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海外の著名ブランドから学ぶ、ブランドストーリー作成のポイント

魅力的なストーリーの基本構成
魅力的なストーリーの基本構成

海外の著名ブランドから学ぶ、ブランドストーリー作成のポイント

魅力的なストーリーの基本構成
サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

いつもノースフェイスしか着ない友人がいた。理由を聞いてみたら「どんな過酷な状況でも果敢にチャレンジする人たちをサポートしたいっていうブランドストーリーに共感したから。」と答えた。

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このブランド名称の由来になった、「ノースフェイス」とはヨセミテの登山ルートの名称。北側に面しており、陽のあたりが良くなく、凍りやすいことで、最も過酷な登山ルートである。

The North Faceは、そこに挑戦するような人たちをサポートするべく名付けられた。ロゴもハーフドームの形をモチーフにしている。

ハーフドームをモチーフにしたノースフェースのロゴ

ブランドの差別化要因となるストーリー

この例の様に、ブランドを選ぶ理由として、プロダクトのクオリティーだけではなく、そのブランドストーリーを重要視する消費者が増えてきている。

ニューロエコノミストのPaul Zak氏による2014年の研究では、キャラクターを中心としたストーリーがあると、消費者は56%も多くのお金をチャリティに寄付するというデータがある。

また、Headstream社による「Brand Storytelling Report」によると、消費者の79%がブランドにストーリーを語ってほしいと答えた。その一方で、調査対象となった2,000人の成人のうち85%が、ブランドが語る印象的なストーリーの例を挙げられないことも明らかになっている。

大阪・関西万博 の公式キャラクターの裏にある素敵なストーリー

2025年に大阪で開催予定の万博の公式キャラクターが発表された。公式ロゴが元になっており、このキャラクターはSNSなどで賛否両論だが、その裏には素敵なストーリーがあった。これを読めば異なる印象を受けるのではないだろうか。

大阪関西万博の公式キャラクター

ストーリーはブランドと人々をつなげる架け橋

人々の “つながり” がどんどん曖昧に広がっていく現代において、ブランドと消費者の関係性もどんどん変化している。

そんな時代に企業が消費者と真に繋がるためには、ブランドストーリーを語るのが効果的。ブランドストーリーを上手に伝えることができれば、市場での優位な地位を確立することができる。

ストーリーが効果的な理由

では、なぜ人々はストーリーに魅力を感じるのだろうか?その理由は:

・ストーリーは情報過多によるノイズを消してくれるから
・ストーリーは人々が興味を惹かれる手法で情報を整理してくれるから
・ストーリーは人間の脳が最も理解しやすいタイプの情報であるから

簡単に言うと ブランディングにおけるストーリーとは、ロゴと並んでも最も人々に伝わり、理解し、共感しやすいメッセージである。

特に膨大なる情報が溢れている現代においては、より短時間で共感しやすい形での情報伝達が求められている。重要になってくるのは受け手に “理解” を求めず “共感” を喚起することだ。

そのためにはまず興味を持ってもらう必要がある。複雑なデータに興味を持つ人はあまり多くない。

日本企業はストーリーテリングが苦手

実はこのブランディングのためのストーリーテリングは、日本企業がかなり苦手。

もちろん広告代理店に発注したCM動画にはかなり感動的なものもあるが、それはあくまで商品を中心としたキャンペーンに過ぎず、世界の消費者向けへのブランド確立に繋がっているケースはかなり少ないだろう。

そもそも多くの企業はいまだにブランド作りの重要性に気づいていない。

なぜなら、技術や品質こそが価値であり、それさえあれば売れるといまだに思い込んでいるから。

今から約30年前の高度成長期には、技術=価値という式が成り立っていた。多機能で高機能な商品ほど良い製品とされ、価格も高かった。

しかし、それだけではだんだん差別化することが出来なくなって来たので、そこにデザイン的な価値というものが追加された。多機能・高性能なだけではなく、オシャレでカッコ良いものがどんどん売れるようになっていったのだ。

そして今の時代はもはやプロダクトそのものだけでは十分では無くなってきている。そこで重要になるのが“ブランドストーリー”だ。

著名ブランドのブランドストーリー例

そんな中で、成功しているブランドは、ストーリーを用いてメッセージを明確にする方法を知っており、ブランドのストーリーテリングを非常に強力な武器にしている。

では、海外の著名ブランドの事例を見てみよう。

1.Apple
2.Starbucks
3.Tesla
4.Nike
5.Rolex

1. Apple

世界企業におけるブランド価値ランキングで不動の一位を守り続けているのがApple。創業者のスティーブ・ジョブスは生前「“世界で最も偉大な存在はストーリーテラーだろう。」と語っている。

もちろん本人も素晴らしいストーリーテラーである。これはもしかしたら、一度Appleを離れた後に、Pixerを買収・成長させた経験が生かされているのかもしれない。

AppleのストーリーテリングのDNAを代表するのが、ジョブス復帰後第一弾のキャンペーンである Think Differentだろう。

このキャンペーンでは、商品は一切表示せずに、アインシュタインやガンジーなど、世の中の課題にチャレンジする人々のストーリーを通じて、Appleの顧客は皆世の中を変えていくヒーローであることを伝えた。

このストーリーを通じたAppleのストーリーテリングは、現代のAppleというブランドを構成する重要な要素となっている。

2. Starbucks

スターバックスは、単にコーヒーを提供するだけでなく、お客様に快適で洗練されたリラックス空間を提供することで爆発的に人気を拡大した。

カフェをそれまでのコーヒーを飲む場所から、人々が集う場所として、そして自分の居場所としての場を提供している。

その新しい価値をより多くの人に伝えるために、顧客がどう感じたいかを理解し、ストーリーとして表現した。

スターバックスがスタートした1970年台、アメリカでコーヒーは店で豆を買い、家庭で飲むものとされていた。それを、イタリア風の人々が集うエスプレッソバーからヒントを得て、コーヒーを飲みながら人々がくつろぐ場所の提案をストーリーとともに広げていった。

そしてスターバックスは単なるコーヒー屋さんから、くつろぎを与えるライフブランドに変革した。

それにより、相場が50セントだった商品を、1杯3ドルも4ドルも取ることができたのだ。それも国内シェアの実に57%を占めるレベルにまで。

3.Tesla

現在では自動車ブランドとしての絶大なるブランド地位を築き上げているTeslaであるが、その最も大きなファクターになったのが、2016年に発表されたModel 3だろう。

発表後わずか1週間で325,000台、1ヶ月で400,000台を超える予約を獲得した。それも、多くのユーザーは実車も見ていないし、納車の時期もはっきりしていない状態だったのに。

そんなまるで新型iPhoneのようなバカ売れを実現したのが、Teslaのブランド力、およびCEOのElon Muskによるブランドストーリーだろう。

例えば、最も好きなブランドとして、自動車のTeslaを挙げた26歳の男性は、その理由を、“世の中の未来を視野に入れたグローバルなブランドと感じるから。そして代表のイーロン・マスクはリスクを恐れずチャレンジを続ける所に共感出来るから。” と答えた。

その他にもTeslaが好きな主な理由としては:

・イノベーションをサポートしたい
・社会、環境に優しくありたい
・先進的でありたい
・イーロン・マスクの無謀なチャレンジを応援したい

すなわち、今回のModel 3に対しても、上記のような「なぜ = そのブランドが持つビジョンやストーリー」が大きな購入動機になっていると考えられる。

4. Nike

1971年の創業以来、NIkeのミッションは「世界中のすべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらすこと」。

Nikeは「体を持っている人は皆アスリートであり、その肩書きを得るためにコートやフィールドでスターになる必要はない」というストーリーを伝えている。

Nikeは、スポーツを文化、国境、障壁を越えた世界共通言語と捉えており、それがストーリーテリングへのアプローチになっている。Nikeのストーリーは、ヒーロー像をベース展開する。

しかし、観客が外部の力と戦うのではなく、皆、自分自身と闘っていることをNikeは知っている。

私たちの中には、走りに行かずにソファに座っていたいという気持ちがある。ジムに行かずにスヌーズボタンを押したくなるような自分。

それは、誰もが共感できることであり、私たちにとって強い感情的な痛みを伴うものだろう。

私たちは勇気を持って、夢を追い求めることができるのだろうか? まずは、とにかく動いてみよう。- Nikeのスローガン “Just do it!”は、そのメッセージを完璧に捉えている。

Nikeは行動を起こすように鼓舞し、顧客が自分のストーリーを通じて、勝利の気分を味わわせてくれるブランドなのだ。

5. Rolex

人は常に自分達の生存と繁栄のために役立つものを買う。

その点において、ロジカルに考えてみると、高級時計のロレックスを買うことは生き残るという意味ではあまり合理的であるとは思えない。安い時計はいくらでもある。しかし、ステータスの重要性を考えると、また違った見方ができる。

ロレックスというブランドは、豊かさ、特別な人間であること、そして無限の可能性というストーリーを伝えている。

それは身につけた者が、強力な味方を引き付け、大きな咆哮を上げるライオンのように潜在的な敵を撃退するステータス感覚を映し出す存在である。

そして、そのステータスはきっと我々の生存と繁栄に繋がると感じさせる。もしかしたら出会いのきっかけになるのかもしれないと。

ロレックスをはじめとする高級ブランドは、単に時計を売っているのではなく、権力、威信、洗練に関連したアイデンティティを売っているということになるだろう。

その価値はあるのだろうか?- と聞かれれば、それは人によるだろうとしか答えられない。

ただ、ロレックスは人生の扉を開くステータスを与えてくれるブランド。そんな可能性がストーリーを通じて伝わってくる。

効果的なストーリー作りの方法

魅力的なストーリーには共通した法則が存在する。それは映画でも小説でもブランドストーリーでも同じ。この法則をブランディングに活用することで、より多くの人々の興味を引き、共感を生み出し、最終的にファンの醸成に繋がる。

そして、長期的な売り上げと利益を生み出し、ビジネスを成功に導いてくれる。

魅力的なストーリーの構成

魅力的なストーリーの構成

・主人公が深刻な問題を抱える
・絶望の淵に立たされた主人公の前に、一人の支援者が現れ、プランを与え、行動を促す
・その行動によって失敗を回避し、成功に終わる – その結果、主人公が成長を成し遂げる

例:スターウォーズ
ルーク・スカイウォーカー (主人公) に帝国軍 (問題) が迫る。そこに、ヨーダ (支援者) が現れフォースを教え、ダースベーダーとの戦い (計画) を促す。その後、ルークは帝国軍と戦い (アクション) 、見事デススターを破壊 (成功) 。そして、ルークはジェダイの騎士になっていくのだった (成長)。

これが人々の心を鷲掴みにするストーリーの基本的な構成である。

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