オンライン通販で購入してもらった商品をどう顧客にスムーズに届けるか?
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この「ラストワンマイル」問題が通販物流最大のテーマのひとつですが、
先日、ファッション流通業界のオムニチャネル化を考えるお仲間であるアパレル物流の専門家、小橋重信さんが共著でビジネス書を出されたということで、
全図解 メーカーの仕事 (ダイヤモンド社)――需要予測・商品開発・在庫管理・生産管理・ロジスティクスのしくみ
小橋さんが書かれたロジスティクスの章を中心に本書を拝読いたしました。
そもそも物流は歴史的に、BtoBつまり、企業間取引において、いかに効率的にローコストで運ぶかを考え、企業努力の下、磨きがかけられて来たものなので、
BtoC、つまり企業から消費者への個別宅配は、企業間と比べると、歴史も浅く、効率が悪く、コスト高になるのは必然です。
従来の効率企業物流に対して、消費者ごとに違う、パーソナライズされた配送に加え、更に、配送料無料などの特典が出て来るものだから・・・
多くの企業が細かい対応と損益に苦労をするわけです。
顧客の注文にあわせて個々の配送を配送業者、宅配業者などに頼めば、配送便の行き、帰り便ともに効率よく、荷物いっぱいにして運行されることはなく、
運送業界関係者によれば、往復の平均積載率は40%だとか。
つまり、荷主と呼ばれる配送を依頼する側は残りの60%分の空(カラ)スペースに対しても運賃を負担している、つまり、往復満載の場合の1個あたりのコストに対して、2.5倍の費用を払わされている、というわけです。
そんなムダの多い配送便にかかるコストの現実を聴けば聴くほど、社会全体で改善を考えなければならないと思います。
日本では、オンライン通販というと、倉庫から宅配があたりまえ、だと思われがちですが、
イギリスのチェーンストアではクリック&コレクトでEC向け倉庫から店舗向けのBtoB物流に載せられた荷物を、顧客が都合のよい店舗を指定して受け取るのが当たり前になり、
アメリカでもストアピックアップ、あるいはBOPIS(Buy Online Pickup In Store)と呼ばれ店舗の在庫をオンライン注文し、数時間後に店舗でまとめて受け取れるサービスが発達しています。
これらはすべて、物流はBtoB向けに効率化されたもの、という原則に逆らわず、企業が消費者の理解を得ながら、折り合いをつけた結果だと見ています。
ファッション流通であれば、
ユニクロ国内事業ではオンライン通販の約40%が店舗で受け取られ、ZARAもちょっと前のメディア情報ではありますが、66%が店舗で受け取られているそうです(グローバル平均)。
日本においては、欧米よりも宅急便が発達し、オンライン通販の宅配が常識的に考えられますが、当たり前ですが、個別荷物はタダでは運んでもらえません。
実際、一個あたり、安くて5~600円から1000円台かかる宅配送料を誰が負担するのか?年々二桁増を続ける宅配件数に配送キャパが対応できるのか、という問題を抱え続けています。
では、コロナ禍で話題になった、ウーバーイーツや出前館のような飲食向けデリバリーサービスに相乗りすればよいではないか、という向きもありますが、実際には宅配1件あたり、ドライバーには500-600円の配送料を支払わなければならないわけです。
1件あたり70-100円程度で飲食を運んでくれる人たちがいる中国とも比較にいなりません。飲食デリバリーサービスは国ごとの事情(特に所得差)が違いますので、国の事情ごとに発展のしかたは変わるでしょう。
筆者はイギリスのコレクトプラスが参考になると思っています。
24時間営業しなくても365日営業するチェーン店から零細店舗を対象に、全英7000店舗をオンラインでネットワーク化して、そこにルート便を走らせ、顧客が通販で注文した商品を近隣の希望の拠点で受け取れるサービスがあり、多くの通販企業が共同利用しています。
日本ではコンビニが受け取り拠点として、注目されますが、あまりコンビニだけに負担をかけられないですよね。(嫌がっているFCオーナーも多いと聞きます)
また、アマゾンはアマゾンハブカウンターと言って、ライバルであるはずのチェーンストアと提携をして、提携先の店舗向け物流網(BtoB)を利用して、顧客に近い店頭まで届け、顧客の都合の良い時にそこまで取りに来てもらうことで、折り合いをつけています。
さて、日本のラストワンマイルはどう着地するでしょうかね。
宅配だけを当たり前にせず、ルート配送のBtoB物流を上手く組み合わせ、消費者も企業も持続可能な形で荷物を受けとることができる未来に着地することを望んでいます。
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