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デザインのプロが選ぶ歴代オリンピックロゴ

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数多くのチャレンジを乗り越え、2020東京オリンピックが一年遅れでついに開幕。

本来オリンピックは、開催都市が自らの希望や発展を世界に向けて発信するのが目的。そこで造り出されるデザイン作品やアート表現も、その開催国と時代を象徴するものである。その最たるものがオリンピックのエンブレムであり、これまでの作品は素晴らしいものが多い。

しかしながら、今から思えば東京2020は、当初のエンブレムに関する盗作騒動から始まり、あまりにも沢山の出来事がありすぎた。

それらの細かい内容は一旦忘れて、今回はこれまでの歴代オリンピックの中でも、7人のデザインプロフェッショナルが選ぶ、デザインの美しいオリンピックのエンブレム・ロゴを紹介する。

1968年東京オリンピック

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

MoMaにも展示されている亀倉 雄策氏デザインによる作品。国際的なイベントには欠かせない、一目でわかる、記憶に残る大会のシンボルである。

ゴールドで彩られた五輪の上にデザインされた大きな日の丸は、日本が大戦からの復活し、希望と革新を手に入れたことを象徴しているように感じる。

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

その一方で、亀倉 雄策氏によると「この大きな赤い円は、日の丸を表していると思われるかもしれませんが、実際には太陽を表現しています。大きな赤丸と五輪マークのバランスで、新鮮で鮮やかなイメージを表現したいと思いました。」とのこと。

また、このデザインは、締め切りの数時間前に作られたという伝説もある。できるだけ速いタイムで金メダルを獲得するオリンピックに相応しいストーリーだろう。

選出者: Hamish Smyth, partner, Order

1968年メキシコシティーオリンピックオリンピック

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

アメリカ人デザイナー、ランス・ワイマンによりデザインされたのが1968年に開催されたメキシコシティー五輪。当時ワイマンはまだ29歳で、妻のネイラ、パートナーのピーター・マードックとともにニューヨークから片道切符でメキシコに飛び、2週間のコンペに参加した。

この卓越したデザインは、オリンピックの輪が数字の6と8の下側の円に有機的に融合している。モチーフには、大胆なラインや幾何学的な形、鮮やかな色を使ったメキシコの古代アートを採用。同時期にニューヨークで流行っていた、オプティカルアートを融合した。

60年代のサイケブームと古代メキシコのラインを合わせることで美しい曲線を生み出した。そして、時間がたった現代でも色褪せることのない作品が生み出された。

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

このロゴは、50年以上経った今でも、メキシコシティのいたるところで見ることができる。68年のオリンピックはメキシコにとって大きなイベントだったが、ワイマンのロゴはその瞬間をとらえ、その後、メキシコの愛国心を表す永遠のシンボルとなった。

選出者: Gary Hustwit – filmmaker and founder: Oh You Pretty Things, Lisa Smith – executive creative director: Jones Knowles Ritchie

1972年ミュンヘンオリンピック

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

オトル・アイヒャーによるモダンで洗練されたデザイン。驚くべきことに当時の評判はあまり良くなく、ドイツのメディアからも批判されていた。

実はアイヒャーはこのロゴのデザインを個人的な趣味の一環でデザインしており、当初はコンペには参加しない予定だったとのことこのロゴは、動き、ダイナミズム、高揚感に加えて、他の多くのオリンピックデザインにはないユニークさを持っている。

オリンピックのロゴをデザインする際に重要なのは、常に周りにあるカラフルな五輪シンボルとの関係。

しかし、アイヒャーのロゴは、カラフルではなく、モノトーンで、直線と鋭角で構成されている。リングとのコントラストが卓越している。ミュンヘン市のマークは円形の中心から放射状に広がっているので、両方のデザインが見事に共鳴し合っている。

このバランスをとることは非常に難しく、アイヒャーはそれを実現することで、後のアイデンティティデザインにおける多くの革新を予見させる立体的な視覚的イリュージョンをも生み出したのである。

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

ちなみに、アイヒャーは若い頃に反ナチスの活動を行い、何人もの仲間が処刑されるのを目の当たりにし、最終的には第二次世界大戦の晩年を潜伏生活で過ごした経験を持つ。

それもあり、1972年の大会は彼にとってもドイツにとっても、ナチスの汚点を克服するために必要なステップだった。そのため、大会のテーマは「The Happy Games」という極めて楽観的なものとなっている。

このテーマを具現化したのが、彼の表現力豊かなモダニズムを象徴するような、抽象的なマークである。ダイナミックな動きとエネルギーを持つ放射状のスパイラルロゴは、新しいドイツの国を照らし、進歩、調和、そして新たな始まりを意味していた。

選出者: Eddie Opara – partner: Pentagram, Sagi Haviv – partner: Chermayeff & Geismar & Haviv

1984年ロサンゼルスオリンピック

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

一見タミヤっぽく見えるこのロゴは、1984年にロサンゼルスで開催されたオリンピック向けにデザインされた。80年代のアメリカが持つ楽観的で明るいイメージが動きのある二つの星から伝わってくるこのロゴはデボラ・サスマンによる作品。

このロゴは、国の誇り、そして不屈のパワーを持つモーションラインを連想させる。

[Image: Twitter search]
[Image: Twitter search]

また、ロサンゼルスの空から噴射装置を背負った「ロケット人間」がスタジアムに降り立つ演出や、マスコットキャラ、ホイットニー・ヒューストンによる国歌斉唱、ジョン・ウィリアムズによるテーマソングなど、世界を驚かせたド派手な開会式の演出はこのオリンピックから始まった。

まさに「商業五輪」の原点でもある。ちなみに、2028年には再びLAでオリンピックが開催される予定である。

選出者: Jennifer Kinon – partner: Champions Design

1988年カルガリーオリンピック

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

クリーン、アイキャッチ、シンボリック。ゲイリー・W・パンプがデザインしたこの1988年のカルガリーのロゴには多くの素晴らしいポイントが隠されている。

まず、特筆するべきしたいのが、シンボル部分。下棒の部分以外は、全て赤い円だけで構成されている。五輪のモチーフにも利用されている円形を巧みにレイアウトすることで、新しいシンボルを生み出す。これはシンプルながら、かなり考えられたデザインでもある。

[Image: Wiki Commons]
[Image: Wiki Commons]

その円で構成されるモチーフをエッジ部分を大胆に直線でカットし、カミソリのようなシャープなラインが形状を実現。複雑さを断ち切ることで、ダイナミックで印象深いロゴになっている。

また、今回紹介するオリンピックロゴの中で唯一の冬季五輪ということもあり、シンボル部分が雪の結晶を連想させるのも素晴らしい演出。また、クラシックな赤の色と形は、カナダの伝統的なカエデの葉のエンブレムも連想させる。

80年代とは思ないぐらいにタイムレスなデザインを実現したこのロゴにぜひ金メダルを!

選出者: Brandon K. HIll – Founder & CEO: btrax

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