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ブラックフライデー、オンライン売上が初の減少

ブラックフライデー、オンライン売上が初の減少

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■セールの分散化が進んでいることで、1年で最も重要な1日であるブラックフライデーの価値が減少している。

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ブラックフライデーの実店舗の客数はコロナ前に比べて二桁減で減少し、オンライン売上高は史上初となる減少に転じたのだ。

センサーマティックが発表したデータによると、26日のリアル店舗の客数はソーシャルディスタンシングや客数制限のあった昨年のブラックフライデーに比べて47.5%増加した。

しかしコロナ前となる2019年のブラックフライデーと比較すると28.3%も客数が減少したのだ。

また感謝祭日はウォルマートやターゲットなど大手チェーンストアが休店したことで2019年に比べて客数は90.4%も落ち込んだ。

感謝祭日に休んだのはベストバイやメイシーズ、コールズ、ディックス・スポーティング・グッズなど。

一方、アドビ・デジタルエコノミー・インデックスからの最新調査では、ブラックフライデーのオンライン売上高は総額89億ドル(約1兆円)と、事前予想の下限にとどまった。昨年の実績(90億ドル)から1.1%下回ったのだ。

オンライン売上高はブラックフライデーで毎年、前年の売上高を更新していたが、コロナ禍によりネットショッピングが盛んとなった昨年がピークになり今年は減少に転じたのだ。

セールの分散化を象徴するのがチェーンストア最大手ウォルマートの「ブラックフライデー・ディールズ・フォー・デイズ(Black Friday Deals for Days)」だ。

昨年と同様、オンラインで開始し、その後各店舗でも行うディスカウントイベントだ。

このセールイベントは実施時期を大きく3つに分けている。

イベント1はオンラインストアが11月3日(水曜日)の東部時間午後7時からスタートし、リアル店舗は5日(金曜日)のローカル時間午後5時から開始だった。

イベント2はオンラインストアが11月10日(水曜日)の東部時間午後7時から始まり、各店舗は2日後となる12日(金曜日)ローカル時間午後5時からスタートとなった。

イベント3は10月18日東部時間午後8時15分からのスタートで1ヶ月以上に及ぶセール・イベントとなっている。

ウォルマートはセールイベントを3つに分けるだけでなく、チェーンストアとしては初となるサブスク会員の特典をセールに提供した。

昨年9月から開始した年間98ドル(月額12.95ドル)となるサブスクリプション・サービス「ウォルマート・プラス(Walmart +)」の会員には、オンラインセールの早期アクセスが特典として与えられた。

ウォルマート・プラスはアマゾン・プライムに対抗する有料のメンバーシップ・プログラム。スーパーセンターにある食品や日用品、オモチャ、家電品などを対象に無制限で無料で当日宅配を受けられる他、ガソリン割引や店内での買い物時で利用者が商品バーコードを専用アプリでスキャンしながら決済を終える「スキャン&ゴー(Scan & Go)」も特典となっている。

11月3日のイベント1では会員にスタートの4時間前となる東部時間午後3時からセールを開始した。10日のイベント2も会員には東部時間午後3時から前倒しでセール解禁にした。

セール品は在庫限りとなっているため、優先権を与えらることでサブスク会員は一般の顧客より目玉商品を確実に購入できたのだ。

日本で抽選販売となっているプレステ5は米国でもなかなか手に入らないほどの大人気商品となっている。

ウォルマートはブラックフライデーでサブスク会員にプレステ5をオンライン購入できるアクセスを一般客より4時間も早く与えた。

29日のサイバーマンデーでもプラス会員に向けてプレステ5など超人気商品でアーリーアクセス権が実施される予定だ。

そのサイバーマンデーは今年、成長率が鈍化しながらも前年を上回るとの予想となっている。

米国の大手オンライン企業をフォローしているアドビは感謝祭日からサイバーマンデーの5日間のオンライン売上高は360億ドルとなるとの予想を発表している。

感謝祭週末からサイバーマンデーまでのオンライン販売は前年同期で5%の増加にとどまる。

またオンライン販売で毎年のように記録的な売上となるサイバーマンデーも113億ドルとなり前年に比べて4%の増加と勢いは落ちることになる。

アドビによると11月~12月のEコマース売上高は2,070億ドルとなり、前年同期比で10%の増加となる。

全米小売業協会(NRF)が先月発表した調査結果では、オンライン売上高は2,183億~2,262億ドルとなり、前年同期比で11~15%増となるのだ。

なお2020年のオンライン売上高は1,967億ドルだった。課題とされるのはサプライチェーン問題であり、セール価格があまり落ち込まないことでオンライン売上を伸ばすことになる。

ワクチン接種が進んでいることで、ソーシャルディスタンシング等の対策がとられていた昨年に比べれば11月~12月期にリアル店舗に客数が戻ってくるのだ。

トップ画像:午前5時のオープンに行列をつくるウォルマート客。ブラックフライデーでの客数は前年より回復したもののコロナ前に比べては下回った。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。今年のブラックフライデーとなった26日、後藤は早朝4時に起床。ウォルマート(買い物も)とベストバイを視察して自宅に戻り、ブログを仕上げました。記事をアップロードした直後にセリトスに行ってアマゾン・フレッシュで調査(買い物)でした。で、アマゾン・フレッシュから大通りを挟んでモール「ロス・セリトスセンター」があるので、そこでランチ。午前11時頃でしたが、モールのパーキングでは停める場所がなかなか見つからず、イライラしたものです。昼食で一息つきながら「モールに客足が戻ってきたなぁ」とボンヤリ感じていました。実査、昨年に比べて48%の増加でした。ただ、コロナ前となる2019年のレベルからは28%も下回っています。オンラインにお客が流れたのかというとそうでもなく、オンライン売上高は今年のブラックフライデーで微減となりました。10月末からセールを始めたりと、セールの分散化が一層進んでいるようです。ただEコマースは今後、ブラックフライデーよりサイバーマンデーに凝縮されるのでしょう。

 ところで新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」が世界で急拡大しているようですが、年末商戦の客足に影響を与えますかね。

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