単位経済性は世界的なファッションeコマースプレイヤーであるAsosやRevolveに匹敵すると主張していました。

2018年にはシリーズB+の資金調達を行い、その9ヶ月後には、損益分岐点に達し、利益を獲得する準備が整ったと発表していた。そして、東南アジア全域と中東へのサービス展開を進めていた。

失敗理由:
当初の計画は、世界的なパンデミックによってすぐに脱線した。2月から3月にかけて22%の成長を遂げたものの、4月から6月にかけてのサイトの訪問数は、1ヶ月あたり115万件から41万件へと65%も減少していた。

オフラインでの顧客獲得費用や、オンライン広告へのコストもかさんでいた。資金繰りにも苦しみ、現金が底をつき、事業を継続することができなくなったため、7月に清算を余儀なくされた。

Starsky Robotics

資金調達額: 2000万ドル

概要:
自動運転トラックに関してのテクノロジーを開発していたStarsky Roboticsは、スタートから5年でそのドアを閉じる事となった。

失敗理由:
ニーズの高い業界ではあったが、その分競合も多く、生き残ることができなかった。

Stay Alfred

資金調達額: 6200万ドル

概要:
Stay Alfredは、短期アパートレンタルプラットフォームを提供するスタートアップ。2019年末までに全米33都市で2,500戸以上の賃貸を管理していた。2019年の総売り上げは約1億ドルと報道されている。

失敗理由:
パンデミックの影響による旅行規制の実施により、短期レンタルからの収益源が突然枯渇し、追加の資金調達ができなくなったことで、同社は5月に恒久的な閉鎖を余儀なくされた。

同社は当初、人員と物件数を減らして事業を継続したいと考えていたが、従業員を解雇し、資産の売却を試みていたが、十分な買い手を見つけることができなかった。

Stockwell

資金調達額: 4500万ドル

概要:
元Google社員によって2018年に設立されたStockwell AIは、コンドームからソーダまであらゆるものをストックしている内蔵型のスマート自動販売機を開発していた。

以前はBodega として知られていた同社は、NEA、GV、DCM Ventures、Forerunner、First Round、Homebrewなどの投資家から4500万ドル以上の資金を調達していた。

失敗理由:
世界的なパンデミックの流行により、自動販売機のニーズが極端に下がったことで将来の展望が見えにくくなってきていた。

Trover

資金調達額: 250万ドル

概要:
Troverは、同じ場所に旅行する人々をつなぐことを目的とするトラベルフォトシェアリングサービス。旅行レビューサイトTravelPostの元スタッフによって始まったこのスタートアップは、250万ドルの資金調達をし、その後Expediaに買収されていた。

失敗理由:
パンデミックによる旅行制限によりニーズが極端に下がったため、親会社のExpediaによってTroverのサービス停止が行われた。

時代の変わり目に直面するスタートアップ

おそらく2020年は多くのビジネスに対して最も厳しい一年になったと思われる。特に成功率の低いスタートアップにとっては、パンデミック以前と以後ではニーズが大きく変化したことで、経営の難易度は非常に高くなっただろう。

その一方で、Airbnbのように、サービスをピボットすることでIPOを実現したケースや、DoorDashなど、ニューノーマルでのニーズが高まったケースもある。

もしかすると、2021年はこれまでになかったような新しいサービスがどんどん出てくる年になるかもしれない。

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