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日本の制作会社が世界で一番コスパが良い10の理由

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サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ

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ここ数年でまた日本でWebやアプリの制作会社が増えてきているように感じる。新たにデザイナーを目指す人も多く見かけるようになった。

Web制作会社が生き残りにくいアメリカ的な感覚で考えると、かなり興味深い。

アメリカの場合は、英語でやりとりする事ができればよりコストの安い国に発注したりできる。また、デザイン事態が事業のコアに近いということで、デザインチームのインハウス化を進めている状況が増えていることで、単独の制作会社として生き残るのは非常に難易度が高い。

日本の制作会社はコスパがめっちゃ良い

世界的に見ても日本の制作会社のコスパはかなり高い。かなり技術力があり、責任を持って仕事をしてくれる割に値段がリーズナブル。

おそらくその背景には以下に紹介する10のファクターが要因になっていると考えられる。

  1. 物価の安さ&為替
  2. 仕事に対しての姿勢
  3. 優秀な人材の多さ
  4. デザイナーの待遇が良くない
  5. おもてなしの精神
  6. 治安良い&インフラが安定してる
  7. 職人気質
  8. 日常におけるUXの高さ
  9. スタートアップ市場が熟成していない
  10. お客様は神様の考え方

1. 物価の安さ&為替

最近の日本は世界的に見てもかなり物価が安い。安くなったというよりは、他の国の物価が上がったのに対して、日本はここ30年ぐらいあまり変化がない。

例えば、2005年ぐらいまではサンフランシスコより東京の方が生活コストが高かったが、今はサンフランシスコの生活コストは東京の2.5倍ほどだ。

下記のビッグマック指数を見てもわかる通り、世界全体で見ても日本の物価の安さは特筆すべきものがある。そして安いのは物だけではなく、サービスも同じ。そもそも全体の給与が上がっていないのだから当然だろう。

世界各国の物価のバロメーターであるビッグマック指数: 日本は中国より低い32位 – 出典: 日刊ゲンダイDIGITAL
世界各国の物価のバロメーターであるビッグマック指数: 日本は中国より低い32位 – 出典: 日刊ゲンダイDIGITAL

物価の安さに加え、近ごろは円安が進み、どうやら20年ぶりぐらいの状況になっているらしい。こうなってくると、ドル換算にすると、日本の会社の見積もりはかなりお得に感じる。

イメージ的には以前は10万円だったのが、7万円になったイメージ。そして今後もこの円安はまだまだ進む予測もされている。

2. 仕事に対しての姿勢

日本が世界に最も誇れるのがその平均的教育レベルの高さと、仕事に対しての勤勉さだろう。特に、仕事に対しては、その対価に関係なく、課された内容をしっかりと遂行する姿勢、対応のきめ細やかさは唯一無二の存在。

これがアメリカだと、単価の安い案件に対してはそれなりのサービスしか受けられないし、比較的コストが低い東南アジアなどの国々でも手抜きされることも少なくない。もちろんプロジェクトの状態にかかわらず、定時になったら家に帰ってしまう。

その点、多くの日本企業で働く人たちや、フリーランサーは仕事に対しての責任感がかなり高く、納期に間に合わせるために残業したり、週末も働いてくれたりする。また、万が一間に合わない場合があっても、事前にしっかりとお知らせしてくれるケースがほとんど。この辺は、他の国だと直前まで知らされずに “Sorry” で済まさる場合も何度かあった。

加えて、識字率の高さや義務教育の高い浸透率が理由なのか、その報酬にかかわらず、仕事に対しての取り組み方と責任感において、日本を上回る国はないと思われる。

3. 優秀な人材の多さ

求人に応募してきてくれる候補者を見て思ったのだが、日本は優秀デザイナーの人材がかなり豊富。

10年ぐらい前までは、デザイナーはかなり特殊な仕事で、広告系かグラフィックデザイナーが多かったが、最近ではWebやUI, そして少しずつではあるがUXデザイナーも増えてきている。

美大だけではなく、総合大学でもデザインのプログラムがどんどん増えてきているみたいで、即戦力になるデザイン人材が多いと思う。

4. デザイナーの待遇が良くない

日本は優秀なデザイナーが多い割に、実はその待遇は世界的に見てもかなり良くないと言わざるを得ないだろう。

それには複数の理由が考えられるが、サービスにお金を払わない文化が大きく影響しているように感じる。

これは日本特有の「納品文化」がまだまだはびこっており、数字やカタチで測ることが容易ではないデザイナーの価値がまだまだ理解されにくい土壌かもしれない。

ということは、優秀なデザイナーを擁する制作会社にお得な金額で仕事をお願いしやすい状態になりやすい。

5. おもてなしの精神

某広告代理店の企業理念ではないが「そこまでやるか!」と感じてしまうぐらいに気の利いたサービスを提供してくれるのが日本企業のすごいところ。

これは飲食店や旅館、航空会社だけにとどまらず、制作会社も他の国と比べて相当サービスが素晴らしい。こちらが頼む前に「必要だと思って事前にやっておきました」とか、デザインに対する補足資料の量も半端ない。

やはりこれは日本が世界に誇れる「おもてなし精神」のなせる技だろう。

6. 治安良い&インフラが安定してる

これは国内にいるとイマイチ気付きにくいが、世界的に見て日本は異常なぐらいに治安が良い。犯罪が少ないだけではなく、とにかく良い人が多い。

例えば、落とし物をしてもかなりの確率で戻ってくる。令和元年に落とし物として警察に届けられた現金の総額はなんと約40億円。携帯を落としても9割弱が持ち主に戻ってくる。こういう部分はとんでもなく素晴らしい国。

以前にバングラデッシュにある開発会社に発注したことがあったが、納期の直前に彼らのオフィスの近くで自爆テロがあったらしく、慌ててスタッフが全員帰ってしまった。それにより、納期に大幅な遅れが生じた。

また、電気やネットのインフラが安定しているのもかなりのアドバンテージ。というのも、嘘みたいだが、サンフランシスコ市街地ですら停電になることがある。アメリカの都心部でもそうなのだから、他の国でも電気やネットが落ちても不思議ではない。

日本の場合はその様な事態になることがかなり稀であるため、安心して仕事を頼める。

7. 職人気質

モノづくりに対するDNAがなせる技なのか、日本人の細部へのこだわりは半端ない。そして、物事に対するストイックな意識は世界的見てもトップレベル。

その素晴らしさを映画ラストサムライでトム・クルーズ演じる主人公は下記のように示している。

彼らは目覚めた瞬間から自らを物事に没頭し、日々自身を戒めながら完璧を実現するために精進する。

これはまさに職人気質と言えるもので、たとえそれが繰り返しの続く単純作業だったとしても、高いクオリティーのアプトプットを実現する。HTMLのコーディングなんかはかなり根気のいる作業だが、日本の制作会社は手抜きをすることなく、しっかりと結果を出してくれる。

8. 日常におけるUXの高さ

これも海外で生活しないと気づかないのだが、日本の日常生活におけるユーザー体験はかなり高い。

多機能な自動販売機から始まり、滅多に遅れない電車、わかりやすい標識、迅速で効率的なコンビニの業務、レストランでの高い顧客体験など、おそらく日本でしか体験できないほどの便利さがそこにある。

そんな高レベルの体験に日々接していると、感覚的にも研ぎ澄まされ、自分達が作り出すユーザー向けのデザインスタンダードも自ずと高くなっている。

9. スタートアップ市場が熟成していない

サンフランシスコ地域でデザイン会社を経営する最も大きな悩みの一つが、周辺にあるスタートアップの存在。というのも、この街にはTwitterやPinterest、AirbnbやLyftなど、デザイン性の高いプロダクトを提供するスタートアップが山ほどあり、人材獲得競争が激化している。

結果的に優秀なデザイナーや制作に関わる人材がどんどんスタートアップに引き抜かれる。もちろん新規採用のハードルも高くなる。

その点日本はまだまだスタートアップが熟成していないため、人材の獲得の難易度はまだ高くないように感じられる。

結果として、制作会社だったとしても優秀なデザイナーを配することが現実的に可能になっている。

10. お客様は神様の考え方

そしてやっぱり最後はお客さまは神様の考え方。どんな金額であったとしても、お金をもらっている = お客さまである限りは、圧倒的な主従関係の概念が根強く残っている。

これは同時にクライアントの立場になればある程度のワガママも通しやすく、日本の制作会社にお願いするROIが高まる

特に提案段階でも手厚いサポートをしてくれたり、場合によってはデザインコンセプトを提出してくれたりするあたりなんかは、正当な対価をもらってないのにかなりのサービスを受けることが可能なのである。

でも弱点もあり

これらを総合的に考えると、やはり日本の制作会社はかなりコスパが良い。他の国々の人たちには教えたくないぐらいの裏技だ。

この良さをどんどん世界に広げていけば、世界のデジタル工場になれる日も近いかもしれない。

ただやはりいくつか弱点もあるので、ついでに紹介する。

弱点1: 英語力

はい。基本中の基本。だけど重要な点として、日本国外のプロジェクトをやったことのある制作会社はあまり多くない。

海外クライアントとのやり取りはもちろん英語になるのだが、デザイナーをはじめとして、英語でのビジネスコミュニケーションができる会社はまだ少ないだろう。

弱点2: プレゼン力

英語でのコミュニケーション能力と同等かそれ以上に重要になってくるのがプレゼン力。というのも、特にアメリカの企業は"なぜ"を重要視するから。

言い換えると、そのデザインがどのように課題の解決につながるかをロジカルに説明することを期待する。なので、受身の姿勢では海外のクライアントから良い評価を得るのは難しくなる。

弱点3: 消費税

日本では物にもサービスにも消費税がかかるが、アメリカをはじめとして海外のいくつかの国ではサービスには消費税がかからない。

なので、それらの国々のクライアントからは+10%割高に感じられる可能性がある。この辺は今後日本の税制がどう変わっていくかによって、大きく左右される可能性がある。

弱点4: 祝日が多すぎる

日本の人たちは普段から長時間働くのだが、実は祝日の数は世界的にもかなり多い方。1年間の祝日の合計は16日でアメリカの11日と比べてもかなり多い。

それに加えてゴールデンウィークと正月休み、お盆休みを入れるとかなりの日数で日本の企業は稼働していないことになる。海外のクライアントはそれらの事情はあまり考慮してくれないので、少しやりにくいと思われてしまうかもしれない。

弱点5: 人口が減っていく

これはイーロン・マスクが「当たり前のことを言うようだが、出生率が死亡率を超えなければ、日本はいずれ消滅するだろう」とコメントした通り。

日本の総人口は11年連続減少しており、去年は死者数(114万人)が、出生数(83万1,000人)を上回り、60万9,000人の自然減となった。このトレンドが続く限り、総合的に働ける人も少なくなり、いつかは会社も国も無くなってしまう危険性がある。

日本のデザインクオリティーを世界に広げるために

こんな感じで日本のデザイン会社や制作会社のクオリティーとコスパの高さは世界最高峰である。そんな素晴らしい日本クオリティーのデザインをより世の中に広げるために、我々はアメリカと日本のチームが日々連動し、それぞれの良いとこどりの仕組みを目指している。

これから日本の企業が生き残るため、そして多くのデザイナーが活躍できるためのフィールドを開拓していきたいと思う。

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