伝説として名を刻むか、立ち退きを求められることになるか。その2つのあいだにある微妙な境界線をうまく渡る方法をご紹介。
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By Izzy Copestak Photos By Izzy Copestak Translated By Ai Nakayama TOKYO, JP
ハウスパーティーは、地球でいちばん美しい集団体験のひとつであるといえるだろう。正しく行えば、だが。それは無法地帯であり、もっとも快楽主義的なクラブだってかなわない。温かいハグと9か月間の集中セラピーを心から必要としている用心棒とのやりとりをしなくて済むだけじゃない。質素な缶ビールが8.5ポンド(約1400円)のうっすいウォッカコークの代わりになる。ここは倹約家、ワイルドなヤツ、自由なヤツが集う場所だ。トイレに入るのに20分も並び、しつこくドアを叩く必要なんてない。友だちのへたったソファにゆったりと座りながらドアを叩けばいいのだから。
そうは言っても、ハウスパーティーの主催はそれとは全く別の競技だ。5年後も話題になるようなパーティーを開いた人間になりたいと思うのと同じくらい、祖母の遺灰を〈キングス・カップ〉ゲームに使われたり、靴下をしまっていた引き出しの中に誰かが残したゲロを掃除するような人間にはなりたくないと思うだろう。
でも恐れる必要はない。伝説として名を刻むか、立ち退きを求められることになるか。その2つのあいだにある微妙な境界線をうまく渡る方法がある。ハウスパーティーで失敗しない方法を伝授しよう。
パーティーの開始時間はウソを伝える
「そう、朝5時まで続くデカいパーティーだよ。開始時間はきっかり20時半」。このセリフを自信を持って言えるようになるまで練習して、招待客全員に伝えよう。22時半になっても誰も来なくて、不安のスパイラルに陥るのを避けたいなら欠かせない。なぜかって? 遅れて現れて、超然的な魅力を漂わせようとするのはあなただけじゃなく、みんながやることだからだ。早めの開始時間を伝えておけば、みんな普通の時間に集まるはず。
ボーナスヒント:アルコールは先着順で振る舞おう。レースの始まりだ。
〈プレドリンク〉をあなどらない
プレドリンク、つまりパーティーが始まる前に景気づけの1杯を飲んでおくことこそが、自分が、そして他のみんながパーティーを楽しめるかを決定づける。緊張して動転し、コカインをキメすぎた主催者になったり、一晩中みんなに「楽しんでる???」と訊きまくったりするのを避けるためには、良いプレドリンクの時間を設けるだけでいい。あとは自ずとうまくいく。
主催者にとってプレドリンクは、パーティーの前に適切なレベルに酔っ払っておくためだけのものじゃない(ちなみに完璧な酔っ払いレベルは、〈ほろ酔い+1杯〉)。プレドリンクはパーティーの始まりそのものでもある。好きな友だちを少なくとも3人集めて、いい音楽を大音量で流し、誰が最初にワインボトルを空にできるか競争しよう。あなたのパーティーなんだから、楽しむべきだ。
パーティーのテーマを決めるなら具体的に
テーマを決めるのは大賛成だ。それぞれが決めた衣装にみんな否応なしにワクワクするし、セクシーだと思う相手に話しかけるときの最初の一言に困ることもない。ただ、テーマが〈仮装〉だけだったら台無しだ。
〈仮装〉がテーマだと、あなたが期待しているようなぶっ飛んだ、笑える格好は促されない。むしろ退屈で雑な格好しか見られないだろう。よく見るのは猫耳やカウボーイハット、ワイシャツで現れて『メン・イン・ブラック』を主張する輩だ。
〈仮装〉の代わりに考えられるのは、2010年代、カルト映画、好きなタイプ、古いミーム、シュレック、リサイクルショップの1000円コーデ、エチエチコスチューム、などなど。基本的にはニッチなほどいい。
ハウスパーティーのための完璧なプレイリストを作ってそれだけを流す
DJをやりたがる友だちがいて、機材を持ってきてくれるならそれでいい。そうじゃないならプレイリストを用意しておくこと。参加者が楽しい夜を過ごすためには欠かせない。パーティーの少なくとも1日前にはハウスメイトと腰を据えて話し合い、決定版の超長尺プレイリストを作ろう。パーティー中に曲をスキップしたり、キューに追加したりする必要がないように。パーティーでSpotifyの〈キューに追加〉機能ばかりをいじっていると、ドーパミンへの渇望が生まれ、充分に満たされない。プレイリストを信じて流し続けること。
何をするにしろ、変な音楽オタクに音響を乗っ取られ、彼がSoundcloudで見つけた「お宝」でみんなを苦しめさせないように。
近所のひとたちを掌握しよう
あなたが大富豪で、広大な土地に豪邸を所有しているのでない限り、ご近所さんがいるはずだ。彼らとのやりとりは避けて通れない。どう対処するかは相手次第だが、ひとつ確かなのは、絶対に無視しないこと。たとえ世界最高のハウスパーティーを開催していても、23時に警察が現れたら興醒めすることは間違いない。
ひとつのアイデアとしては、クッキーを焼いて、「土曜日に数人を招待してちょっとした集まりを行う予定です」と、どんなことをするかを書いた手紙と合わせて送ること。あるいは長期戦に挑むことも可能だ。パーティーの数週間前から、うっとうしいくらいに協力的な、完璧な隣人を演じよう。そうすれば、土曜夜の長寿ダンス番組の視聴が大音量のベース音に邪魔をされても、あなたが楽しんでるんだな、と表情を輝かせてくれるだろう。
また、もし相手が85歳だとしても、パーティーにお誘いするのもいい考えだ。自分が招待されたパーティーに怒ることはできないし、自分が騒音の一部だとしたら騒音に対して文句も言えない。
好きなひとを誘う
職場で気になっているひと、友だちの友だち、いつも思わせぶりな態度をとってくるバリスタやバーテンダー……。ハウスパーティーは挙動不審にならずに相手を誘える最高の口実になる。しかも、カオスなハウスパーティーのただなかで好きな相手とキスするなんて、20代で経験できるもっともハッピーな出来事だ。もしお誘いが成功したら、行く先々で問題を引き起こすボニーとクライドさながら、家のベタベタな床を走り回る準備を整えて。
もしお誘いが失敗したら? 気にする必要はない。最高のハウスパーティーを開いて、好きなひとたちに囲まれるだけだ。
家を守ろう
あなたの大家が、手すりにちょっとしたかすり傷ができているくらいで敷金を全額もっていくようなクソ大家だとしたら、注意することをもう完全に諦めていることだろう。とはいえ、契約期間が終わるまで汚水溜めに暮らしたくもないはず。
パーティーの前には、大人数をカバーできる充分な量のトイレットペーパーを用意しておこう。壊されたくないものは隠しておこう。また、大雨が降らない日にパーティーを開催しよう。そんなの難しいってことはわかっているが、なるべくがんばってほしい。カーペット張りの階段におびただしい量のドロドロの足跡がついていたら翌日しんどい。
やばいヤツは遠慮なく追い出そう
会場はあなたの家なんだから、ベロベロに酔っ払ったと思われる女の子に手当たり次第声をかける、知り合いがひとりもいなさそうな隅っこにいるキモ男相手に丁重に接する必要はない。むしろ、信頼できるガタイのいい友だちに、キモ男や押しかけ客を追い出す手伝いをしてもらえるよう頼んでおこう。やるべきことは、「出てってくれる?」と伝えるだけ。招待客はみんなその行動に心から感謝するだろう。
最後に:楽しんで!
ただ、あまり楽しみすぎないように。朝のうちにお開きしよう。午前11時を過ぎたら、誰も良いことは言わないし、良いことはしない。それまでに眠りにつくか、みんなで脂っこい朝食を食べよう。
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