常識や従来のルールにとらわれないハリス・リードと、エトロのクリエイティブディレクターであるヴェロニカ・エトロがZoom上で対談。2人が考える、心に留めておきたいSNSとのヘルシーな付き合い方、透明性のあるデザインを追求することの重要性とは。
新進気鋭のデザイナーを支援・育成する、毎年恒例の「The Innovators(イノベーターズ)」。本年度は前回選出された11ブランドのほか、新たに3ブランドが参加。ビッグデザイナーとともにファッションの過去、現在、そして未来を探るスペシャルな対談シリーズをお届けします。(本記事は2021年9月に掲載)
弱冠25歳でありながら、作品やソーシャルメディアを通してよりインクルーシブで寛大な世界を作り出す英国系アメリカ人デザイナーのHarris Reed(ハリス・リード)は、イノベーターと呼ぶにふさわしい存在だ。そんなハリスのドラマチックな作品をスタイリストのHarry Lambert(ハリー・ランバート)が見つけたのは、ハリスがまだロンドンの名門セントラル・セント・マーチンズの学生だった頃。イギリスの人気歌手Harry Styles(ハリー・スタイルズ)に紹介し、Harris Reedによるオーダーメイドのスーツドレスを着用した彼がアメリカ版『Vogue』に登場した。そしてこれは彼の輝かしいキャリアのほんの始まりに過ぎない。今年はロンドン発レーベルMissoma(ミッソーマ)とコラボレーションし、ロマンチックなジュエリーも展開。つい先日行われたメットガラ2021ではモデルのイマンとともに登場し、フェザーをあしらったゴールドの煌びやかな衣装を披露した。
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ハリスは型破りな性格であることを自認しているが、それはEtro(エトロ)のクリエイティブディレクターであるVeronica Etro(ヴェロニカ・エトロ)にも通じる。ヴェロニカは、1968年にテキスタイル会社として家族経営のイタリアブランドを設立したジェロラモ・エトロの末っ子であり、幼少期はEtroのアーカイブに囲まれて育った。2000年には、彼女にとって初のウィメンズウェアコレクションを発表。近年は、Etroの美学を進化させることに情熱を注いでいる。それは、ハリスもファンであるユーロビジョン・ソング・コンテスト2021のグランプリ、モーネスキンのために彼女が制作した、肌にぴったりとフィットしたグラムロックな衣装を見ても明らか。
今回の対談では、デザインに対する心のこもった先進的なアプローチと、ファッションは芸術であるという考えに共通点を見出していく。
「有色人種のモデルや、ゲイやクィアの人をただ起用するという形だけの平等主義の時代は、もう終わったと思う。多様なバックグラウンドを持つ人と一緒に仕事をするなら、その人のストーリーやアイデンティティ、そして、彼らがブランドにもたらすものを理解することが大切」ハリス・リード
「ペイズリーのデザインは、貴族を象徴するものであり伝統を感じさせる。それと同時にとてもサイケデリックでポップロックでもある。私はそんな意外性を取り入れるのが好き」ヴェロニカ・エトロ
「(ファッションとサステナビリティは)一緒になるとは考えもしなかった2つの言葉で、サステナビリティはファッショナブルな話題になっている。私たちが意識的に作品に取り入れようとすれば、とてもエキサイティングな未来が待っていると思う」ハリス・リード
「ファッションは、間違いなく芸術の一部だと思う。プリントに取り組んでいたとしても、私にとっては毎シーズンが真っ白なキャンバスのようなもの。サイズやテクニック、色の組み合わせ、テーマを決めなければいけないから」ヴェロニカ・エトロ
Introduction by Shona Wallace
Photography Trisha Ward, Ho Hai Tran. Images courtesy of Harris Reed and Etro.
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