鮮明なディテールと抽象的なタッチ
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(2021/09/22)
Gallery 38では、転位と不在の概念をテーマにしたクリスチャン・プーレイの新作個展「 Distance 」を、2021年9月23日(木・祝)〜11月14日(日)の期間で開催する。
プーレイの作品は、自身の出身地であるチリ南部のアラウカニアの複雑さを写し出している。彼女は家族の記録写真を用いることで、鑑賞者に親近感を抱かせ、対立を煽ることなくチリの歴史を描いていると言える。
プーレイは、「友人や家族、家から物理的に切り離されたり、過去の記憶と現在の間にある空白など、私たちと距離との関係性に興味があります」と語る。今回のシリーズでは、物理的な繋がりがない中で、テクノロジーを使ってどのように人間関係を構築していくかという点に焦点を当て、パンデミックの継続的な影響についても言及。縦長の構図は、人間関係を築くための入り口の一つになりつつある携帯電話の画面を連想させる一方で、絵の具の物質性と目に見える筆跡は、その身体的な存在感を想起させる。
多くの作品には優しさや憧れが感じられるが、決してロマンチシズムやノスタルジーを表現した作品ではない。鮮明で具体的なディテールと抽象的な要素のバランスが、心地よい緊張感と不穏な雰囲気を醸し出す。プーレイの作品には、記憶の片鱗が消えかけていく過程のような、不安定ながらも心に残る美しさが表現されている。
今回がアジア初となるクリスチャン・プーレイの作品展。原宿に佇む洗練された空間で、彼女の独創的な世界観を堪能してみて。
クレジット: ©️Christiane Pooley
Photography: Nicolas Brasseur, Romain Darnaud
■概要
クリスチャン・プーレイ新作個展「 Distance 」
開催期間:2021年9月23日(木・祝)〜11月14日(日)
開廊時間:12:00〜19:00
開催場所:Gallery 38
住所:東京都渋谷区神宮前2-30-28
休廊日:月、火、祝日 ※9月23日(木・祝)は 開廊
電話番号:03-6721-1505
>>EDITOR’S VOICE
秋は注目の展示会が目白押し。同じく神宮前にギャラリーを構える「EUKARYOTE」では、映像作品に焦点をあてた企画展「Moving Images」を10月10日(日)まで開催中。表参道・原宿で、芸術の秋を満喫してみてはいかがでしょう。
Text:Arisa Watanabe
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