■繁忙期の年末商戦が終わって新年になると閉店ラッシュのニュースが続くことになる。パンデミックの影響で今年も大量の店が閉鎖に追い込まれるのだ。
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商業用不動産業界で分析等を行うコスター・グループ(CoStar Group)の調査によると昨年、破綻した大手小売店やチェーンストアなどは40社以上となり約1.1万店の店舗閉鎖が発表された。
なんとか昨年は持ちこたえたチェーンストアもパンデミック2年目となれば生き残りも難しくなる。
150年以上の歴史をもつ老舗デパートメントストアが生き残りのため新たな店舗閉鎖を発表した。
メイシーズは5日、今年半ばまでに45店のデパートを閉鎖すると発表したのだ。
閉店リストは明らかにされていないもののすでに閉店セールを始めているところもあるという。
店舗リストラは昨年初めに発表された大規模リストラの一環となる。メイシーズは2月、向こう3年間で125店を閉鎖し、本社スタッフ2,000人を削減するとした。
このリストラ計画で昨年は30店近く閉鎖しており、今年の45店舗の閉鎖を合わせると、残り約50店舗は来年以降に閉鎖することになる。
しかしパンデミック以前に発表されたリストラ策によるため、追加の大量閉鎖や大量解雇等さらなるリストラに追い込まれる公算が高い。
メイシーズが昨年9月に月発表した第2四半期(5月~7月期)ではパンデミックで店を一時閉鎖していたこともあり、既存店・売上高前年同期比は34.7%の減少となった。
オンライン売上を除く既存店ベースは同61%の大幅減だ。
ほとんどのお店が再開できた8月~10月期も既存店ベース・売上高前年同期比が21%の減少となった。
Eコマース売上も第2四半期では前年同期比で54%の増加だったが、第3四半期は27%増と成長が鈍化している。
年末商戦を含む第4四半期(11月~1月期)決算も厳しくなると予想されている。
店への客数をモニターしているセンソーマティック・ソリューションズによると、年末商戦期の6週間は前年に比べて33%も客数が落ち込んでいた。
同調査ではモール等の混雑を避け22%~25%の落ち込みとなるとの予想だったが、消費者はそれを遥かに凌ぐ勢いでリアル店舗での買い物を避けたのだ。
したがってメイシーズは年末商戦売上によってリストラの再考促すことにもなるかもしれないのだ。
メイシーズは年末商戦で2店舗をダークストアにするという苦肉の策を打ち出した。
コロナ禍で売り場に客足を望めない中、既存のデパートをネット販売に特化した倉庫にすることでニューノーマルに対応したのだ。
ダークストアとは店の中で買い物ができるインストア・ショッピングはなく倉庫に専用の駐車スペースがついた、宅配サービスやカーブサイド・ピックアップに特化したフルフィルメントセンターだ。
ダークストアは一般的に生鮮品などを販売するネットスーパーで使われる用語であり、アパレルを扱うデパートではダークストアの事例がない。
メイシーズのダークストアが極めてユニークなのはモールで核テナントとなっている既存のデパートの売り場を閉鎖し、ボピスやカーブサイド・ピックアップ、当日宅配専用の倉庫にしたことだ。
しかしリアル店舗でのダークストア化も拡大したところで低迷する売上を反転させるものではない。
パンデミックの長期化によって老舗デパートもさらなるリストラを避けることができなくなる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ロサンゼルスではコロナ禍で医療崩壊を起こしています。助かる見込みが極めて低い患者さんの搬送は中止しているのです。ロサンゼルスでは病院が満床で救急搬送の受け入れを断っています。救急患者もお医者さんに診てもらうまで長時間で待たなければなりません。つまり急患も放置プレイ。こうなると感染で重篤になりやすい年配者はさらに気をつけなければなりません。必要以上の買い物は避けることになります。まずモールに行く機会はなくなります。これで影響を受けるのは、年配者を顧客にもつ老舗デパートメントストアのメイシーズです。メイシーズは約1,000万人が住むロサンゼルス郡内だけでも約20店舗も展開しています。ロサンゼルス郡内の医療崩壊は周辺の郡にも影響を与えます。つまりロサンゼルス郡を含む5つの郡を連ねるロサンゼルス大都市圏に住む2,000万人近くも少なからず影響を与えます。年配者を含めて容易にはショッピングセンターに行かなくなりますからまぁ1月は酷いことになりそうです。
多くの人口を有する大ロサンゼルスに展開するチェーンは少なく有りません。第2波という最後のひと押しで今後も企業破綻や大量閉店ニュースが続くことになります。
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