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CXデザイン実現のための「カスタマージャーニー発想」そのコアにある3つの考え方

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最近、CXという概念が浸透し、その「実装」に奔走するフェーズに入ってきている。

本記事では、そんなCXについて、基本の定義、ビジネスにおける重要性、これから企業に求められるCX実装のために持つべき観点をまとめてお伝えしたい。

CXとは?

そもそもCXとは、Customer Experienceの略であり、日本語では顧客体験と表現される。似て非なる概念として、UX (User Experience)があるが、セットで考えると理解しやすいだろう。

UXがユーザーを対象としているのに対し、CXはユーザーを含むそのサービスやプロダクトに関わる人全員を対象としている。

つまり、CXとUXは包含関係にあり、全くの別物と捉えるのではなく、UXを含むさらに広範囲を対象としているのがCXだと考えるべきだろう。

また、「UXデザイン」同様に「CXデザイン」という言葉もよく聞かれるようになっている。これは、ユーザー体験だけでなく、その前後を含む顧客体験全体をデザインする行為と考えるのがわかりやすいと思う。

ビジネスにおいてCXが重要視されている理由

では、そんなCXという概念が、なぜビジネスにおいて重要とされ始めているのか。

その何よりも強力な理由が、CXの質と売上が比例することが明らかになりつつあるからだ。つまり、より良いCXを提供している企業は、売上も高いのだ。

いくつか具体的な数字を用いてご説明しよう。

Dimension Data社による調査では、CXを改善した企業のうち84%が収益の向上を、また79%がコスト削減を実現したと報告されている。

また、顧客ロイヤリティという観点では、 同社が2つの結果を発表している。

1つは、CXを改善し向上させた企業のうち92%が、顧客ロイヤリティの向上をも実現することができたということ。

そしてもう1つは、彼らの調査対象のうち73%の消費者は、良い顧客体験は、自分たちがそのブランドに対して抱くロイヤリティに影響すると考えている、ということだ。

こうした数字を見ていくだけでも、CXが持つビジネスにおけるポジティブな影響と重要性が垣間見えてくるだろう。

CXを考える上で重要なこと

では、CXを実装し、顧客との関係性を構築するためにはどんな考え方を持つと良いのだろうか?

筆者は「カスタマージャーニー発想」が重要なマインドセットであると考えている。そして、このカスタマージャーニー発想は、顧客のサービス体験を「線」で捉えることと、本記事では定義したい。

CXをデザインすることはすなわち、UXも含めて顧客体験全体を考えることである。

UXとCXの関係性については上記の通りだが、サービス体験という名の、顧客にとっての旅の始まりから終わりまでを一貫したものとして捉えることがカスタマージャーニー発想であり、これがCXの基盤になると考えている。

あえて「線で捉える」としたのは、この手の話には、「顧客とのタッチポイント」という言葉が頻出することに関係する。

というのも「タッチポイント」という言葉には「ポイント」という表現が用いられているため、「点」の印象を持ちやすいだろう。

しかし、ここでは、複数のタッチポイントが連なることで線形を描いている、あるいは、タッチポイントを繋いでいくことで線状のカスタマージャーニーができあがるイメージを持っていただきたい。

オンラインで情報を収集をしてオフラインの店舗に買いに行く、オフラインで実際に目にしたものを後日オンラインショップで購入する。など、顧客は、無意識のうちにチャネルを縦横無尽に行き来して、最終的な購買やサービスの利用に至るもの。

したがって、カスタマージャーニーを考える側としても、「オンラインだから」「オフラインだから」とチャネルを区別して単体で捉えるのではなく、総合的な流れを考えることが重要だと考えている。

カスタマージャーニー発想を支える3つの概念

そんな「カスタマージャーニー発想」を考える時に、理解しておきたいのが、以下の3つの概念である。

  1. デザイン思考のマインドセット
  2. サービスドミナントロジックの基本原理
  3. デジタライゼーション

デザイン思考

まずはデザイン思考。今回はそのプロセスを解説するのではなく、あくまでもデザイン思考が持つ特徴について簡単にご説明したい。

具体的には、反復性のあるプロセスであることだ。

デザイン思考は、5つのプロセスで成り立っているが、それを遵守することだけが正ではない。実際のデザイン思考を用いた現場では、プロセスを行ったり来たりすることも少なくない。

下記の図はbtraxが考える、デザイン思考を用いたサービスデザインのプロセスを表現したものだ。

ご覧の通り、必ずしも左から右に進む矢印だけではなく、右から左への矢印、すなわち前のプロセスに戻っていくアプローチも入っている。

今いるプロセスがどこなのか、何を達成しようとしているのかを明確にしながら、その時必要なプロセスを踏むことがデザイン思考の基本と言えるだろう。

サービス・ドミナント・ロジック

2つ目のサービス・ドミナント・ロジックは、小難しいカタカナだと敬遠したくなる気持ちもわかる。しかし、内容はそこまで複雑ではない。

サービス・ドミナント・ロジックは、一般的に有形の「モノ/プロダクト」と、無形の「サービス」と考えられている両者を包括的に捉え、顧客との価値共創を目指すことと定義されている。

ここでのポイントは、顧客との価値の共創にある。

サービス・ドミナント・ロジックは、「モノとしての価値は、それが実際に使われるまでは生まれない」、別の言い方をすれば、「モノは使われて初めて価値を持つ」という考え方に立脚している。

そして、実際にモノを使ってもらう前後の過程を「サービス」として、重要視するものだ。

つまり、顧客の使用がなければ、モノが価値を持つことができないという意味で、顧客はモノおよびサービス価値の共創者であると考えられるのだ。

デジタライゼーション

最後に、デジタライゼーション。昨今言うまでもなくデジタル化が進んでいるが、これによる変化を理解することが、カスタマージャーニー発想をより骨太なものにしてくれるという意味でご紹介しておきたい。

というのも、デジタライゼーションが可能にしたこと。それは、まさにオフラインとオンラインという概念を顕在化させたことだと考えている。

つまり、デジタルおよびオンラインという概念が生まれたからこそ、それまで必然視されていたオフラインの存在やその特性がかえって際立ち、結果的にそれぞれの特徴を活かしたアプローチが取れるようになってきたということだ。

OMO(Online Merges Offline)という考え方はまさにこれに当たるものだろう。

そういう意味で、一連の顧客体験における、さまざまなチャネルを縦横無尽に行き来しながら進んでいく様子は、デジタライゼーションによって可能になっていると言っても過言ではないだろう。

また、デジタライゼーションは、サービスそのものの柔軟性も高める働きをしていると考えることもできそうだ。

その一例として、デジタルでは、欠陥によるダメージが作り切りのモノよりも小さいのではないか、という話を挙げたい。

この具体的な説明には、アプリの例がわかりやすいだろう。

アプリは、まだ一部の機能が万全でなくてもリリースされることが多い。もしくは、リリースしても不具合が見つかれば、アプリは公開したまま修正を行い、新しいバージョンをリリースするといった対応が可能だ。

もちろん致命的な失敗や、従来は考えにも及ばなかった脅威もあるため、安易に「失敗しても問題ない」とは言えない。しかし、多少の欠陥を認めながらもサービスを継続させやすいのは、デジタルに移行してこその新たな在り方ではないだろうか。

カスタマージャーニー発想の本質は、垣根を超える柔軟性

最後に、ここまで簡単に今回のテーマに寄せて定義をご紹介した「デザイン思考」「サービス・ドミナント・ロジック」「デジタライゼーション」の3つが、なぜカスタマージャーニー発想に重要なのかを明確にしていきたい。

この理由を考える際に、3つに共通するポイントに着目したい。

それは、いずれも何らかの境目を薄くする、あるいは垣根を超える柔軟性を持ったアプローチであるということだ。そしてこれこそが、カスタマージャーニー発想の醸成、さらにはCXデザインをよりよく行うため最大のポイントではないかと筆者は考えている。

デザイン思考は各プロセスの垣根を超え柔軟にプロセスを横断していく。

また、サービス・ドミナント・ロジックは、その定義が物語るように、ハードとソフト、あるいはモノとサービスの境界を融解し、1つのサービスとして価値を提供することを指す。

そしてデジタライゼーションは、オンラインとオフラインという考え方を明確にし、そして両者を活用した総合的な戦略および施策立案を可能にした。

このように三者ともユーザーや顧客を中心に据えることで、彼らに良い体験を届けるためのプロセスや手段に対し、ある意味寛容に、多くの選択肢を持った考え方であると言えそうだ。

カスタマージャーニーマップ例
カスタマージャーニーマップ例

柔軟なアプローチには、柔軟なチームを

最後に、上記を実現するために、組織内においては、部署間の連携がこれまで以上に必須となるだろう。もうお気づきかもしれないが、カスタマージャーニーやCXをまったくの他人事にできる部署は一つとして存在しないのである。

もちろん、それぞれのタッチポインやチャネルに対し、担当部署やメインで取り組むチームは割り当てられるだろう。

しかし、ここで重要なのは、各部署が担当する内容が「その部署だけのもの」にならないように留意する必要があるのではないかと考えている。

終わりに

CXの重要性に始まり、実際にCXをマインドセットとしてどのように捉えると良いのか、その糸口となりそうな3つの考え方とその背景にある共通点について解説をした。

UXに引き続きCXもそのベールが少しずつはがれ、実用に向けた取り組みをなされている方も多いだろう。理解を深めるために本記事が少しでも参考になれば幸いだ。

btraxでは、まさに本記事でご紹介したようなUX含めCXを総合的に捉えるアプローチを重要視し、ユーザーや市場を理解するリサーチから、ブランドデザイン、サービスデザイン、そしてそれらをユーザーにお届けするコミュニケーションデザインまで、包括的にサービスを提供させていただいている。

各フェーズにおける実際のアプローチや、過去のクライアントさまの事例は下記の会社概要PDFにてご紹介している。ご興味のある方はぜひダウンロードください。

Aoi Omori
大森 葵
Marketing Specialist

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