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スーパーマーケットを展開するウェグマンズ、スマートカートを実証実験

スーパーマーケットを展開するウェグマンズ、スマートカートを実証実験

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■ニューヨークなど8州に109店舗のスーパーマーケットを展開するウェグマンズは一部店舗でスマートカートの実験を開始した。

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地元メディアが伝えたところによるとイスラエルを本部におくショピック(Shopic)と提携したテストだ。

ショピックが開発したスマートカートは、通常のショッピングカートに利用者がAI端末とスキャナーを取り付ける。

着脱式AI端末「ショッピー(Shop-E)」は、ショッピングカートのハンドル中央にあるアタッチメントに利用者が取り付ける仕様となっている。

端末やスキャナーがカートと一体化していないことで、一般的に使われているショッピングカートを利用できるため、導入コストを安く抑えられることになる。

すでに公開されているショッピーのPR動画では、カートに投げ込まれた商品も認識しており精度の高さも伺えるようだ。

一方で野菜や果物などの量り売り等の認識については明かされていない。スマートフォンアプリでスキャンするように、デジタルはかりのコードを読み取って入力することになりそうだ。

ウェグマンズでは昨年9月までお客がアプリで商品バーコードスキャンしながら買い物を行う「ウェグマンズ・スキャン(Wegmans SCAN)」を行っていた。

生鮮品等の量り売りではデジタル計量器にPLCコード(商品コード)を入力して商品を置き、スクリーンのバーコード(もしくはプリントアウトした値札ステッカーのバーコード)をスキャンしていた。

量り売りではショッピーも同様に値札ステッカーを読み取ることになりそうだ。

 ほぼ全店となる9割近くの展開になっていたウェグマンズ・スキャンは多発していた万引きを停止理由にしていた。

ロスによる損失額は公表していないが、顧客に人気のあったアプリ機能を突然、停止したことから相当な損失をだしていた可能性がある。

実際、ウェグマンズ・スキャン利用者には20ドルのクレジットバックをすることも明かしていた。

ウェグマンズ・スキャンのようなシステムは、ウォルマート傘下のサムズクラブが「スキャン&ゴー(Scan & Go)」を全店で行っており、ウォルマートもサブスクリプションの「ウォルマート+(Walmart +)」の特典に加えられている。

イリノイ州など中西部でスーパーセンターを展開するマイヤーも「ショップ&スキャン(Shop & Scan)」を全店で行っているのだ。

コンビニエンスストア最大手のセブンイレブンも一昨年、「モバイル・チェックアウト(Mobile Checkout)」を3000店以上に拡大したことを発表した。

ダラーストアのダラーゼネラルなど多くのスーパーや小売チェーンからニューヨーク州を中心に160店以上のスーパーを展開するトップス・フレンドリー・マーケット、マサチューセッツ州を中心に85店舗を展開するビッグYも同様なシステムをテスト中だ。

 一方、同様に黎明期でもあるスマートカートも徐々に拡大基調だ。

代表的なのはアマゾンが開発した食品スーパー「アマゾン・フレッシュ(Amazon Fresh)」にある「アマゾン・ダッシュカート(Amazon Dash Cart)」。

アマゾン・ダッシュカートのサイトにあるFAQには「ダッシュカートはコンピュータービジョン・アルゴリズムとセンサー・フュージョンの両方を組み合わせて使うことでカートに入れる商品を認識します(The cart uses a combination of computer vision algorithms and sensor fusion to identify items you put in the cart)」と表記されている。

使い方はアマゾン・アプリにQRコード表示させ、ダッシュカートのスキャナーで読み込ませれば利用者のアカウントとダッシュカートが紐付き買い物ができるようになる。

あとは商品をカートに入れることで商品バーコードを読み取って商品を認識する仕組みだ。

野菜や果物の量り売りではカート自体がはかりになっており、端末に商品番号となる4桁のPLUコードを入力して、商品をカートに入れると自動的に計算する。

買い物が終了すればダッシュカート専用の通路「アマゾン・ダッシュカート・レーン(Amazon Dash Cart Lane)」を通るとスクリーンが緑色に変わり「完了しました(You're all set)」とともに合計金額が表示され同時にメールでeレシートが届くようになっている。

アマゾンのダッシュカートに競合するのが、オンデマンド買物代行&宅配サービスのインスタカートに2021年10月、買収されたケーパーAI(Caper AI)がある。アルバートソンズと提携したハイテクカート開発のヴィーヴ(Veeve)の事例もある。

ケイパーはクローガーと提携し「クローゴー(KroGo)」でテストしたり、他にもウェイクファーンやシュナック・マーケットともハイテクカートの実証実験をおこなっている。

アルバートソンズもアイダホ州イーグル地区とカリフォルニア州プレザントンのスーパーでヴィーヴのテストをおこなっている。

 ウェグマンズではスマートカートを導入することで、人気のあったウェグマンズ・スキャンと比べて万引きをどの程度回避できるのかを探ることになる。

スマートカート開発のスタートアップ、ショピック(Shopic)のPR動画。AI端末・スキャナー等とカートが一体化したこれまでのスマートカートと異なり、ショッピー(Shop-E)は端末が着脱式となっている。一般的なショッピングカートを利用できるため、ウェグマンズは低コストでテストを始めることができたのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本の流通チェーンでは薄利構造が長く続いている中で最近、人件費や燃料費の高騰、人材不足等の課題が多くのしかかって来ています。これまで以上にデジタル・トランスフォーメーション(DX)の重要性が高まっているのです。世界最先端となるアメリカの流通DXを視察・勉強したいとの意向で当社に引きも切らず問い合わせが来ています。日本人も米国の流通DXの進化に気づいたのです。ウェグマンズは昨年9月、多発する万引きを理由にアプリで商品バーコードをスキャンしていく会計システムを止めました。これには顧客からの反発が相当あったことも伺えます。DXの利便性に慣らされた顧客にとって再び古いシステムを使うのはストレスです。したがって一度止めたDXを別の形でテスト導入しなければならなくなったのです。今の消費者は買い物の利便性に貪欲になっている証左ですね。翻ってDXの見方を変えれば、米国は多大なコストをかけ流通イノベーションのメリット・デメリット、失敗・成功事例を気前よく見せてくれているのです。
 ところでクローガーもスキャン、バッグ、ゴーを止めて、スマートカートのテストを行っていますね。アマゾンのダッシュカートもそうですが、まだ使えるレベルではないと言えそうです。失敗してもその先にあるのは後退ではなく、いつも新しい道でもあります。

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