■NBC局の生放送コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL:Saturday Night Live)」は12日、アマゾンのレジなしコンビニエンス・ストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」のパロディーコマーシャルを番組内で放送した。
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アマゾンゴーの自動決済技術「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」は、人工知能(AI)やコンピューターヴィジョンを駆使することで、レジでの精算なしで食品を買うことができる革新的なシステム。
アマゾンゴーでお客は商品を手にとって出ていくだけで、代金は自動的に口座に請求される仕組みだ。レジ不要でレジ待ちの時間がなくなり、ストレスフリーで買い物ができるメリットがある。
同技術を導入することでコンタクトフリーで買い物ができ、コロナ禍で人との接触機会を減らす対策としても注目されている。昨今では新型コロナウイルス感染症の拡大でコンタクトレスへのニーズが高まっており、レジなしのジャスト・ウォークアウトを導入することでお客とスタッフ、双方の安全性確保が可能となる。
SNLのパロディコマーシャルは、アマゾンゴーで白人と黒人の買い物体験をブラックユーモアで表現したもの。アマゾンゴーの入り口ゲートでスマートフォンをスキャンして入店する買い物客を映しながら、女性ナレーターが「アマゾンは2018年からお客様に全く新しい買い物を提供しています」に「お客様は商品を持ち去るだけです」と説明する。
白人の女性客が「商品を持って出ていけばいいだけなんですか?」にナレーターは「そのとおりです」で、女性客は「ワォ!かんたんですね」と言って商品を持ち去る。
ナレーターはもう一度、「必要なものを手に持って、バッグに入れて、歩き去るだけ!」と繰り返す。
その説明に怪しく思う黒人客が「え、商品を持って出ていけって?」で「ノー、その手にのるか!」と返すのだ。
アマゾンゴーのゲート前の黒人女性客を映しながらナレーターが「怪しまれるお客様が何人かおられます」に女性客は「何人か?」と不審な表情。
「このシステムはセンサー・フュージョンにディープ・ラーニング・アルゴリズム、コンピューター・ビジョンが使われています」に黒人客は納得した表情で「それ、フェイクでしょ」と全く信じない様子だ。
別の黒人女性は「どこで支払うの?」に「レジはありません」で、その女性は「だから私はいつもレジでちゃんと支払っています!」とイラ立ちを隠しきれない。
商品を戻す白人の女性客を追いながら「気が変わってもバーチャルカートにすぐに反映するので大丈夫」とナレーターの解説が入る。
サンドイッチを棚に戻しながら黒人客が周囲に向かって「サンドイッチを棚に戻したのでバッグには何も入っていません」とバッグを逆さまにして振るのだ。
出口ゲートの前では、トルティアチップスと現金を両手に掲げた黒人客が出ることをためらいながら、ナレーターから「ゲートを出るだけですよ」と念を押される。
黒人客が怯えながらゲートを出た後、戻ってきては現金をゲートに置くのだ。
ナレーターは「お会計は済んでいますので、現金を置く必要はありません」に黒人客は困惑しながら大声で「チップですよ、チップです」と叫び、周囲に支払う意志があることを見せるのだ。
新作のバットマン映画にキャットウーマンで出演するゾーイ・クラヴィッツも女性客でこのパロディCMに出ているのだ。YouTubeにアップされた動画は3日で150万回も視聴され大変な人気となっている。
なお、アマゾンゴー1号店は2016年12月5日にシアトル市内のアマゾンの新本社内にオープンし、2018年1月22日に一般にも公開された。
パンデミックとなった2020年にはシアトルにシカゴ、ニューヨーク、サンフランシスコに最大26店舗まで拡大。
昨年4月にサンフランシスコなどで一部店舗を閉鎖した後、11月にはコーヒーチェーン最大手のスターバックスと提携した「スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾンゴー(Starbuck Pickup with Amazon Go)」をニューヨーク・マンハッタンにオープンしている。
ジャスト・ウォークアウトは外販もされており直近ではNYラガーディア空港のWHスミス、ダラス・ラブフィールド空港とシカゴ・ミッドウェー国際空港のハドソン・ノンストップ、ニューアーク・リバティ空港のCIBOエクスプレス・グルメ・マーケット(2ヶ所)にも導入されている。
またジャスト・ウォークアウトを導入した売店はLAフォーラムやTDガーデン等のアリーナ、ジェイコブ・ジャヴィッツ・コンベンション・センター、リゾートワールド・ラスベガスのカジノホテル内にもある。
アマゾン傘下のホールフーズ・マーケットは今週、ジャスト・ウォークアウトを導入した店舗をロサンゼルス郊外にオープンする。
シアトル郊外には郊外型のアマゾンゴーがオープン予定で、今年の夏にはダラス・フォートワース国際空港にもアマゾンゴーが出店する。
長寿番組となるSNLでも取り上げられたことでレジなしの認知度はさらに向上しそうだ。
トップ画像:両手でトルティアチップスと現金を掲げながら、出口ゲートをこわごわ通る黒人客。この後、戻ってきては現金をゲートに置くのだ。
コメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ(SNL:Saturday Night Live)」によるアマゾンゴーのパロディコマーシャル。残念ながら日本からは見れないが、万引きのような買い物に「ワナだ」と怪しむ黒人客がおもしろい。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンゴーのパロディコマーシャルには大笑いです。人種偏見を巧く使ったブラックユーモアです。女性ナレーターがアマゾンゴーを普通に説明をしながら、それをワナだと怪しむ黒人客がボケるのです。アマゾンゴー1号店が一般に公開されて、最も多かったのが「本当に商品を持って出ていってもいいのか?」と確認されたことだと言います。それだけアマゾンゴーのジャスト・ウォークアウトが破壊的イノベーションだったということです。万引きような買い物に、当初の想定以上のお客が戸惑ったのですね。で、サタデー・ナイト・ライブは黒人に対するステレオタイプを巧く利用しながら、万引きのように買い物ができるアマゾンゴーをパロったのです。アマゾンゴーは黒人を万引き犯に仕立てるトラップショップのように表現したのです。ジャスト・ウォークアウトを怪しんだり、不審がる芸人さんらの表情がとても上手い。最後に店内で「アレクサ、アマゾンゴーは黒人に罠を仕掛けているのか検索して!」と叫ぶ黒人がいたりと面白いです。
これは日本では絶対にできないブラックユーモアです。ブラックユーモアって相当賢くないとできないのですよ。なぜならあまり頭の良くない人が見境なく、すぐに感情的になるから...
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