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サンフランシスコのレストランにおけるDXサービス 導入事例と今後の課題

サンフランシスコのレストランにおけるDXサービス 導入事例と今後の課題

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
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人手不足や人件費問題に苦しむレストラン業界において、DXの重要性が叫ばれるようになって久しい。

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またコロナ禍での生活の変化はこの動きを間違いなく加速させたといえる。

オンラインオーダーやテイクアウトといった事業形態の拡大によって、多くのレストランはオンラインツールの導入を検討しただろう。

さらに、コロナ禍前の勢いを取り戻しつつある外食需要、そして、即戦力となる学生アルバイトの激減やそれに伴う人件費増大は深刻な問題となっている。

こういった背景もあり、業務効率化や売上向上を目的としたサービスは日本に限らず、アメリカのレストラン業界でも注目を集めている。

TK bankの調査によるとレストラン経営者は、2022年に最も投資したい分野として、モバイル注文(54%)、宅配サービス(47%)、新しいPOSデジタルサイネージやその他の店内技術(45%)、代替支払方法(37%)を挙げている。

そこでテクノロジーの最先端とされるサンフランシスコの実態を知るべく、サンフランシスコにあるとあるレストランでのオペレーションを観察してみた。

本記事では、飲食店で導入されているサービスと今後の展望についてご紹介する。

サンフランシスコのレストランにおけるDXサービス5選

  1. Wix:ノーコードのホームページ作成ツール
  2. Yelp:レストランを中心としたローカルビジネスの口コミ情報サイト
  3. Toast:クラウドベースのテクノロジープラットフォーム
  4. Gusto:中小企業向けの一元管理型HRプラットフォーム
  5. MarketMan:レストランやサプライヤーのクラウドベースの在庫・供給管理システム

まずは来店者の視点から、3つのサービスを紹介する。

1: Wix

最初に取り上げるのは、レストランと来店者を繋ぐ窓口となるホームページだ。

世界に2億人以上のユーザーを抱えるWixは、ノーコードのホームページ作成ツールである。

2019年に日本法人を設立したことで日本でも存在感を増しているため、既に利用されている方もいらっしゃるかもしれない。

アメリカでは、ノーコードツールの枠を越えて、様々なサービスへのリンクが盛り込まれたプラットフォームとしての役割も担うようになっている。

企業情報やメニューの紹介を目的とした本来のホームページ作成機能に加え、デリバリー注文、ピックアップ予約、来店予約などの幅広い選択肢が用意されている。

Wix内のサービスと、以下のような外部サービスの連携を組み合わせて、自社の好みに合わせたホームページを作ることができる。

Wixと連携可能な外部サービス一覧(参照)

ちなみにこれからご紹介する来店者向けサービスはいずれも、Wixで作成されたホームページからアクセスが可能である。

2: Yelp

ホームページを訪れたユーザーが次に取る行動として、他のユーザーからのレビューや写真の閲覧が挙げられるだろう。

その際に使用されるのが、飲食店を中心としたローカルビジネスの口コミ情報サイトYelpである。イメージとしてはアメリカ版食べログといったところだろうか。

2004年に誕生したこのサービスは、2012年に上場を果たし、その2年後には日本にも展開を始めている。

このサービスの最大の特徴はやはり、その規模の大きさとそれに伴うレビューの豊富さである。

2021年のデータによると、アプリのユニークユーザーが3,300万人に達しているほか、累積レビュー数は2億4千万件以上に上る。

またこのサービスは、信頼性と有用性を保つよう心がけているそうだ。

ユーザー調査の結果を元に、実名、写真付きのプロフィールを設定しているユーザーのコメントや、比較的長い文章で細かく書かれたレビューを推奨している。

投稿されたレビューは自動化されたソフトウェアによって分析され、不当と判断されたレビューは平均評価に反映しないなどの措置が取られる。

さらにYelpは、店舗検索や席予約、ウェイトリストなど幅広くサービスを展開している。

今回取り上げているレストランでは、Yelpは、席予約とウェイトリスト登録のためのツールとしてホームページ内に埋め込まれている。

レストランのホームページに埋め込まれたYelpのウィンドウ

またサンフランシスコで生活をしていると、意外な利用シーンを目にすることがある。

それは、メニューを補足する役割としてYelpが機能している場面だ。

来店者は店内で着席してメニューを受け取ってから、Yelpのアプリで店名を検索する。

来店者は、メニューにある商品名とアプリ内の画像を見比べながら、どの商品を頼むか決めているのだ。

これにはアメリカの文化が影響を与えているかもしれない。というのもアメリカでは、訴訟問題を避けるためか、メニューに商品画像を掲載しない店舗が多い。

メニューや広告の写真が実際の商品と異なっていると、来店者に訴えられてしまうことがあるからだ。

また様々な文化・言語が入り混じるサンフランシスコでは、メニュー名だけでは商品の想像がつかない場合も多い。

そのため、Yelpはメニューのイメージをより具体的に掴むことにも一役買っているのだ。ちなみに筆者も、アメリカに来てYelpを使い始めたユーザーの1人である。

3: Toast

次に紹介するToastはフロア管理やPOS、セルフオーダーなどのサービスを提供するクラウドベースのテクノロジープラットフォームだ。

基本的にはレストラン側が様々な設定を行い、ユーザーは支払いの際にPOS端末にてサービスに触れる。

アメリカでは席で支払いをすることが主流のため、従業員が明細とPOS端末を席まで持っていくことが多い。

支払い、チップの登録、サイン、レシートの有無の設定が全てPOS端末上で行える。

画面上には無駄な要素がなく、選択肢や指示がシンプルに表示されるため、初めてサービスに触れる場合でもストレスフリーに操作できるように感じられる。

このサービスは“All-in-1 restaurant POS”を自称するだけあってサービスの幅が非常に広く、自社に必要なものを自由に選択し登録することができる。

Toastのサービス一覧表(参考)

また、このレストランではToastは、フロア管理、決済サービス、売上管理に利用されている。従業員がタブレットで注文を入力すると、その場でキッチン、POS端末に情報が共有される。

また、来店者がPOS端末を用いて支払い手続きを済ませるとチップの情報も残すことができる。

この他にも、テイクアウトやデリバリー、メールマーケティングなどの機能も付いている。

Uber EatsやDoorDashといったデリバリーサービスを通した注文を自動で反映するオプショナルプランもあるという。

このサービスの競合としてはCloverやSquareなどが挙げられるが、これらと比較すると機能が非常に多くカスタマイズの幅が広い。

ここまで、レストランを利用する来客者の目線でDXサービスについて解説した。

ユーザーの目線に立って設計されたものが多く、優れたユーザー体験を提供できているように感じられる。

では続いて、普段は来店者の目に触れることのない、主にレストランの運営者向けのサービスを2つ解説する。

4: Gusto

2012年にサンフランシスコでリリースされたGustoは、中小企業向けの一元管理型HRプラットフォームである。

今まで紙媒体で行われてきた、人事や経理に関する作業を全てオンラインで一括管理できる。Gustoは中小企業向けのサービスを展開しており、数々の賞を受賞している。

中小企業向けサービスの受賞歴(参考)

今回のレストランでは主に2つの機能が利用されていた。1つは従業員の勤怠管理、そしてもう1つは給与管理である。

従業員はGusto Walletというスマホアプリを使って操作している。

従業員向けアプリgusto walletの紹介画像(参考)

勤怠管理としては、出勤時、退勤時、休憩の際などに従業員が自身のアプリで記録を残し、それが管理者側にクラウド共有されるという仕組みだ。

また、給与管理においては、毎月の支払い額とその内訳が閲覧できる。収入、税金、チップ、等の項目に分かれておりそれぞれの数値を確認することができる。

さらにアプリ内で給与明細のPDFが発行され、もちろんダウンロードも可能である。

自身の銀行口座と紐づけておくと自動で振込情報が管理できるだけでなく、複数の口座に分けて受け取ることもできる。

Gustoにはこれらの機能が全て入っていながら、非常に分かりやすくシンプルなデザインと操作性で、従業員からの評判はかなり高いようだ。

5: Marketman

最後にご紹介するのは2013年にニューヨークで設立されたMarketManだ。

このサービスはレストランや食材サプライヤー向けのクラウドベースの在庫・供給管理システムである。

予算管理、購買、サプライヤー管理といった、在庫・供給管理に関わる作業を効率化している。

MarketManの利用者

スマートフォン等のモバイル端末での請求書スキャンやデータ抽出ツールを備えており、いつでもどこでもプラットフォームにアクセスできる。

常にラップトップのようなデバイスを開いておくことが難しい在庫管理業務のようなシーンでも、片手でアクセスできるように作られている。

また、ダッシュボードで財務面の概要を一覧することができ、非常に理解しやすい設計となっている。

ダッシュボードページのイメージ(参考)

一方でやはり、サービス展開が幅広いため初期設定は複雑化しており、導入には時間がかかってしまうという声も聞かれているようだ。

しかし、様々なサービスを一括で管理できるため、他に同類のサービスを利用する必要が少ない。

そう考えると長期的にはやはり便利なサービスであると考えられる。

ここまで、レストランで働くスタッフからの目線でサービスを紹介した。

それぞれのフィールドでDXが進んで便利に見える一方で、サービスの複雑化・乱立化により従業員の管理する部分が増え、負担も大きくなっているというのが実態かもしれない。

実際、今回取り上げているレストランでは、従業員が同時に扱うタブレットが6台あり、忙しい時間帯にはかなりオペレーションが大変そうな印象を受けた。

まとめ

本記事では、サンフランシスコのレストランで導入されているDXサービスを紹介した。今回ご紹介したサービスの特徴は、いずれもオールインワン型のサービスであることだ。以下の表では、今回取り上げたサービスの展開状況についてまとめてみた。

◎:自社サービスの展開領域 ◯:外部サービスの連携によって使用可能

このように、今回解説したものはどれも、従業員が1度に管理すべきサービスの数を減らし、負担を軽くすることを目標にしているように感じられる。

一方、レストランの運営に必要なツールの全てが1つで完結するサービスは、筆者の知る限りではまだ見つかっていない。

複数サービスの連携、ビルトイン設定などを駆使して、自社に必要なサービスを組み合わせて使用している現状がある。

スタッフの目線では、使用する端末が増えるなど従来とはまた違った課題も出てきているように思われた。

今後はこういった課題にアプローチできるかどうかが、レストラン向けのソリューション提供において大きな鍵となるかもしれない。

筆者: Miyu Okubo

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