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デザイナーとアーティスト、3つの大きな違い

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何かと混合されがちなデザインとアート。両方のアウトプットがビジュアルになりがちなことや、日本の場合だと、美大出身のデザイナーも多いことから、この二つの領域が混ざっているケースが結構多い。

しかし、実際の現場の仕事内容はかなり異なる。デザインとアートの違いは、それぞれ一言で表現するとわかりやすい。

デザインとは

“与えられた制限内でユーザー視点に立ち、最大の結果を出すためのプロセス”

アートとは

“できるだけ制限を排除し、受け取る者にインパクトを与えるための自己表現”

このように、アートとデザインは対極にあるぐらい異なるのであるが、両方とも同じ“何かを作りだす”ということから、混合するケースが後を絶たない。自己表現と問題解決、ビジュアルというメソッドが同じでも、その目的は大きく異なる。

>>デザインとアートの違い: 問題解決と自己表現

説明が求められるのがデザイン、自由な解釈ができるのがアート

「WhyをBecauseで説明できなければならないのがデザイン」であり、「表現の意味を受け取り側の自由な解釈に委ねるのがアート」とも言える。

ここでも分かる通り、デザインはいたってロジカルであり、すべてのアウトプットに具体的な意味を持たせる必要がある。アートでは“なんとなく”の表現がアリとされるが、デザイナーは“なぜ”が説明できないと仕事にならない。

それを考えると、アーティストとデザイナーは結構違う職業、むしろ最も遠い存在になるかもしれない。そこでややこしくなるのが、日本では「デザイナー」という肩書きの人の中に一定数、アーティストに近いイラストレーターや、言われた通りに画像を編集する事がメインになるオペレーター的な、厳密にはデザイナーとはいえない役割の人もいるという事。

>>米国のデザイン教育から学んだこと

デザイナーとアーティストの役割の違い

では、それぞれの役割についてもう少し深掘ってみよう。

・優れたアーティストはインスピレーションを与え、優れたデザイナーはモチベーションを与える

・アーティストには才能が求められ、デザイナーにはスキルが求められる

・デザイナーの仕事の大部分はコミュニケーション、アーティストの仕事の大部分はクリエイション

>>デザイナーの役割とその意外な仕事内容とは

デザイナーとアーティストの3つの違い

では、それぞれ具体的にはどのようなポイントが異なるのだろうか?

課題解決 vs 自己表現

デザイナーの仕事のその多くが、顧客の課題解決に繋がる内容であるのに対し、アーティストは自己表現を行うのをゴールとする。

その違いが、時にアーティスト志望の人がデザイナーの仕事を行う際に問題のタネになることがある。

制約あり vs 制約なし

デザイナーが仕事をする際に、まず初めに与えられるのが制約。予算や時間が限られているだけではなく、やってはいけない内容も多く、その制限の中で最大の結果を生み出すためのプロセスを模索する。それゆえに、時にある程度の妥協も必要になる。

対照的に、アーティストが表現する際には、できるだけ制限を無くし、自由な方法で行うのが良いとされる。言い換えると、出来るだけ制限を無くした所から自分の理想を追求し、他の人が想像もつかない表現をするのがアーティストである。

客観 vs 主観

デザイナーの仕事が顧客の課題解決になることから、自ずと客観性が求められる。場合によっては、顧客とユーザーが異なることも多く、最終的に使う人の立場に立って物事を考え、判断する必要がある。

したがって、デザイナーは個人的な感覚よりも顧客視点が重要になるため、ユーザーやクライアントからのフィードバックが重要になってくる。そして何よりも、数字としての結果も求められることが一般的。

その一方で、自己表現を行うのがゴールとなるアーティストは、オーディエンスからのフィードバックを無視して、自分のアイディアをゴリ押しても良い。アーティストの作品は、自分の感覚に基づいて、独自の世界観を伝えるものであるのが理由。

なぜアーティスト気質のデザイナーが厄介になるのか?

ここまで読んでわかったかもしれないが、デザイナーとアーティストは、その仕事内容、ゴール、プロセス、マインドセットなど、あらゆる側面で異なっている。この2つの存在は似て非なるものなのだ。

その一方で、アーティスト志望の人がデザイナーの仕事をしているケースもよくある。しかしこの場合、その違いをしっかりと理解し、気持ちを切り替えないとややこしいことになる。

例えば、デザイナーは自分が作り出したものをしっかりと説明する義務があるのに対し、アーティストは解釈は相手次第なので、あまり説明を求められない。なので、アーティスト気質のデザイナーは、”なぜこのようなデザインにした?”の質問に対して、”何となく綺麗だから”などの抽象的な返答で濁される事もある。

また、客観性が求められるデザインに自己表現を持ち込んでしまうと、”これ、自分のこだわりです”などの理由で、ユーザーからのフィードバックに対して柔軟に対応してくれず、ロクなことにならない。 エゴが強いアーティスト志望のデザイナーと仕事をするのはかなり難易度が高い。

いわゆる”アーティスト気質”の人がデザイナーにはあまり向いていないことがわかるだろう。

>>なぜ優秀なデザイナーでも酷いデザインを生み出してしまうのか?

高次元でデザインとアートを融合する凄さ

でも実は、デザイン性とアート性を極限まで高めると、その2つを融合することができ、唯一無二の説得力を持たせることも稀にある。フェラーリやAppleといったブランドのプロダクトがそれだろう。

ただ、このレベルに達するにはかなりの経験と知識が求められるので、まずはそれぞれの領域でしっかりと基礎を抑え、それぞれの役割を理解してから融合した方が良いと思う。

>>プロのデザイナーにとって、最も美しい曲線とは?

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