海の底のような会場にも注目
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2021年5月22日(土)まで、キラー通りから1本奥に入ったところにあるMAHO KUBOTA GALLERYにて、国内外で活躍する現代アーティストAKI INOMATAの個展「貨幣の記憶」が開催されている。
動物との共働によって作品を生み出すAKI INOMATA。これまでプラスチック製の「やど」を3Dプリンターで出力し、それをヤドカリに渡す「やどかりに『やど』をわたしてみる」シリーズや、飼い犬の毛と自身の髪の毛でそれぞれケープを作り、お互いが着用する「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」などを通して、動物と人間の関係や生物のあり方を問い直してきた。
本展「貨幣の記憶」は、INOMATAがここ数年取り組んでいる進行中のプロジェクト。近代以前は貨幣としても使用されていた貝殻に着目し、現代の通貨の要素を取り入れることで「貨幣の化石」を作り出す試みだ。作品には真珠養殖の技術を応用し、真珠のもととなる「核」として諸国の通貨を象徴する人物像を挿入。真珠質がその表面を覆うことで、福沢諭吉、エリザベス女王、ジョージ・ワシントンらの形をした真珠ができあがるのだ。
会場では、真珠化した人物像からなる真珠貝の作品を公開。作品制作に伴い海底で撮影された映像や写真も展示されており、まるで海の底にいるかのような世界が広がっているという。
電子決済が日常化する今、「貨幣という複雑なシステムは私たちの理解を超えてきているのかもしれない」とINOMATAは語る。キラー通りそばの路地裏に現れた“海底”で、目まぐるしい現代に生きる私たちは何を感じるだろうか。
※敬称略
■画像クレジット
「貨幣の記憶」より、2018年〜(進行中) ©AKI INOMATA / MAHO KUBOTA GALLERY
■概要
AKI INOMATA「貨幣の記憶」
開催期間:2021年4月13日(火)〜5月22日(土)
開催場所:MAHO KUBOTA GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前2-4-7-1F
電話番号:03-6434-7716
営業時間:12:00〜19:00
定休日:日・月曜、祝日
入場料:無料
>>EDITOR’S VOICE
本展の会場「MAHO KUBOTA GALLERY」が位置する神宮前アドレスは、原宿と青山の文化の交差点。感性を刺激するデザインや建築に囲まれ、すぐ側には鎌倉時代からの古道「勢揃坂」が静かにのびる魅力的な環境だ。エントランスはオープンな雰囲気で来訪者に開かれているので、街歩きの中で気軽に立ち寄ってみてほしい。
Text:Natsuno Aizawa
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