■ネット通販最大手のアマゾンは2日、自社開発した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」とレジなしコンビニエンスストア「アマゾンゴー(Amazon Go)」の一部店舗を閉鎖することを発表した。
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5ヶ月近くオープニングがないアマゾン・フレッシュは出店凍結も公式に明かされ、アマゾンが初めて苦戦を認めたことになる。
筆者はこれまで何度もアマゾン・フレッシュに自動決済システムの「ジャスト・ウォークアウト(Just Walk Out)」の問題点を指摘してきた。
当ブログの記事はファッション関連のニュースサイトのファッションスナップやオピニオンサイトのビューポイントに転載されている他、日経ビジネス電子版にも筆者の記事がアップされている。
したがってGoogleニュースでアマゾン・フレッシュやジャスト・ウォークアウトで検索すると筆者の記事が多く上がってくるのだ。
昨年10月、とあるニュースサイトでジャスト・ウォークアウトについての記事が上がっていた。
そこには「日本のメディアではこういったプレーヤーたち(アマゾンゴーなどのオートノマス・ストア)をひとくくりにし、かつ取材者の個人的な見解による記事によって『うまくいっていないのではないか』という誤解を生んでしまっているように感じる」と書かれている。
非常に興味深いのは執筆者の経歴だ。詳しくは書かないが要はジャスト・ウォークアウトのようなレジなし決済システム等を開発し、販売する側のポジションとなっている。
したがって自動決済システムの問題点をあからさまにかけないのだ。
さらにいえば渡米して取材とあるが、明らかに確証バイアスに満ちた内容になっている。なぜなら筆者のようにジャスト・ウォークアウトを利用して、数十点(数万円)以上の買い物を全くしていない。
2~3回の店舗訪問に各1~2アイテムでの買い物で結論を出してしまっているのだ。
自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するために、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向性の記事になる。
実は利益誘導によるミスリード記事は度々起こっている。
某コンサルタントが書いた書籍のタイトルに「アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは」とある。競争力においてザッポスにまるで刃が立たないためアマゾンが折れて買収したかのような印象だ。
ベテランジャーナリストがアマゾンの関係者など何十人もインタビューして書かれた「ジェフ・ベゾス 果てなき野望」とは大きく異なっている。
176ページの「獲物を追いつめてつかまえる」ではザッポスは逆に土壇場に立たされ、苦渋の決断でアマゾンからの買収に応じた経緯が書かれている。
ちなみにザッポス創業者のトニー・シェイ氏は2020年11月に事故でなくなっているが、ここに至るまでの経緯を書いた「ハッピー・アット・エニー・コスト(Happy at any cost:未邦訳)」では笑気ガスが部屋中に散らばるほど依存・中毒状態であり、シェイ氏は事実上、アマゾンをクビになっていたのだ。
ザッポスやシェイ氏を礼賛する記事を見かけた当時、オムニチャネル化で大成功しているというメイシーズの記事もよく見かけた。
メイシーズは2012年3月、証券取引委員会に提出した2011年度年次報告書にオムニチャネル戦略を公表した。
日本にもオムニチャネル・リテーリングが知られるようになったのだが、メイシーズの業績がその頃、好調でオムニチャネル化による成功と間違っていたのだ。
古くは1990年代、急成長していたウォルマートを絶賛する記事が日本の流通誌などにあったのだが、アメリカでは逆にパパママストアを追い込むやり方に多くの批判が上がっていた。
2005年にはドキュメンタリー映画「ウォルマート:毎日低価格の高い代償(Wal-Mart: The High Cost of Low Price)」でウォルマートは大炎上を経験することになったのだ。
筆者が望むのは認知バイアス等で解釈を歪まさないよう、しっかりリサーチを行えということだ。
特に重要になるのが一次情報であり、買い手側となる生活者側の体験価値を見据えたものにする必要があるのだ。
トップ画像:アマゾンが一部店舗の閉鎖を発表したアマゾン・フレッシュ。「取材者の個人的な見解による記事によって『うまくいっていないのではないか』という誤解を生んでしまっているように感じる」がそもそもの誤った認識?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤はコンサルタントを始めた頃、実年齢より若くみえるルックスから苦労しました。当時の流通コンサルタントは50~60歳台以上でしたから、20歳台に見える風貌は「頼りない」と思われていたものです。その熱心さから経営者に気に入られ、紹介等でクライアントが増えていました。が、その社員や部下と初めて会う際、それこそ「大丈夫か?」という面持ちで足の先から頭の先までジロジロと見られました。これが逆に発奮材料となり後藤は誰よりも研究熱心になったのです。特に歳をとっているだけで中身のないコンサルには反感を感じていました。したがって「アメリカでは○○ですごい」という彼らの言葉は疑ってかかっていました。今のようにネットのない時代はUSC(南カリフォルニア大学)のビジネスライブラリーで文献を漁ったり、流通コンサルが根拠として挙げていた米国教授の論文まで多数取り寄せていました。当ブログの投稿件数を見てもらえればアホでも後藤のレベルは理解できると思います。だからこそいい加減な記事は許せないと。
何度も繰り返しますが最も重要なのは一次情報です。流通の場合は生活者の様々な買い物体験が最上になります。当事者や関係者に話を聞いてもイイことしかイイませんから。
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