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日米のデザイナーに聞く、デザインプロセスとアイデア発想方法

日米のデザイナーに聞く、デザインプロセスとアイデア発想方法

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

著者はサンフランシスコにある大学でデザインを勉強しつつ、btraxでUI/UXデザイナーとしてインターンをしている。

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学生のうちにインターンをすることのメリットの1つは、プロのデザイナーが身近にいるということ。普段は教授と生徒としか関わることができないため、これはとても貴重な経験だ。

今回はこのアドバンテージを活かして、著者が駆け出しデザイナーとして疑問に思う4つの質問を、btrax東京オフィス所属のHiroさんとYuriさん、btraxサンフランシスコオフィス所属のJaredとJCの合計4名に聞いてみた。

今回インタビューを実施したbtraxの日米双方のチームで活躍するデザイナーたち

1. デザインで課題解決をする場面で、良いアイディアが思いつかない時はどうしていますか?

Hironori (以下Hiro):
散歩したり、お茶や食事を挟んだりします。パソコンから離れ、何も見ない状態を作ります。

アイディアが出ない時は、インプット過多だったり、頭の中で整理がついていなかったりする状態なので、一旦それを寝かす時間を作ります。

そのために、散歩したりお茶を飲みに行ったりしてリラックスします。家から歩いて15分くらいのところのカフェによく行っています。

Yuri:
シャワーを浴びたり、仮眠をとったりします。もうアイディアが出ない場合、今考えていても出ないと思うので、一回考えることから離れるようにしています。

違うところに目を向けたり、コーヒーを飲んでみたり。それによって新しいアイディアが違うところから出てくることもありますね。

アイディアが出ない時にアイディエーションをそもそもやらないといったメリハリや思い切りも必要かなと思います。集中できる状況と時間を確保して、がっつりアイディア出しを行なって、あとは手を動かすだけにするなど、タスクを分けています。

Jared:
デザイン思考のプロセスに沿って考えたり、Pinterestなどのウェブサイトからインスピレーションを探したりします。

それでも良いアイディアが浮かんでこない場合は、知り合いのデザイナーと話してアイディアや違う視点からの意見をもらいます。

あと、デザインリサーチをする前にまずやることは、デザインしているもののトピックに関連する言葉、感情など、ありとあらゆるものをブレインストーミングして自分の考えをカテゴライズすることです。

基本これで充分ですが、それでもどうしてもアイディアが出ない時は、休憩をとるか、タスクから一度離れて、リフレッシュをしてからタスクに戻るようにしています。

Jonathan(以下JC):
アイディアが思い浮かばない時は、デザインしているもののトピックに関連するものをリサーチして、違う視点をインプットしたりします。

デザイナーが行き詰まる状況としてよくあるのが、デザイナーがコンテンツを理解していないというもの。

業界、分野、またはトピックを十分に理解していないと解決するのは困難なので、基本的なリサーチはとても大事だと思います。

2022年9月にbtraxが主催したイベントにデザインチームのJC, Hiro, Suzyが登壇した様子。弊社CEO, Brandonがモデレーターを務め、パネルディスカッションを行った。

2. インスピレーションの源泉はなんですか?

Hiro:
よく美術館へ行きます。人の作品を見て、「この作者はこういう意図で作ったのかな」と想像することが好きです。

自分は骨董が好きで、骨董やアート作品の面白いところは、作り方が変わっているもの、見たことのないような作り方をしているもの、割れていて不完全なものなどがあることです。

そこから作者に想いを馳せ、この作品を作ったのはこういう人だったのかな、と考えています。

あとは作り方を想像してインスピレーションの源泉にすることもあります。

作品の要素を頭の中で分解して、作り方を想像したときに新たな考えを得たり、インスピレーションを得たりできます。

Yuri:
自分にないものをインプットするという意味で、散歩に行ったり展覧会に行ったり人と話したりします。

散歩をすると見たことのない景色を見られたり、リフレッシュにもなります。また、意識的に知識を入れる必要もあると思うので、展覧会に行ったりもします。

デザインとアートは異なるけど切り離せないものだと考えています。色の使い方や空間演出は、見ている側の心理をどう捉えるかという部分では、見据えている所はある程度一緒かなと。そういうところから得るものが私はあったりします。

人と話していると、自分にはない価値観を持っている人が絶対いるので、そういう考え方もあるんだ、とか、同じものを使ってても全然違う捉え方をしていたりとか、逆に私が興味なかったサービスにそういう着眼点を持って見ているんだ、とか、そういった気づきが得られると思います。

Jared:
Pinterest、Behance、Muzil、YouTubeからインスピレーションを得ています。作り方のわからないデザインテクニックを見た時はYouTubeでチュートリアルを探して勉強しています。

また、Pinterestではデザインの参考になるようなコラージュを作ったりしています。

JC:
本を読んだり他のデザイナーの作品を見たりしてインスピレーションを得ています。他のデザイナーがどのように課題を解決しているかするかを見て、そこからインスピレーションを得ています。

Muzilのクロームエクステンションだったり、We Are CollinsやPentagramといったデザインスタジオのウェブサイトから探します。ウェブデザインをしている時はGodlyというウェブサイトをチェックします。

JCのおすすめの本たち

JC:
私が大学生だった頃は詩の本もよく読みました。

詩は長いフレーズを言わずに何かを表現するなどといった物事の「抽象化・シンプル化」に長けていると感じていたので、参考にしていました。また、あらゆる種類のクリエイティブ・ライティングや哲学の本も読んでいます。

3. グローバルに通用するデザイナーに必要なスキルとはなんだと思いますか?

Hiro:
一番は違いを認められることだと思っています。

特に、僕がbtraxに来てサンフランシスコオフィスのデザイナーたちと話して思ったのは、僕が良いなと思ったデザインをシェアしても、彼らの見ている視点が自分とは全く違うことです。

例えば、アクセシビリティーの部分に突っ込んできたりとか、あとは「イケてる」と思う色の使い方が違ったりとか。

あとはユーザーによってアプリの使い方が意図していたものと全く違う場合もあります。

基本的にユーザーが日本人じゃない人とぶつかると絶対そういう想定外のことが起きるのですが、そこでしどろもどろになるのではなくて、それを楽しんで受け入れて、じゃあどうしようか、という話ができるスタンスは大事だと思います。

Yuri:
コミュニケーション能力と、価値観の違いや想定外のことを受け入れられる柔軟性だと思います。

シンプルに言ったら共感性の高さというか、柔軟性の高さです。あまりにも保守的すぎると、異なる価値観に拒否反応が出てしまって辛いのかなと思っています。

これは国内でも同じだと思うのですが、ある程度ちゃんとコミュニケーションができていれば、周りと連携して仕事ができると思います。

ですので、仮に多少英語が拙かったり、スキルがやや足りなかったりする場合も、チームメンバーが一緒にやっていきたいと思える状態であれば協力を仰いで仕事を進めていける場合が多いと感じます。

スキルに関しては、しっかり基礎を固めてあればそのあとは結局もうやりながら学ぶしかないと思いますね。

Jared:
共感できること、コラボレーションが好きなこと、クリエイティブであること。

クリエイティブであることはデザイナーである以上必須だと思います。

あと、他人と一緒に働く上で、その人たちがどういった視点でどういう考え方から物事を見ているかをしっかり理解できる、共感できる力も大切だと思います。

それから、コラボレーションが好きではないと、もうそれは自分だけでデザインしているような状態だと思うので、より良いデザインのためにもコラボレーションが好きだということも1つの大事なスキルだと思います。

JC:
共感力です。

共感するためには違うオーディエンス、文化、考え方の違いをしっかり理解する必要があって、たくさんのデザイナーが苦労する部分だと思います。

自分の経験から身につけたバイアスだけで課題解決するのは難しいので、自分の視点から見た考え方や意見を他の人と交換して新しいメソッドや解決策を模索する、という意味でも共感する力は大事だと思います。

私がbtraxで日本のデザインチームと仕事を始めた時もかなり苦戦しました。

当時私は日本のデザインへの理解が薄く、西洋スタイルのデザインを言語だけ翻訳してそのまま使えば良いと思っていましたが、結局日本人のオーディエンスには合わないものになってしまった経験もあります。

4. UI/UXデザイナーの皆さんがモバイルアプリをデザインする時に重要視する点を教えてください。

Hiro:

  1. ユーザーニーズを満たすか、もしくはペインポイントを解決するか。
  2. 最低限のUIの規則を壊さないか。
  3. 実装可能なUIであるかどうか。

AppleとかGoogleはある程度デザインのガイドラインを設けています。それは、Apple側から「これくらいの文字サイズにしなきゃ読めないよ」など、システムの仕様を明確化しているものなのですが、それらを理解することがスタートラインではないかと考えています。

マインド的な部分で大事だと思うのは、ユーザーにどんなアクションをしてほしいかしっかりとを想定することだと思います。

ユーザーはそれぞれ自分の使い方をするので、我々の意図とユーザーの希望がずれてしまうことも。ずれることが悪いわけではなく、そこかさらに、ユーザーは何を欲しいのかを理解し、それを満たすものになるまで引っ張っていく力は重要だと思います。

あとは、それに気がつくだけの観察力も同様に必要です。一度課題を見つけてしまえば、それを解決する方法はたくさん出て気やすくなるのですが、そもそもの課題を見落としてることが結構あるのではないかと感じます。

Yuri:

  1. 情報が整理されているか
  2. アプリがユーザーの目的を達成できているか
  3. ゴールを達成するまでの優先順位の付け方は適切かどうか

情報設計がされてない状態は、アプリに限らず、見づらいし使いづらくなってしまいがちです。ですので、情報設計は絶対必要、というかむしろデザインのかなりの割合を占めると思っています。

そのためにはまずユーザーが求めていることを理解する必要があります。求めていることといっても、その中でいろいろな考えが出てくるので、優先順位をつけなければならないこともあります。

こうした思考をしっかり持っているかどうかででアウトプットの質は絶対に変わると思っています。

ビジュアルとして完成度が高いことはそれで一つの価値ですが、どちらかといえば私は情報設計をしっかりされてる方が大事かなと思います。

Jared:

  1. 5W (Who, What, When, Where, Why) + 1H (How)にしっかり答えること
  2. ユーザーの意見を集めてフィードバックを取り入れること

自分がデザインのタスクを行うときは、デザインブリーフやデザインプロジェクトに対してできるだけたくさん質問をし、しっかり理解してベースを固めてからタスクにかかります。

デザインをし終わったあとは、ユーザーの意見とフィードバックを理解してそれをデザインに落とし込みます。それをしないと「ユーザー」のためではなく「自分」のためのデザインになってしまうからです。

JC:デザインで一番大事なのはビジュアルだと考える人も多いかと思いますが、私はアプリのバージョンアップデートのことも見据えて明確なサイトマップ、ビジョン、ゴールを持つこととアプリ内のコンテンツが何よりも大事だと思っています。

コンテンツが足りていない状態、または限られたコンテンツの適切な見せ方を理解していない状態でアプリをデザインすると、必然的に空白を埋めるためにたくさんのプレースホルダーを使うことになります。しかしそのようなデザインは万人受けしにくいでものになりがちです。

また、明確なサイトマップを持つことでデザインそのものよりもっと広い視点でプロジェクトの全体図を見ることができると考えます。

2022年9月にbtraxが主催したイベントにデザインチームのJC, Hiro, Suzyが登壇した様子。

まとめ

今回はbtraxのデザイナー4名に質問をした。著者はまだまだ課題にぶつかることが多いため、行き詰まってしまった時の対処法について聞けたのはとても良かった。

個人的に面白いと思ったのが、アイディアに行き詰まった際に、btrax Japanチームのお二人は。とりあえずデザインから離れて関係のないことをするのに対して、btrax San Franciscoチームのお二人は、とにかくリサーチをするという回答だったこと。

異なるアプローチをしているが、どちらにも共通しているのは「視野を広げる」「インプットを増やす」ことが大事だという結果になった。「センスとは知識量」という言葉もあるが、このインタビューを通してインプット・知識量を増やすことの重要さを学ぶことができた。

これからも先輩デザイナーからたくさんのことを吸収し、より良いデザイナーを目指して一層精進していこうと改めて感じた。

Written by Suzy Ito, UI/UX Designer Intern at btrax

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