ゴールデンウィークの休暇中に島根県出雲から鳥取県の大山(だいせん)あたりを巡った際に、アウトドアウェアと用品を全国展開するSPA企業、モンベルの大山店を訪問しました。
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このモンベル大山店は以前、日経MJに掲載されていた、創業者で代表の辰野勇氏のインタビュー記事を読んで、一度行ってみたい、と思っていたお店でした。
コロナ禍で野外活動ブームが起こり、アウトドア関連は好調という見方もあるかも知れませんが、好調と思われるモンベルも都心店は大きく影響を受け、一部店舗の閉鎖に踏み切らざるを得なかったそうです。
その一方で、これからの出店に力を入れる立地はここだ、と確信したのが、ユーザーが実際にモンベルの商品をアクティビティに使うロケーションへの出店だったそうです。
モンベル大山店は大山の麓、登山口の近く大山寺エリアにありますが、その象徴となる店舗立地なのです。
店舗を訪れると、
品ぞろえ的には全国とさほど変わらず、そこにプラス、当地のお土産ものがあるくらいの違いですが・・・
顧客が天候や気温の読み違いから、登山前に買い足したくなるアイテムの数々がレジ前に並び、
また、登山後に今回、身に付けて来たウエアやグッズを実際に使ってみて、顧客が感じたお困りごとや改善点をスタッフが解決するような接客をしているシーンを訪問時に何組も見かけたものでした。
これらは明らかに都心店での顧客の使用前の購買行動とは違った、使用直前、直後のリアルな顧客の購買行動に他なりません。
小売業の出店の定石は・・・
流動人口の多い都心に出店するか、
家賃が安く、ローコストオペレーションで成り立つ立地、
というのがこれまでの小売業の常識でした。
しかし、モンベルは逆に、ユーザーがアクティビティのために実際に自社商品を使うロケーション(消費地)に出店するという、
逆張りながら、マーケティング的にも正しいアプローチも行っていることを現地で感じて感心したものでした。
更に、参考になるなと思ったのは・・・
モンベルクラブというメンバーシップ制度
これはライフタイムバリューを目指すブランドにとっての会員制としてお手本のひとつだと思います。
年会費は1,500円、最低5%還元のポイントが貯まる権利を付与するメンバーシップに加入頂くことで、
入会顧客さんには年複数回の購入をお約束頂くことになります。
その際、500円分のお買いもの券を発行しますから顧客にとっては実質1,000円の負担になります。
メンバーシップ特典で通常550円かかるECの送料は無料、店舗からの宅配送料も無料、(カヤックなどの大物は別)などなど。
年2回以上購入&宅配すれば、十分、元は取れそうです。
特典は他にもありますが、
ここまでのところで是非、考えて頂きたいのですが、
各種割引で買上客を増やし、無料でポイントカードを持たせ、ポイントを付与し、
会員顧客あるいはアクティブユーザーがたくさんいる!という企業と
有料で年会費を払ってでも会員になりたい顧客に支えられている企業と
これから、どちらに未来があるでしょうか?
年会費を払ってでも、繋がっていたいと思える顧客をどれだけ増やすことができるか?
顧客のライフタイムバリュー(企業側から見れば1年あたりの購入金額の積み上げ)が経営指標になり、
それらが企業の持続的な成長を支える源泉になる時代に何をすべきかを考える時、
モンベルの「コト」を起点とした出店やマーケティング、メンバーシップの考え方は大いに参考になるのではないでしょうか?
最後までお読み頂きありがとうございます。
執筆: ディマンドワークス代表 齊藤孝浩
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