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ディスカウントスーパーのアルディが一部店舗にセルフレジを導入

ディスカウントスーパーのアルディが一部店舗にセルフレジを導入

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■38州に2,200店以上を展開するディスカウントスーパーのアルディが徐々にセルフチェックアウトレジを拡大しつつある。

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コロナまではスタッフとの接触機会を極力減らすことが目的となっていたが、コロナ後では慢性的に抱える人手不足の問題にさらに深刻になっているのだ。

アルディでは2021年頃からイリノイ州の一部の店舗でセルフレジの導入を開始し、昨年にはオハイオ州の一部でもテスト導入されていることが目撃されていた。

アルディは先週、ニューヨーク州北西部のロチェスター郊外にあるグリース地区でも導入したのだ。

地元メディアが報じたところによると、アルディ・グリース店では有人レジ3台に対して6台のセルフレジが設置された。

アルディのセルフレジはキャッシュの利用が不可となっており会計はクレジットカードやデビットカード、アップルペイにグーグルペイでの支払いとなっている。

アルディによるとロチェスターにある3ヶ所の地域の店舗にもセルフレジを導入する予定だ。

 消費者側からみて通常の有人レジとセルフレジではどのような使い方になっているのだろうか?

マーケティング企業のカタリナが公開したレポートによると2021年、アメリカ国内でのべ2.45億人がセルフレジを利用しトランザクション総額は2,220億ドルに達した。セルフレジは5年で10%伸長したとしているのだ。

カタリナの調べではチェーンストア最大手のウォルマートからスーパーマーケット最大手チェーンのクローガーなどチェーンストアのレジの4割がセルフレジとなる。

セルフレジとフルサービスレジの有人レジをミックスして買い物するハイブリッドショッパーは全体の39%になる。

一方、有人レジだけを好むいわば有人レジ・コアユーザーは49%と多い。逆にセルフレジ・コアユーザーは12%のみと買い物客としてはマイノリティだ。

有人レジ・コアユーザーは主にベビーブーマーやその上の層となるサイレント・ジェネレーションが中心で学歴的には高卒で年収も10万ドル以下が占めている。

セルフレジ・コアユーザーは若い層からサイレント・ジェネレーションまでかなり層が広い傾向を示している。金額ベースで比べると有人レジが68%とセルフレジの32%を圧倒しているのだ。

ハイブリッドの利用者層は平均の世帯年収は10万ドル以上の富裕層で、他のコアユーザーに比べて年収が高くなる傾向だ。

両刀遣いのハイブリッドユーザーの使い方を分析すると1年間に平均で36回の買い物をして平均総額が1,720ドルとなる。しかし有人レジ・コアユーザーは年8回で支出額の平均は450ドル。

セルフレジ・コアユーザーは年5回の買い物のみで支出額は150ドルとハイブリッドの10分の1にも満たない。

このレポートからわかることはどちらか一方のみで対応することではない。特に最近はセルフレジのみの店舗を使ってテストをおこなっている。

 ロサンゼルス郊外にあるウォルマート・スーパーセンターではセルフチェックアウトレジを30台に増やす一方、フルサービスレジとなる有人レジを4台のみに縮小している。

しかもセルフレジでは、これまでの10アイテム程度の買い物用の小スペースとは別に、ショッピングカート一杯にした買い物にも対応するセルフレジも拡大している。

筆者が視察したウォルマート・ピコリビエラ店では4台のフルサービスレジに10台の小スペースのセルフレジ、そして20台が広いスペースをもつセルフレジとなっていた。

ウォルマートは有人レジのないセルフレジ・オンリーのテストも行っている。

アーカンソー州フェイエットビルにあるスーパーセンターでは2020年6月、フルサービス・チェックアウト・レジをすべて撤去し、セルフレジのみでのテストを開始。セルフレジに必要な顧客にはアシスタントがつく、いわゆるホステッド・チェックアウト(hosted checkout)は本社近くのスーパーセンターで行われているのだ。

テキサス州ダラス郊外のスーパーセンターでも同様な実証実験を行っている。テキサス州プレイノ地区にあるスーパーセンターも昨年4月から32台のセルフレジにし、ホステッド・チェックアウトになっているのだ。

スーパーマーケットチェーン最大手のクローガーでも同じようにセルフレジをテストしている。ダラスにあるクローガーでは一昨年2月、フルサービスのレジを撤去しセルフチェックアウトレジのみでの営業を開始した。

ダラスのクローガー・フレッシュフェア店はベルトコンベア付きのセルフチェックアウト・レジも導入し、ヘルプ用にセルフレジ回りにスタッフが待機しているという体制だ。

 アルディではまだ全面的なテスト導入を発表しておらず、単発的な導入にとどまっている。

セルフレジは万引きの問題もあり、低所得者層をターゲットにするディスカウントスーパーにとってセルフレジをフルに導入するまで道のりは長くなりそうだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。日本は高齢化社会といいますが、日本よりもアメリカのほうが高齢者が圧倒的に多いのです。主要国における高齢者人口の割合の比較(2021年)をみると米国の総人口に対する高齢者の割合は17.0%もいるのです。内訳が65~74歳で9.9%、75歳以上が7.1%です。米国人口の約3.3億人のうち17%といえば5,610万人。日本の人口1.26億人の29.1%(日本の高齢者の割合)は3,666万人ですから、高齢者数でいえばアメリカが日本を圧倒しています。数の上ではアメリカも老人大国です。アメリカのスーパーではセルフレジがどうなっているのでしょうか?実を言うと人手不足を理由にセルフレジは増える傾向にあります。慢性的な人手不足の上にどのスーパーもネットスーパーを拡大している中、さらに人手不足を招いているからです。レジ係りとは別にネット注文用に売り場で注文品をピッキングするスタッフが必要となるケースもあります。ディスカウントスーパーのアルディでは宅配サービス大手のドアダッシュとも契約をし38州2,100店で宅配を開始しています。
 アルディはすでにインスタカートと提携しており、宅配サービスだけでなくカーブサイド・ピックアップもおこなっています。富裕層のトレードダウンにネットスーパー拡大で客数が飛躍的に伸びていることもあり、万引きの問題もセルフレジを導入しなければならなくなってきているのです。

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